司法書士 役員退任の登記

司法書士 役員退任の登記

2週間以内に登記申請

 司法書士業務の商業登記。その中でも、役員変更は案件数が多い登記です。大きな売上げにはなりませんが、コツコツと売上を積み上げるのが司法書士業です。塵もつもれば山になり、馬鹿にはできません。

 取締役・代表取締役・監査役・会計参与などの役員に変更が生じた場合、変更が生じた時から2週間以内に変更登記を申請しなければなりません。

 役員の退任登記は、退任の事実が生じた後、2週間以内に登記を申請しなければなりません。

費用

 依頼者に、報酬と実費を説明します。

 実費の代表が登録免許税です。

 役員変更登記の登録免許税は、原則3万円です。しかし、資本金の額が1億円以下の会社は金1万円となりますので、ほとんどの会社が1万円です。

退任事由

 取締役が退任するケースには、以下のようなものがあります。

 ①任期満了
 ②辞任
 ③死亡
 ④解任
 ⑤資格喪失(欠格要件に該当する場合)
 ⑥株式会社の解散
 ⑦破産手続き開始決定を受けた場合(委任の終了)

取締役の退任を証する書面

 取締役の退任登記には、退任事由が発生したことを称する書面を添付することになります。
 
 ①任期満了

 定時株主総会の終結による退任日を証するため、株主総会の議事録を添付することになります。この株主総会議事録に、定款の規定により当該役員の任期が満了することの記載がない場合は、任期の規定を確認するため、定款も添付します。
 
 ②辞任
  
 辞任届が、退任を証する書面になります。辞任日は、意思表示が到達したときになります。株主総会の席上で、辞任する本人が辞任の意思を表明した場合は、株主総会議事録の記載を援用できます。議事録の中で議長が当該取締役の辞任を報告しているだけのものは、辞任を証する書面はなりません。
    
 ③死亡
  
 死亡の日に取締役は退任します。死亡診断書、戸籍謄抄本、住民票、遺族からの会社に対する死亡届などが、死亡を証する書面になります。死亡の事実が株主総会議事録に記載されていても、死亡届として援用することはできません。

 ④解任

 解任決議をした株主総会議事録が、退任を証する書面になります。ただし、場合によっては種類株主総会議事録が必要になります。

 ⑤資格喪失の場合

 資格喪失の事由を証する書面が、退任を証する書面になります。例えば、「後見開始の審判が確定したことを証する書面」として、後見開始の審判書(確定証明書付)か登記事項証明書を添付します。
  
 ⑥株式会社の解散
 
 登記官が、取締役に関する登記を職権で抹消します(商業登記規則72条1項1号)。

 ⑦破産手続き開始決定を受けた場合(委任の終了)

 破産手続開始決定書の謄本が、退任を証する書面になります。

代表取締役の退任を証する書面

 代表取締役は、取締役の地位を基礎とするので、取締役として退任すると、代表取締役としても退任します。

 代表取締役の地位のみの辞任の場合、取締役会を置かない会社で定款の互選に基づき代表取締役が選任されている場合には定款と辞任届を添付します。取締役会設置会社であれば辞任届を添付します。
 
 登記所に印鑑を提出した代表取締役等(代表取締役、代表執行役、代表取締役である取締役、代表執行役である執行役)が辞任した時は、原則として、辞任届に実印を押印し、その印鑑について市区町村長作成の印鑑証明書の添付が必要となります(商業登記規則61条6項)。ただし、辞任届に、その代表取締役が登記所に提出した印鑑を押印したときは、印鑑証明書の添付を不要です。

 代表取締役としての解職の場合は、取締役会を置かない会社で、取締役の過半数の一致により解職したときは、定款と取締役の過半数の一致を証する書面を添付します。取締役会設置会社であれば、取締役会議事録を添付します。

書面作成

 
 役員の退任登記の依頼を受けた際には、依頼者からヒアリングした上で、必要な添付書面を確保し、

・委任状
・登記申請書と別紙
・退任を証する書面

の各書面を作成し、(地方)法務局に登記申請を行います。

司法書士 役員就任の登記

司法書士 役員就任の登記

2週間以内に登記申請

 司法書士業務の商業登記。その中でも、役員変更は案件数が多い登記です。大きな売上げにはなりませんが、コツコツと売上を積み上げるのが司法書士業です。塵もつもれば山になり、馬鹿にはできません。

