不動産仲介業の報酬の仕組み(賃貸)

不動産仲介業の報酬の仕組み(賃貸)

 不動産仲介により、賃貸借契約がまとまれば、仲介した不動産屋には報酬が入ります。
 
 仲介業の報酬には、法令上の制限があります。 
 

賃貸仲介の報酬の上限

 不動産仲介業の報酬は、宅地建物取引業法で上限が決まっています。

 第1項 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は 貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

 第2項 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。

 報酬の上限を、国土交通大臣が定め、これを超える報酬を受け取ることができない仕組みになっているのですね。
 
 そして国土交通省の告示(昭和45年建設省告示第1552号)で「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」が定められています。
 

報酬の計算方法

 賃貸仲介の報酬額は、具体的には、

 宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・〇八倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たつて当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五四倍に相当する金額以内とする

 と定められています。

 要するに、「家賃の1.08倍が報酬の上限」です。つまり、家賃一ヶ月分+消費税ですね。

 ここで注意しなければならないのは、売買の時と違い、貸主と借主の両方から家賃一か月分をもらえる仕組みにはなっていないことです。
 売買の「両手取引」では、不動産仲介業者は、売主と買主双方から、物件価格×3%+消費税(400万円を超える物件の場合)を請求できますが、賃貸の場合は、貸主と借主の双方合計して、家賃一ヶ月分+消費税が限度です。

 ところで、この定め方をよく読むとわかりますが、アパートなどを借りる際には、借主が支払う原則的な報酬額は、家賃一ヶ月分の0.54倍までの金額です。

 つまり、貸主(大家さん)と借主(入居者)の双方から、家賃一か月分の半分を取るのが、原則的な規定ぶりなのですね。
 
 しかし、依頼者の承諾を得れば、一方からだけ家賃一ヶ月分をもらうことができるのです。

 ほとんどのケースでは、入居者側が一ヶ月分全額を負担していますよね。これは、媒介契約の際に一ヶ月分貰いますよと報酬額を説明している部分が、「依頼者の承諾を得ている」形になっているからのようです。

 実務をするときは、この点は気をつけないといけないですね。

元付けさんとの報酬分配

 それでは、賃借人を紹介すると、不動産仲介業者は、必ず一ヶ月分もらえるのかというと、そうではないようです。

 他社が、大家さんから媒介契約を受けている物件を紹介させてもらう場合は、

 他社の賃貸物件を紹介するときには、広告図面の中の手数料の配分を必ず見てください。(中略)他社から紹介を受けた物件の広告には、「手数料負担の割合」というものが記載されています。(中略)たとえば「借主100%」となっていれば、入居する借主が手数料を負担するという意味になります。ほとんどの場合、この借主100%になっています。そして、「手数料配分の割合」とは、元付業者(大家さんと媒介契約を結んでいる業者)と客付け業者(入居者を探した業者)がもらえる手数料の割合です。「客付け100%」となっていれば、客付け業者に入居者からの手数料全額が行きます。「客付け50%、元受け50%」となっているときに注意が必要なのです。(中略)元付けと客付けで半分にするので、せっかく入居者を探してきても一ヶ月の半分しかもらえないことになります。(「誰も教えてくれない不動産屋の始め方・儲け方」斎藤隆雄、ぱる出版)

というのが業界の慣習です。
 

賃貸業務のメリット

 賃貸の仲介は、「両手取引」が当たり前の売買仲介ほどおいしい話ではなさそうです。もっとも、すべての物件というわけではありませんが、多くの募集物件で大家さんから「広告料」の名目で事実上の報酬を得られるようになっています。賃貸物件のオーナーは少しでも早く空き室状態を解消したいので、仲介業者に、インセンティブを与えるわけです。例えば、「この部屋を決めてくれた仲介業者には賃料の一か月分の広告料を出します」という空き室情報を仲介業者に流すのです。仲介業者は、同じような部屋なら広告料をもらえる物件から優先的に紹介する傾向があるので、結局、他の大家も広告料をつけざるを得なくなり、多くの物件に広告料がつくというわけです。

 2~3件パパっと見て来店日に即決するタイプ相手なら、2時間弱で数万円ですから、不動産屋さんにとっては、悪い話ではなさそうです。しかし、そういうお客ばかりではないので、時間をかけてじっくり探し、結局別の業者に行かれてしまえば、時間だけを使わされ、無報酬どころか、案内した車の燃料日は赤字ということになりますね。
 
 売買と賃貸では取引の数が違いますから、多数こなせば、十分稼げそうです。 

 開業者の多くは、賃貸業務から参入しているとのことです。

 やはり、売買よりもリスクが少なく、件数が多いのが魅力のようです。

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