落語をはじめて聴く

落語をはじめて聴く

はじめての落語 

 はじめて落語をCDやYOUTUBEで聴いてみたいと思ったが何を聴いたらよいのか…、という方はけっこう多いのではないでしょうか。

 前提知識がない分野だと、最初の選択が難しいものです。結局、つまらないものを聴いてしまい、縁のないまま終わってしまうことも…。

 そこで、おすすめすべき、落語家や演目を、検討してみたいと思います。

Ⅰ 戦後の名人から入ってみる方法

 落語が、まるごと一席に、きれいな音で録音が残されるようになったのが、昭和の半ばからです。
 戦前の名人も、録音は残っていますが、きれいな音声で長い尺の録音はありません。
 このため、この時代に名人と言われた人たちの音源が、現代落語のオリジンのようになっています。
 ここから聴き始めると、大きな失敗はありません。
 音楽でいえば、とりあえず、ビートルズから入ろう、というようなアプローチになります。
 もっとも、音楽と違い、伝統芸能の落語なので、60年前の音源でも、「ずいぶん昔の古いのを聴いてるな」という感覚はありません。落語ファンなら、今でもその時代の録音を日常的に聴いています。

 このアプローチで候補にあがるのが、

 ①(八代目)桂文楽
 ②(五代目)古今亭志ん生
 ③(六代目)三遊亭圓生
 ④(五代目)柳家小さん

の四人です。

 好き嫌いを抜きにしても、完全に定評のあるビッグネーム、押しも押されぬ大名人です。大名人の芸ですから、琴線に触れる可能性も高いでしょう。
 この4人から入れば、軽薄だねとも、マニアックだねとも、変なところから入ったなと言われることもありません。もし、言う人がいたら、その人が変わり者ですから、無視して問題ありません。
 
①八代目桂文楽(1892年11月生~1971年12月没)
 
 緻密で無駄がなく、流れるように語り、迫力があり、引き込まれます。分かりやすいギャグはなく、馬鹿々々しくて大笑いするようなものではありません。昭和のはじめの落語好きが、これこそ江戸っ子の粋な芸として受け入れられた芸です。正直、はじめて落語を聞いて、ピンとくるようなものではないかもしれません。ここから入って、「あまり面白くないな」、と思うのは残念ですので、最初はおすすめしません。落語が好きになってから聴くと、この良さがわかるんじゃないかな、という人です。

 聴く場合は、「明鳥」「心眼」「つるつる」などがおすすめです。

②古今亭志ん生(1890年生~1973年没)

 落語といえば、この人というほど有名な人です。
 ビートたけしは明らかに影響を受けていますし、松本人志をはじめ、現役の多くの芸人が聴いています。
 普通に面白いですので、志ん生から入るのは一つの手だと思います。

 注意点としては、1961年(昭和36年)に病気で倒れてから口調が聴き取りにくくなっていますの。初心のうちは、病気前の音源を聴くようにお勧めします。
 演目は、玄人筋やプロの落語家や評論家が、「黄金餅」「二階ぞめき」「お直し」などが素晴らしいとしているのを、よくみかけます。
 個人的には、「替り目」「富久」などがおすすめです。

③六代目三遊亭園生(1900年生~1979年没)

 志ん生で、今一つピントこなかった、という場合、こちらがおすすめです。
 落語の馬鹿々々しい滑稽味の部分がいきなりでは入ってこないタイプかもしれませんので、物語性の強い人情噺の部分から入ったほうが、落語が好きになるとっかかりになるかもしれません。

 独特の節まわしで、流れるように語り、その癖のある語りが心地よく聞ければ、物語グングン引き込まれハマると思います。

 「淀五郎」「ねずみ穴」「子は鎹」がおすすめです。

④五代目柳家小さん(1915年生~2002年没)
 
 上の3人より若く大正生まれになりますが、若くして売れたことから、こちらに入っています。
 落語家初の人間国宝で、2002年まで存命であったため、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。
 滑稽話のが上手い人です。
 癖が少ないので、それが聴きやすく感じるタイプにはいいかもしれません。逆に、癖の少なさが、退屈に感じる可能性もありますので、初めてには向かないかもしれません。

 「粗忽長屋」がおすすめです。

Ⅱ 昭和・平成の名人から入ってみる方法

 次に、検討するのが、「Ⅰ 戦後の名人」、の弟子世代になります。
 明治・大正生まれではなく、昭和生まれの名人たちです。
 現代性が上がりますので、こちらのほうがとっつきやすいというタイプの人もいると思います。
 
 この世代からは、 

①(三代目)古今亭志ん朝
②(五代目)立川談志
③(十代目)柳家小三治

を候補にできます。

 この3人は、好き嫌いはあれども、評価は固まっているのではないでしょうか。もちろん、「誰々を入れるなら、誰々も入れろ」といような話はあるでしょうが、誰かを外せというのは、ちょっと定石から外れそうです。

①古今亭志ん朝(1938年生~2001年没)

 古今亭志ん生の息子です。
 スター性があり、上手で、明るくて、楽しく、完全性の高い芸です。まずは、ここから入ってみるのが、良いのではないかと思います。
 煩い落語ファンでも、この人を認めてない人はいないと思います。 

 演目は、「文七元結」「堀之内」がおすすめです。

②立川談志(1936年生~2011年没)

 柳家小さんの弟子です。
 落語の評論家としても一流ですし、世相や落語に対する見解・切り口なども面白く、この人から入ったほうがいいというタイプも多いかと思います。 
 好き嫌いがある人ですが、そういう部分がとっかかかりになって、面白みを感じるかもしれません。

 若いころの録音が、とても早口なのに聞き取りやすく、本当に面白いです。
 晩年は、究めすぎたのか、ややこしいことを言い、変わったことをするので、初心のうちは、ただただ楽しめる若いころの録音がおすすめです。

 演目は、「らくだ」「へっつい幽霊」がおすすめです。

③柳家小三治(1939年生~)
 柳家小さんの弟子で、立川談志の弟弟子にあたります。
 現代的であり、それでいて昔風でもあり、飄々ととらえどころがない部分もあり、一聴して才気のほとばしりを感じる上の二人とは、また波長の違う滑稽味を出しますので、こちらが合うという人もいるかもしれません。
 
 演目は、「味噌蔵」「小言念仏」がおすすめです。

 
3 別のアプローチ
 絶対的な名人から入るというアプローチのほか、興味のある演目から入るという方法もありそうです。
 「時そば」なら知ってる、「饅頭こわい」なら知ってる、など興味のある演目がある場合などは、そこから攻めてみるのもいいかもしれません。
 その場合も、上の名人たちの音源が見つかるなら、そちらを聴いたほうが間違いないと思います。  
  
  
 

 

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