 取締役・代表取締役・監査役・会計参与などの役員に変更が生じた場合、変更が生じた時から2週間以内に変更登記を申請しなければなりません。

 役員の就任登記は、選任決議のあと、就任の承諾により効力が生じます。このため、2週間の申請期限は、選任されたときではなく、就任承諾の時からカウントします。

費用

 依頼者に、報酬と実費を説明します。

 実費の代表が登録免許税です。

 役員変更登記の登録免許税は、原則3万円です。しかし、資本金の額が1億円以下の会社は金1万円となりますので、ほとんどの会社が1万円です。

選任機関

 役員は、株主総会普通決議で選任します。
 普通決議とは、定款に別段の定めがなければ、議決権を行使することができる株主の過半数が出席し、出席した株主の過半数の賛成で決議することです。
 したがって、原則的な選任を証する書面は、株主総会議事録です。
 
 例外的に、種類株主総会議事録の添付が必要になる場合があります。取締役の選任につき拒否権を行使することができる種類の株式を発行している場合や、種類株主総会の決議によって取締役を選任する旨の定めがある場合です。

 なお、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するときは、監査役の同意が必要です(会社法343条)が、これは書面で添付する必要はありません。

就任承諾

 役員の就任による変更登記の申請には、当人の就任承諾を証するため、就任承諾書を添付します。
 被選任者が、株主総会の席上で就任を承諾した記載がある場合は、株主総会議事録を就任承諾書として援用できます。
 就任承諾書には、氏名だけでなく、住所も記載されている必要があります。株主総会議事録を就任承諾書として援用する場合は、住所も記載されていなければならない点に注意が必要です。
 

印鑑証明書

 

 取締役の就任登記の場合、就任承諾書に押印した印鑑について、印鑑証明書の添付が必要です。ただし、何度も印鑑証明書を提出する必要性は低いので、再任の場合は、印鑑証明書の添付は不要です。
 ただし、取締役会設置会社の場合は、代表取締役についてのみ印鑑証明書を添付します。一般の取締役は印鑑証明書の添付は不要です。
 この印鑑証明書を添付する場合、後述する本人確認証明書が不要になります。

本人確認証明書

 
 
 役員の就任登記の申請書には、本人確認証明書を添付します。ただし、再任の場合を除きます。再任かどうかを判断して、役員に本人確認証明書を求めることになります。

 本人確認証明書には、氏名のみならず住所も記載されていなければなりません。住所の記載は手書きのものでは難しく、当初から住所が記載されていない健康保険証やパスポートに手書きで住所を記載した物は、本人確認証明書としては使えません。運転免許証・住基カード・住民票の写し・戸籍の附票・印鑑証明書などを使用します。本人確認というと、顔写真付きの物を想像しますが、本人の実在性を証明する趣旨なので、住民票や印鑑証明書でも大丈夫なのです。運転免許証や住基カードは、必ず両面をコピーして使います。

 本人確認証明書が本当に必要なケースは、少し複雑です。別の用途で印鑑証明書を添付している場合は、本人確認証明書を省略できるからです。

 取締役については、取締役会を置かない会社であれば、再任の場合を除き、取締役の就任承諾書に、印鑑証明書を添付することになります。印鑑証明書の添付がある場合、本人確認証明書は不要です。また、何度も本人確認する必要はないので、再任の場合は本人確認証明書は不要です。このため、取締役会を置かない会社の取締役について、本人確認証明書を添付する場合はありません。
 取締役会設置会社の場合は、就任の際、代表取締役について印鑑証明書を添付しますが、一般の取締役は印鑑証明書を添付しません。このため、取締役会設置会社であれば、一般の取締役は本人確認証明書が必要になります。代表者である取締役は印鑑証明書を添付しているので、本人確認証明書は不要です。
 監査役については、取締役を設置していない会社でも、取締役会設置会社でも、就任承諾書に印鑑証明書は求められません。このため、最初に就任する際には、本人確認証明書の添付は省略できません。その後の再任の際には不要です。

 司法書士が依頼を受ける会社の多くは、取締役会を置かない会社ですので、取締役については、ほとんど本人確認証明書を用意しないでよいことになります。
 

書面作成

 
 役員の就任登記の依頼を受けた際には、依頼者からヒアリングした上で、会社法の規定を確認しながら、

・委任状
・登記申請書と別紙
・株主総会議事録
・株主リスト
・就任承諾書
・印鑑証明書
・本人確認証明書

等の書面を作成し、(地方)法務局に登記申請を行います。

司法書士 決済立会い業務の流れ

司法書士 決済立会い業務の流れ



 会社員以外の仕事を探している人にとり、試験さえ合格できれば独立開業が容易な司法書士は魅力のある士業です。その司法書士業務の中心となる不動産登記。中でも、売買決済の立会い業務は、司法書士にとって、収益性が高く、責任も重い、中核的な業務です。

