司法書士制度の歴史



司法書士制度の歴史

 法務局や裁判所に提出する書類を作成してくれる、司法書士さん。

 不動産の専門家のようであり、また弁護士と重なるような裁判所の仕事をするようでもあり、いまひとつ業務範囲がわかりにくいところがあります。

 どのような歴史的経緯で誕生したのでしょうか。

 司法書士制度の歴史をまとめてみました。

代書人の誕生

 明治5(1872)年、司法職務定制(太政官無号達)により、代書人が置かれました。

 この代書人が、後に司法書士制度に発展します。
 
第四二条(代書人)第一 各区代書人ヲ置キ、各人民ノ訴状ヲ調成シテ其詞訟ノ遺漏無カラシム

 当初の規定では「訴状の調成」を業務とする仕事になっています。
 この規定を受け、裁判所内・裁判所外で、代書人が営業を行うようになります。

このとき同時に、後の弁護士制度に発展する代言人も置かれています。

第四三条第一(代言人) 各区代言人ヲ置キ、自ラ訴フル能ハザル者ノ為ニ、之ニ代リ其訴ノ事情ヲ陳述シテ枉寃無カラシム

 当初は、フランスの司法制度を参考に、代書人が裁判書面等を作成し、代言人が法廷での陳述をするというような分業制が構想されていましたが、代言人は、明治26年に「弁護士法」が施行されると同時に廃止されます。

代書人取締規則

 明治36年から数年の間に、全国の都道府県令で、代書人取締規則が制定されています。

 その最初のものが、明治36年(1903年)8月24日、大阪府令代書人取締規則です。

第二條 代書人タラムトスル者ハ族籍、住所、氏名、年齢ヲ具シ所轄警察署二願免許證ヲ受クヘシ


第三條 素行善良卜認ムル者二非サレハ代書営業ヲ免許セス免許後卜難本則二違背シ又ハ素行不良ト認ムルトキハ
免許ヲ取消スコトアルヘシ

 つまり、代書業をする場合は、

 「所轄警察署に願い出て、免許を受けよ」

 「素行善良なら免許を与えるが、素行不要なら免許は取り消す」、

ということです。
 全国の都道府県で、これとほぼ同様の規定が作られました。

 ここでいう代書人というのは、司法職務定制の代書人とは違い、

第一条 代書人トハ他人ノ委託ニ依り料金ヲ受ケ文書ノ代書ヲ業トスル者ヲ謂フ

というものでした。

 つまり、裁判所の仕事だけではなく、「文書の代書を業とする者」、という幅広い意味の代書人でした。

司法代書人法

 司法職務定制以来の裁判所の代書人は、代書人取締規則を嫌がり、裁判所専門の司法代書人の制度化を目指します。

 そして、運動が実り、大正8(1919)年4月、司法代書人法(法律第四十八号)が制定されました。

司法代書人法

第1條 本法ニ於テ司法代書人ト称スルハ他人ノ嘱託ヲ受ケ裁判所及検事局ニ提出スヘキ書類ノ作製ヲ為スヲ業トスル者ヲ謂フ


第2條 司法代書人ハ地方裁判所ノ所属トス

 これにより、裁判所の代書人は「司法代書人」となり、「裁判所や検事局に提出すする書類を作成する」を業務として、警察署ではなく「地方裁判所」の管理下に置かれる仕事になります。

司法書士法

 昭和10(1935)年、司法代書人法が改正され司法書士法となり、「司法代書人」が「司法書士」になりました。

第1条 第4条及第7条乃至第10条中「司法代書人」ヲ「司法書士」ニ改ム

法務局

 戦後の改革で、裁判所が行っていた登記や戸籍の業務が、法務局に移管されます。

 この業務移管に合わせるため、昭和25年(1950年)5月、司法書士法が全部改正されます、公布されました。

第1条 司法書士は、他人の嘱託を受けて、その者が裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を代って作成することを業とする

 これによって、司法書士は、裁判所・検察庁と法務局(地方法務局)の書類作成を業とする仕事になりました。

 現行の司法書士法の業務範囲は、以下のとおりです。専門家以外は、読まなくても結構ですが、骨組みの部分は「裁判所・検察庁・法務局」の書類作成で同じですね。

 また、平成14(2002)年に、法務大臣の許可を受けた司法書士については、第3条6項の「簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。」が追加されており、簡易裁判所では弁護士のような代理人になれる改正が行わています。


(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
二 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第四号において同じ。)を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。
三 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四 裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。第八号において同じ。)において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五 前各号の事務について相談に応ずること。
六 簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。ただし、上訴の提起(自ら代理人として手続に関与している事件の判決、決定又は命令に係るものを除く。)、再審及び強制執行に関する事項(ホに掲げる手続を除く。)については、代理することができない。
イ 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定による手続(ロに規定する手続及び訴えの提起前における証拠保全手続を除く。)であつて、訴訟の目的の価額が裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ロ 民事訴訟法第二百七十五条の規定による和解の手続又は同法第七編の規定による支払督促の手続であつて、請求の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ハ 民事訴訟法第二編第四章第七節の規定による訴えの提起前における証拠保全手続又は民事保全法(平成元年法律第九十一号)の規定による手続であつて、本案の訴訟の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ニ 民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)の規定による手続であつて、調停を求める事項の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
ホ 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二章第二節第四款第二目の規定による少額訴訟債権執行の手続であつて、請求の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないもの
七 民事に関する紛争(簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるものに限る。)であつて紛争の目的の価額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続若しくは裁判外の和解について代理すること。
八 筆界特定の手続であつて対象土地(不動産登記法第百二十三条第三号に規定する対象土地をいう。)の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の二分の一に相当する額に筆界特定によつて通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が裁判所法第三十三条第一項第一号に定める額を超えないものについて、相談に応じ、又は代理すること。
2 前項第六号から第八号までに規定する業務(以下「簡裁訴訟代理等関係業務」という。)は、次のいずれにも該当する司法書士に限り、行うことができる。
一 簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程を修了した者であること。
二 前号に規定する者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した者であること。
三 司法書士会の会員であること。
3 法務大臣は、次のいずれにも該当するものと認められる研修についてのみ前項第一号の指定をするものとする。
一 研修の内容が、簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力の習得に十分なものとして法務省令で定める基準を満たすものであること。
二 研修の実施に関する計画が、その適正かつ確実な実施のために適切なものであること。
三 研修を実施する法人が、前号の計画を適正かつ確実に遂行するに足りる専門的能力及び経理的基礎を有するものであること。
4 法務大臣は、第二項第一号の研修の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、当該研修を実施する法人に対し、当該研修に関して、必要な報告若しくは資料の提出を求め、又は必要な命令をすることができる。
5 司法書士は、第二項第二号の規定による認定を受けようとするときは、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。
6 第二項に規定する司法書士は、民事訴訟法第五十四条第一項本文(民事保全法第七条又は民事執行法第二十条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、第一項第六号イからハまで又はホに掲げる手続における訴訟代理人又は代理人となることができる。
7 第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イ及びロに掲げる手続において訴訟代理人になつたものは、民事訴訟法第五十五条第一項の規定にかかわらず、委任を受けた事件について、強制執行に関する訴訟行為をすることができない。ただし、第二項に規定する司法書士であつて第一項第六号イに掲げる手続のうち少額訴訟の手続において訴訟代理人になつたものが同号ホに掲げる手続についてする訴訟行為については、この限りでない。
8 司法書士は、第一項に規定する業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うこと

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