行政書士 やらないほうが良い業務

行政書士 やらないほうが良い業務


 

やらないほうが良い業務

 



 行政書士で開業する場合、専門分野を絞りつつも、複数の得意分野を持つことが経営上有効です。そこで、許認可業務のほかにも、各人が職歴や経験を生かし工夫し、多様なビジネスモデルを展開しています。その中には、これからはじめるなら、やめておいたほうが良い業務もあります。

内容証明郵便による請求書

 

 内容証明郵便自体は、行政書士の業務として成立しうるものです。クーリングオフや、消滅時効の援用など、一方的に意思を通知するための内容証明郵便であれば、書類作成の依頼を受けても問題はありません。
 しかし、売掛金や貸金などの債権回収、慰謝料、損害賠償請求など金銭を請求する内容証明郵便は、業務として意味がないので止めておきましょう。

 行政書士事務所の中には、「行政書士名の入った内容証明郵便は相手にプレッシャーを与える」とか、「行政書士名が入ることで回収率が上がるかもしれません」、などと広告したホームページを持っている人もいますが、ナンセンスなものです。

 債権回収等の内容証明郵便は、将来の訴訟提起が前提になってこそ意味があるものです。弁護士や司法書士から内容証明郵便での請求が届けば、次は訴状が届くというメッセージになります。これなら、相手方はプレッシャーを感じ、回収率は高まるかもしれません。もし、支払いがなくても、弁護士や司法書士が、その職務権限内で訴訟提起のメニューを依頼者に提示することができます。

 他方、行政書士からの内容証明郵便による請求は、社会常識で言えば、「まだ専門家に相談していないし、裁判の準備は考えていません」、という情報を発するものでしかありません。

 「先生に内容証明を出してもらいましたが、何の反応もありませんでした、次はどうしたら良いですか?」
 「私は、次は何もできませんよ」

となる旨を正確に伝え、基本的には断りましょう。

自賠責保険被害者請求

 自賠責保険は、一定の支払基準に基づき支払いがなされるもので、直接に私人間の紛争に立ち入る性質のものではないため、その書類作成は権利義務事実証明書類として行政書士が行えるように考えられます。そこで、自賠責保険の被害者請求書類を専門に行う行政書士事務所があります。

 弁護士が現在のように増える前は、弁護士も、治療が終わり後遺障害認定結果が出る前の段階で法律相談に行っても、「費用対効果が不明なので、現状では受任が難しい。後遺障害認定の結果が出てからまた相談にきてください」、という対応も少なくありませんでした。例えば、被害者請求の添付書面である事故状況図は、道路の規制状況を確認し、幅員なども計測して、事故の状況を図面化するもので、それ自体、書類作成を得意としない人にとっては負担も大きいものです。そこで、行政書士が業務として取り扱い、自賠責保険会社に被害者請求による後遺障害認定手続きを済ませてから、その結果をもとに弁護士が相手の任意保険会社に請求するという流れで、国民の利便性を図ることができました。保険会社も行政書士を専門家として認めて、弁護士費用等特約の対象となり、報酬も支払われていました。
 しかし、近年は、弁護士費用特約の普及により、弁護士は交通事故での報酬確保が容易になったことから、被害者請求は後日の示談交渉の前提としてサービスで行う法律事務所が増えてきました。行政書士が関与する意味は薄くなっています。

 他方、行政書士の中にも、交通事故についてふさわしくない過度なアピールや、高額な成果報酬を請求をする業者がいました。そうした状況下、大阪高裁平成26年6月12日判決が出ました。これは、行政書士が交通事故の被害者と締結した自賠責保険の申請手続き・書類作成等の準委任契約は、弁護士法72条に反するものであり、公序良俗に反するため無効であるという判断です。
 この内容自体は、個別事情をならべて「将来的紛議の発生することがほぼ不可避であった」ことを前提とした判示ですから、一般的に自賠責保険の書面作成自体が不可能というわけでもないですが、解釈次第ではどこまでも波及しかねないものです。
 しかも、その内容は、少しでも認定結果が良くなるようにという方向で書類を作成しているが、それが非弁行為になるというものです。許認可が通りやすいように、少しでも要件を満たしやすくなる方向で書類を作成しても非弁にはなりませんが、権利義務事実証明書類作成業務では、このようなことがあり得るのですね。

 後日、契約が無効とされれば、報酬を返さなければなりませんし、只働きになります。そんな仕事に手を出す必要はありません。

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