 不動産売買で、もっともシンプルなのは、売買により所有権移転登記のみがなされて終わり、というケースです。

 これだけであれば話は単純なのですが、通常は、所有権移転登記以外にも、様々な登記が必要になります。
 
 例えば、

・売主の住所氏名が、登記上の住所氏名から変更されている場合は、登記名義人の住所変更、氏名変更登記を行う
・売主が買主から受領する金員で担保権者に弁済し(根)抵当権を抹消するパターンの場合は、弁済による(根)抵当権抹消登記を行う
・買主が、購入する不動産を抵当に入れて金融機関から融資を受ける場合には、抵当権設定登記を行う

ことになります。

 この場合、
 
・売買による所有権移転登記は、買主が権利者、売主が義務者
・弁済による(根)抵当権抹消登記は、売主が権利者、(根)抵当権を抹消される金融機関が義務者
・抵当権設定登記は、融資する金融機関が権利者、買主が義務者

となります。

 4つの関係者が、それぞれの登記における権利者や義務者として立場でかかわってきますので、事前の打ち合わせと調整が重要になります。

①依頼

②関係者に確認

③書類作成

④立会当日

⑤登記申請
 

⑥登記完了、書類の引き渡し
 

①依頼

 不動産仲介業者、金融機関、あるいは売主・買主の当事者から、不動産売買の登記依頼が入ります。

 決済日のスケジュールを確認して、受任可能であることを確認します。
 
 依頼者から、手元にある登記事項証明書・固定資産評価証明書等の書類一式をFAXしてもらい事案の概要を把握します。

 見積り書作成の依頼があれば計算してFAXします。見積りは必要書類がそろっていないと出せませんので、不足している場合はその旨を説明して、書類の確保を求めます。
 

②関係者に確認

 
 買主の仲介業者からは、
 
・買主本人が当日来れるのか?
 (本人が当日来れない場合は、事前に意思確認の機会を確保するための打ち合わせします。)

・登記する住所はどうするのか?
 (購入する住宅の住所で登記する場合は、決済前に住民票上の住所を新住所に変更しておく必要があります。)

・住宅家屋証明書の取得について
 (登録免許税の減税を受けられるケースかの打ち合わせをします。)
 
・決済に必要な書類を確保できているか?

 売主の仲介業者からは、

・売主本人が当日来れるのか?
 (本人が当日来れない場合は、事前に意思確認の機会を確保するための打ち合わせします。不動産を手放す側ですから、買主よりもさらに慎重な意思確認を行う必要があります。)

・売主の住民票上の住所は、登記上の住所と同じか?
 (異なる場合は、所有権移転の前に、所有権登記名義人住所変更登記が必要になり、登記の件数が増えます。司法書士報酬も費用も変わり、見積りの金額も変わります。)

・決済に必要な書類を確保できているか?

 抹消される(根)抵当権がある場合は、抹消金融機関と、

・抹消書類の事前確認の打ち合わせ
・抹消銀行の担当者が決済立会に出席するのか?
 (出席しない場合は抹消書類の受領についての打ち合わせ)

 買主が融資を受けて(根)抵当権を設定する場合には、設定金融機関から、

・設定する抵当権の内容の確認
・設定書類の受領時期(通常、決済立会日より前に受領します。必要書類は事前に十分に確認しておく必要があります。 )

などの打ち合わせをします。

③書類作成

 
 関係者から確認した内容をもとに、

 ・登記申請書の準備
 ・委任状の作成
 ・登記原因証明情報の作成
 ・設定書類の受領(設定書類は決済当日ではなく事前に受け取ります)
 ・報酬の請求書、領収書
 ・各種書類の預り証等の準備
 ・登記識別情報未失効証明の取得 

などを行い、決済日に備えます。

④立会当日

 ・当日の登記事項証明書を確認し、差押えや担保設定等がなされていないことを確認します。
 ・決済現場で本人確認、意思確認、必要書類の確認を行います。 
 ・立会後に、抹消書類を取りに行く場合は、売主と司法書士で行く場合と、司法書士だけで行く場合があります。
 

⑤登記申請

 法務局(地方法務局)で登記申請を行います。
 受領証を取得し、設定銀行にFAXします。

⑥登記完了、書類の引き渡し

 登記事項証明書を取得し、登記の内容を確認。登記完了証と、登記識別情報を買主に引渡します。



司法書士の試験

司法書士の試験

受験資格

 年齢・性別・学歴等に関係なく誰でも受験できます。

受験手数料

 金8000円

試験日

 筆記試験 7月の第1日曜日
  
 口述試験 10月

試験の時間割

 
 午前9時30分から午前11時30分 
  憲法・民法・刑法・商法(会社法)
 
 午後1時から午後4時まで 

  不動産登記法・商業登記法・供託法・民事訴訟法・
  民事執行法・民事保全法・司法書士法

試験内容

 平成30年度の場合

 憲法      3問
 民法     20問 
 刑法      3問 
 商法(会社法) 9問

 不動産登記法 17問(うち一問は記述)
 商業登記法   9問(うち一問は記述)
 供託法     3問
 民事訴訟法   5問
 民事執行法   1問
 民事保全法   1問
 司法書士法   1問

 民法と会社法、不動産登記法と商業登記法からの出題が圧倒的に多くなっています。

配点

 午前(択一35問)

  35問 × 3点 = 105点満点

 午後(択一35問)
   
  35問 × 3点 = 105点満点

 午後(記述式 2問)

  2問 × 35点 = 70点満点 
 

合格点

 平成30年度は、満点280点中212.5点以上

 ただし、以下の基準点に達しない場合には,それだけで不合格となります

 午前択一  満点105点中78点(35問中26問)
 午後択一  満点105点中72点(35問中24問)
 午後記述  満点 70点中37点

司法書士の仕事

司法書士の仕事



司法書士の仕事

 司法書士の主な仕事には、

 ・不動産の登記
 ・商業登記
 ・裁判所提出書類作成
 ・簡裁代理
 ・成年後見人

があります。

不動産登記業務

 当事者に代わり、不動産の所有権や地上権や抵当権などの権利変動を、法務局に申請して登記することの代理をする業務です。

 不動産登記は原則的に利害の対立する権利者と義務者の共同申請(相続登記や住所変更など例外はあります)によるものです。司法書士が、公正中立な第三者としての立場で司法書士が間に入ること、取引がスムーズに進みます。

 例えば、一般的な不動産取引では、「A銀行はBさんが不動産の所有権を確保し、そこに抵当権をつけないとBさんに融資できない」、「Bさんは銀行が融資をしないとCさんから不動産を買えない」「CさんはBさんが代金を支払ないと権利証(登記識別情報)を渡せない」、というような三すくみの構図になります。

 ここに不動産登記の専門家である司法書士が入り、決済の場で、A銀行、Bさん、Cさんから書類を預かり、「これで所有権はCさんからBさんに移せます。また、同日付でA銀行の抵当権を設定できます」と言えば、その専門家としての信頼で、銀行は融資を実行でき、Bさんは不動産売買代金を支払え、取引が行われます。

 このような構図にあることから、不動産取引においては、司法書士は欠かせない職業になっています。

 諸外国でも、不動産取引は高額であることから、法律家や専門の業者が介在するのが通常であり、日本ではその機能を司法書士が行っています。

 金融機関や不動産屋さんが、当事者のために司法書士を手配することが多いため、依頼ルートを押さえれば、固定した売上げが見込めます。

商業登記

 株式会社、有限会社、合同会社などの会社の登記を申請する業務です。

 基本的に会社登記簿に記載される事項の設定や変更はすべて業務の対象となります。

 例えば、

 ・会社の設立
 ・役員の変更
 ・(資本金の)増資や減資
 ・株式の発行
 ・組織再編(合併、会社分割、株式交換、株式移転など)
 ・解散や清算

などがあります。

 もっとも、会社の登記は、不動産登記と違い、その会社が単独で申請できることから、役員変更のような平易な変更は、自社でやることも多いため、需要は不動産登記ほど大きくありません。

 依頼ルートは、税理士さんからの紹介などが考えられます。

裁判所提出書類作成

 弁護士と競合する分野ですので、司法書士への依頼は多くありません。普段から仕事上の交流がある不動産業者からの退去や家賃徴収などに関する仕事が多くなります。
 
 司法書士が行うのは書類作成であり、代理人としての交渉などは行いません。あくまでの本人が主体となることから、調停や訴訟のような紛争性の高いものは、ご本人の能力等を見極めて、
書類作成に適さないようであれば、弁護士を進めることがあります。

 一般からは、自己破産申立書の作成、相続放棄の手続き、などの依頼が単発的に入ってくることがあります。

 自己破産については、近年弁護士が増員されたことから、弁護士をつければ裁判所に納付する予納金をディスカウントする運用をすることで、実質的に弁護士に誘導する地方裁判所が増えていますので、地方によっては、司法書士の仕事にはなりにくくなっています。

 なお、申立て費用自体は、例えば、法テラスを利用した場合、司法書士のほうが、弁護士より数万円安くなります。

簡裁代理

 司法書士は、簡易裁判所における民事紛争の代理人になれます。厳密なことは省いた表現になりますが、基本的に140万円以下の民事事件を扱えます。
   
 この代理権は、法廷の中だけでなく、法廷外の交渉も業務の対象になります。つまり、100万円の示談交渉なら、弁護士に頼んでもいいし、司法書士に頼んでもいいことになっています。
 
 簡裁代理業務を扱うには、司法書士というだけではなく、100時間の講習と考査試験を経て、法務大臣の認定を受けなければなりません。

成年後見人

 成年後見人になるのに司法書士の資格は不要です。しかし、裁判所が選任するのは、被後見人の家族を除けば、司法書士や弁護士のような法律の専門家が多いのが現状です。

 司法書士の中には、この業務に特化している人もいます。一人当たりの売り上げは月1万~2万円ほどですが、数名の後見人に収入すると、コンスタントな売上になります。

 他方、手間がかかる案件で、財産の無い方もいるところ、打診があった際に、都合の悪いものだけすべて断るということもできず、実質的なボランティア状態になることもあり、ビジネスとしては成立しない場合もあります。

司法書士の業務

司法書士の業務



司法書士法

 司法書士は、法務局や裁判所へ提出する書類を作成する仕事です。
  
 司法書士の業務は、司法書士法3条で規定されています。


第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
イ 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ロ 民事訴訟法第二百七十五条の規定による和解の手続又は同法第七編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ニ 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ホ 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
八 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。
2 前項第六号から第八号までに規定する業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する司法書士に限り、行うことができる。
一 簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 司法書士会の会員であること。
3 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
一 研修の内容が、簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
二 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
三 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
4 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5 司法書士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
6 第二項に規定する司法書士は、民事訴訟法第五十四条第一項本文(民事保全法第七条又は民事執行法第二十条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第一項第六号イからハまで又はホに掲げる手続における訴訟代理人又は代理人となることができる。
7 第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イ及びロに掲げる手続において訴訟代理人になつたものは、民事訴訟法第五十五条第一項の規定にかかわらず、委任を受けた事件について、強制執行に関する訴訟行為をすることができない。ただし、第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イに掲げる手続のうち少額訴訟の手続において訴訟代理人になつたものが同号ホに掲げる手続についてする訴訟行為については、この限りでない。
8 司法書士は、第一項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。

 条文を読んでも、混み入りすぎて、良く分かりませんね。
 条文を簡略化すると、

 ①不動産登記、会社・法人登記、供託手続きの代理
 ②裁判所、検察庁、法務局提出書類の作成
 ③法務局への審査請求
 ④簡易裁判所における訴訟代理業務

となるでしょうか。

官公署別にみると良く分かる

 上のように、することができる業務別にみると分かりにくい司法書士業務ですが、官公署別で考えると分かりやすくなります。
 司法書士は、要するに、法律関係のお役所、裁判所・検察庁・法務局に提出する書類を作成する仕事です。
 法務局の主な業務には、

 ・不動産登記(不動産の所有者や担保権者などの権利を公示する)
 ・商業登記(会社の本店や役員などを公示する)
 ・供託
  
がありますので、これが司法書士の業務になっています。

 また、裁判所の業務は、一般にイメージされる民事紛争の訴状・答弁書・準備書面のほかにも、
  
 ・自己破産や個人再生などの債務整理関係
 ・各種の調停申立て
 ・成年後見申立てや相続の放棄などの審判を求める手続き
 ・民事執行や保全

など多様な手続きがありますので、司法書士はこれらの書類作成ができます。

 さらに、簡易裁判所限定になりますが、法務大臣の認定を受けた司法書士は、弁護士のように代理人として法廷に立つこともできます(裁判所の書類作成には、簡裁という制限はありません。代理人として法廷に立ったり示談交渉をできるのは簡裁裁判所限定です)

 また、検察庁への告訴状なども作成できます。

実際の需要

 法律の規定ぶりは上記のようなものですが、法律や裁判所手続きの専門家であることから、裁判所が選任する「成年後見人」や「相続財産管理人」などに、司法書士が選ばれることがあり、こうした財産管理人業務も司法書士の仕事になっています。

 実際の依頼が少ない業務を除外すると、司法書士の主な業務は、

 ・不動産の登記
 ・商業登記
 ・裁判所提出書類作成
 ・簡裁代理
 ・成年後見人

になります。
 
 この中でも、「不動産登記」の世界での司法書士需要は圧倒的です。日本国内の不動産売買や担保権の設定の大半に司法書士がかかわっています。
 

司法行政代書人となる秘訣

「司法行政代書人となる秘訣」を読む



はじめに

 独立開業型の資格として人気がある、司法書士や行政書士。

 今も、「司法書士になれる本」「行政書士になれる本」のようなものが沢山発売されていますね。

 そのような本の、戦前版ともいうべき本があります。

 昭和11年6月20日発行の「司法行政代書人となる秘訣」(松陽堂宮本書房)。
 著者は、鈴木啓史。定価は金1円。
 
 著者の鈴木さんは司法書士です。この本の前に、同じ出版社から、「金銭債務調停法と其運用」、「民衆本位登記の実際」、「民事訴訟法の通俗化と訴訟の実際知識 附・功名なる債務者の裏手と対策」(法学士峯川宏之と共著)などの著書を出しています。

 第1編の冒頭、昭和10年5月に司法代書人は司法書士に改称されていますが、この本では司法代書人と記述しているという注意書きがあります。

 また、行政代書人、いわゆる一般代書人は法令上においては単に「代書人」ですが、この本で便宜上行政代書人と記述することが述べられています。

有望性と年収

 当時、司法書士になるには裁判所の認可が必要でした。一方、代書人(後の行政書士)は所轄警察署への許可により営業することができました。
 
 この点につき,司法代書人となるのは、行政代書人に比して、其の認可を受けるのは困難なものですが、認可を得て開業すれば、その裁判所に所属すべき司法代書人数には制限があり、一定数以上に増えることがないので、「別段の競争も起こらずして略確定的収入が得られる」「一生涯のお株として生活の安定が保証される安全第一の有利職業である」、としています。

 収入については、月収100円から300円、まれには400円から500円の収入が有り、ほとんど無資本ではじめられる商売としては、これは結構なものだ、とのことです。

 全体の書きぶりが若干大げさなので、この手の資格本のすべてを真に受けるわけにはいきませんが、控えめに見ても、悪い職業ではなかったと考えられます。

 もっとも、開業早々は、少額に甘んじなければならない、とも記されています。
 

定数制限

 司法代書人の認可のための試験は、地方裁判所が必要があると認めるときだけ行えばよいということになっていました。

 このため、試験が行われることもあるし、試験を行わないで一般人に認可されることもありました。裁判所や登記所を新たに設置する際に、多数の認可を出すようなときは試験が行われ、随時欠員や増員のために一名程度を認可する際には、試験は行われなかったそうです。

 また、裁判所の書記官や、裁判所書記官試験に合格したものは試験なしに認可されることになっていましたが、これもまた、その裁判所の予定人員を超えて認可することはないとのことです。

 要するに、まったくの裁判所の裁量で、その地域の必要数に応じて、認可がなされていました。

認可試験の内容

 実際に、大正8年ころに、東京地方裁判所で行われた司法書士の認可試験の内容は、

  一、電車事故による人体障害に対する損害賠償請求の訴状を認めよ
  一、廃家手続きの書面を認めよ
  一、離婚訴状を認めよ

とのことです。
 
 学力については、中等学校卒業程度の学力があれば申し分ないが、高等小学校卒業程度でも用は足りると記載されています。

司法書士になるために

 司法書士の業務を分類すると、訴訟事件、非訟事件、登記事件、検事局に提出する書面、その他競売事件、破産または和議事件、調停事件等がある、とのことです。

 司法書士は、主として裁判事件に関する代書を目的とする者と、主として登記事件の代書をするものに分かれている。訴訟事件をやるものは民事訴訟法を、登記事件をやるものは不動産登記法・商業登記手続きを研究せよ、となっています。
 
 当時の司法書士は、裁判所内で営業する者、裁判所外で営業する者を問わず、その裁判所の管轄区域内で認可される人数が制限されていました。この制限には、法律上確固たる数字があるわけではなく、裁判所の事件数に比例して決まっていたそうです。

 司法書士が1~3人の小規模庁では一人増員すれば他の司法書士への影響が大きいので、新規参入は望み難い。これに対して、司法書士数7~8人のエリアであれば、一人くらい増員されても他への影響は少ないので、認可を受けることも絶対不可能とは言えない、と書かれています。

司法書士になる方法

 司法書士になる方法としては、まず、裁判所内の司法書士は人数も少数だし、何らかの欠員補充の際に裁判所が老練な者を認可するだけなので、まずは、裁判所外での認可を目指すべき、とのことです。
 
 しかし、増員の余地や欠員の無いところに漫然と認可の申立てをしても、見込みはありません。

 このあたりの情報は、現地の代書人なら事情が分かりますが、彼らは商売敵が増えるのが嫌で、真相は教えてくれません。そこで、監督判事や監督書記、登記所の主任などに面会し、当地の情報や、増員や欠員の余地のある場所などの情報を収集し意見を聞くべきだ、とのことです。

 面会にあたっては、紹介状があれば一番良いが、なければ進んで出頭して、受付なりボーイなりに言えば、事務上の支障がない限り接見でき、意見はしてくれるだろう、とのことですから、昔はのんびりしたものですね。
 

司法書士になるための運動

 裁判所職員に接触して、脈があると観測された場合は、熱心に懇請して、運動をします。

 司法書士の認可願の出願は、事実上、裁判所の監督書記や登記所の主任の意見書に基づき認否が決まるので、彼らを押さえなければなりません。

 「現今の世想に於いては何事を為すに付ても表面的には勿論、裏面運動も盛んに行はれる」。大学や専門学校卒業者の就職においてすら、「折箱の重量」によって成否が決まるような極端な傾向があるのだから、それなりの運動は、「必要條件」、とのことです。

 懇請や運動をしても、人員制限のために目的が達せられない場合は、「行政代書人より徐々に進出する方法」が紹介されています。

 たとえ数年待ってでも司法書士を目指すと決めても、まったく縁のない商売をしていては、機会を逃すから、まずは町村役場や警察署を目的として容易に認可される、行政代書人を開業するのだそうです。

徐々に司法書士になる秘策

 行政代書人から徐々に司法書士に進出する具体的な方法としては、まず裁判所から少し離れた町村役場や警察署の周辺で行政代書人を開業するのだそうです。
 
 そして、司法書士の認可を出願する。
 裁判所と距離のある地で営業する無所属司法書士は、裁判所周辺の専属司法書士の収入高にあたえる影響が少ないので、認可を得るのが容易、とのことです。

 本来、司法書士と行政代書人の兼業は許されない扱いですが、その規定は裁判所周辺の専属司法書士にのみ適用されていて、遠方の無所属司法書士には適用されないのだそうです。

 少し理解が難しいですが、著者の書きぶりからみるに、こうした無所属司法書士は、扱える裁判所業務に制限があったようです。

 基本的に、郵便申請で足りるような簡易なものを取り扱い、時に訴訟事件や登記事件を扱うことがあっても後述する代弁式という特殊な方法をとる必要がありました。
 つまり、制限付きの簡易司法書士ですね。

 こうして行政代書人兼司法書士の認可を受けておいて、後に司法書士専門として進出することを目指すのだそうです。

 この方法によれば、行政代書の傍ら司法書士の事務を練習でき、司法役所に時々接近し得るので進出の機会をとらえやすく、機会を見出したときには新規出願者より経験を有するという有利な条件を具備することができる、とのことです。

 そして、進出の機会を得た際には、新たに司法書士の認可を得るのではなく、単に事務所移動の認可を得れば足りるのだそうです。

 

代弁式で登記業務ができる

 もうひとつの「徐々に司法書士になる方法」は、現在は無い「代弁式」で登記業務をはじめることです。

 これは登記所から遠く離れた山間の僻地の住民の登記事件のために、申請人自身の出頭に代えて、委任状を持って代理人として一切の処理をするという、便利屋式の方法でした。
 
 登記のために、辺鄙なら村落から、遠方の登記所に出頭するのは負担が大きい。まして、登記手続きに無知な一般の者が、その日に手続が終了するということは稀で、数回の往復を余儀なくされることがあります。そこで、最寄りの精通者に、委任して任せてしまうのが便利ということになり、地域によっては立派な商売になったのだそうです。

 この方式によれば、司法書士の認可を得なくても、登記業務をすることが事実上できました。

 司法書士法の「代書料を受ける目的」ではなく、登記事件一切の代理処理の委任を受け、「登記たる仕事の請負者であり其の完成迄の労務に対する報酬を目的とする」ものであって、司法書士法に違反しない、というような論理のようです。

 もっとも、どう考えても違法に近いグレーな行為なので、登記官によっては、代弁人が作成した書面を認めないことがあるそうです。その場合は附属書類だけを作成し、登記申請書のみ司法書士に書かせれば問題はないし、その分だけなら、さして司法書士費用も高くはない、とのことです。

 なお、代弁式では、双方代理は許されず、共同申請登記においては、格別に代理人をつける必要があるそうです。

行政代書人になる方法

 最後に、行政代書人になる方法ですが、これは司法書士のように役所ごとの人数制限がなく、無制限に許可されるので、「司法代書人の如き有望安全性は乏しいものである」、とのことです。

 資格に関する規定もないし、試験を行うこともなく、ある程度の学力があり、前科者とか著しい不行跡がなければ、何人でも許可されます。

 「開業後の事務も比較的平易なものであるから誰にでも出来ると云ってよい商売である」とすが、列記されている業務からみるに、当時は現在のように行政が高度化しておらず、複雑な許認可がなかったようです。

 人数制限がないため、自然同業者が多すぎる場合があり、その場合は役所の出入りに便利で、なるべく接近した場所に事務所を設けることが肝要です。

司法書士制度の歴史



司法書士制度の歴史

 法務局や裁判所に提出する書類を作成してくれる、司法書士さん。

 不動産の専門家のようであり、また弁護士と重なるような裁判所の仕事をするようでもあり、いまひとつ業務範囲がわかりにくいところがあります。

 どのような歴史的経緯で誕生したのでしょうか。

 司法書士制度の歴史をまとめてみました。

代書人の誕生

 明治5(1872)年、司法職務定制(太政官無号達)により、代書人が置かれました。

 この代書人が、後に司法書士制度に発展します。
 
第四二条(代書人)第一 各区代書人ヲ置キ、各人民ノ訴状ヲ調成シテ其詞訟ノ遺漏無カラシム

 当初の規定では「訴状の調成」を業務とする仕事になっています。
 この規定を受け、裁判所内・裁判所外で、代書人が営業を行うようになります。

このとき同時に、後の弁護士制度に発展する代言人も置かれています。

第四三条第一(代言人) 各区代言人ヲ置キ、自ラ訴フル能ハザル者ノ為ニ、之ニ代リ其訴ノ事情ヲ陳述シテ枉寃無カラシム

 当初は、フランスの司法制度を参考に、代書人が裁判書面等を作成し、代言人が法廷での陳述をするというような分業制が構想されていましたが、代言人は、明治26年に「弁護士法」が施行されると同時に廃止されます。

代書人取締規則

 明治36年から数年の間に、全国の都道府県令で、代書人取締規則が制定されています。

 その最初のものが、明治36年(1903年)8月24日、大阪府令代書人取締規則です。

第二條 代書人タラムトスル者ハ族籍、住所、氏名、年齢ヲ具シ所轄警察署二願免許證ヲ受クヘシ


第三條 素行善良卜認ムル者二非サレハ代書営業ヲ免許セス免許後卜難本則二違背シ又ハ素行不良ト認ムルトキハ
免許ヲ取消スコトアルヘシ

 つまり、代書業をする場合は、

 「所轄警察署に願い出て、免許を受けよ」

 「素行善良なら免許を与えるが、素行不要なら免許は取り消す」、

ということです。
 全国の都道府県で、これとほぼ同様の規定が作られました。

 ここでいう代書人というのは、司法職務定制の代書人とは違い、

第一条 代書人トハ他人ノ委託ニ依り料金ヲ受ケ文書ノ代書ヲ業トスル者ヲ謂フ

というものでした。

 つまり、裁判所の仕事だけではなく、「文書の代書を業とする者」、という幅広い意味の代書人でした。

司法代書人法

 司法職務定制以来の裁判所の代書人は、代書人取締規則を嫌がり、裁判所専門の司法代書人の制度化を目指します。

 そして、運動が実り、大正8(1919)年4月、司法代書人法(法律第四十八号)が制定されました。

司法代書人法

第1條 本法ニ於テ司法代書人ト称スルハ他人ノ嘱託ヲ受ケ裁判所及検事局ニ提出スヘキ書類ノ作製ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ


第2條 司法代書人ハ地方裁判所ノ所属トス

 これにより、裁判所の代書人は「司法代書人」となり、「裁判所や検事局に提出すする書類を作成する」を業務として、警察署ではなく「地方裁判所」の管理下に置かれる仕事になります。

司法書士法

 昭和10(1935)年、司法代書人法が改正され司法書士法となり、「司法代書人」が「司法書士」になりました。

第1条 第4条及第7条乃至第10条中「司法代書人」ヲ「司法書士」ニ改ム

法務局

 戦後の改革で、裁判所が行っていた登記や戸籍の業務が、法務局に移管されます。

 この業務移管に合わせるため、昭和25年(1950年)5月、司法書士法が全部改正されます、公布されました。

第1条 司法書士は、他人の嘱託を受けて、その者が裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を代って作成することを業とする

 これによって、司法書士は、裁判所・検察庁と法務局(地方法務局)の書類作成を業とする仕事になりました。

 現行の司法書士法の業務範囲は、以下のとおりです。専門家以外は、読まなくても結構ですが、骨組みの部分は「裁判所・検察庁・法務局」の書類作成で同じですね。

 また、平成14(2002)年に、法務大臣の許可を受けた司法書士については、第3条6項の「簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。」が追加されており、簡易裁判所では弁護士のような代理人になれる改正が行わています。


(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
イ 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ロ 民事訴訟法第二百七十五条の規定による和解の手続又は同法第七編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ニ 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ホ 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
八 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。
2 前項第六号から第八号までに規定する業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する司法書士に限り、行うことができる。
一 簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 司法書士会の会員であること。
3 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
一 研修の内容が、簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
二 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
三 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
4 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5 司法書士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
6 第二項に規定する司法書士は、民事訴訟法第五十四条第一項本文(民事保全法第七条又は民事執行法第二十条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第一項第六号イからハまで又はホに掲げる手続における訴訟代理人又は代理人となることができる。
7 第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イ及びロに掲げる手続において訴訟代理人になつたものは、民事訴訟法第五十五条第一項の規定にかかわらず、委任を受けた事件について、強制執行に関する訴訟行為をすることができない。ただし、第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イに掲げる手続のうち少額訴訟の手続において訴訟代理人になつたものが同号ホに掲げる手続についてする訴訟行為については、この限りでない。
8 司法書士は、第一項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うこと