高橋洋一に学ぶ OECD報告は財務省の罠



OECDの対日経済審査報告書

 2019年4月15日、OECD( 経済協力開発機構)が「対日経済審査報告書」を公表しました。

 この報告書には、プライマリーバランスを黒字化するためには消費税率を20%から26%まで引き上げる必要があるとの試算が示され、さらなる増税や歳出削減に向けて具体的な計画を作成し実行する必要があるとの提言がなされています。

 同日、OECDのアンヘル・グリア事務総長は、日本記者クラブで記者会見を行い、同報告書をもとに、「本年10月に日本で予定されている消費増税は不可欠だ」、などと述べました。

OECD報告は財務省の布石

 高橋洋一氏は、OECDが発表した対日審査報告書は、消費税増税のための、財務省の布石であると分析を述べています。

「『これは財務省の布石だな』と感じたのは、4月15日に公表されたOECD(経済協力開発機構)の対日審査報告書である。同機構のグリア事務総長が日本で記者会見を行い、日本の財政健全化のためには、消費増税10%どころか、なんと26%までの引き上げが必要だと発言したものだ。」(現代ビジネス「ニュースの真相」)

報告書はOECDと財務省の合作

 高橋洋一氏は、OECDの対日審査報告書は、OECDと財務省の合作である、と指摘します。

「OECDの対日審査報告書は、日本政府、特に財務省の意向が色濃く反映されるからだ。というのは、対日審査報告書そのものが、OECDと日本政府(財務省)の合作であるし、財務省はOECDに有力な人物を派遣している。」(現代ビジネス「ニュースの真相」)

OECDと事務次長は元大蔵官僚

 高橋洋一氏は、OECDの事務次長は、玉木林太郎、河野正道のような、元財務(大蔵)官僚が就任していることを指摘します。
 
「たとえば2011年から16年までは、大蔵省に昭和51年に入省し、財務省財務官となった玉木林太郎氏がOECD事務次長を務めていた。その後任も、昭和53年大蔵省入省の河野正道氏が務めた。メディアでは、河野氏は金融庁出身と報じられているが、筆者からすれば旧大蔵省の官僚で、OECD事務次長のポストが大蔵省人事のひとつぐらいに扱われているように思える。」(現代ビジネス「ニュースの真相」)

消費増税26%は財務省の野望

 高橋洋一氏は、OECDの対日審査報告書の消費増税26%という結論は、実質的に財務省の意見であると解説します。

「それぐらい両者の関係は深いので、財務省の意向と真逆の報告がOECDから出るはずはない。筆者は、消費税26%は財務省の意見だと捉えている。」(現代ビジネス「ニュースの真相」)

田中秀臣氏も同様の指摘

 今回のOECD報告書が、実質的に財務省が関与するものであることについては、上武大学教授の経済学者田中秀臣氏も、同様の指摘をしています。

田中秀臣に学ぶ 消費税26%OECD報告



高橋洋一に学ぶ 財務省は金利収入を隠す



政府には多額の金融資産がある

 高橋洋一氏は、政府の借金が1000兆円あるといっても、政府は資産も同程度あるのだから、資産を売って解決すればよいのではないかという考え方に対して、以下のような指摘をします。

 以下、引用は、いわんかな#22-2【財務省とメディアに誤魔化されるな!】での高橋氏の発言です。

「資産って、金融資産が多くて、金融資産ってどういうのかというと、貸付金と出資金なんですよ。で、どこに貸し付けて、どこに出資してるのっていったら、はっきりいって特殊法人って天下り法人だから。それいったら天下りできなくなるから、それでって話ですよ。」

政府は金融資産からの金利収入を予算に計上していない

 高橋洋一氏は、国債の利払いが財政を圧迫しているという考え方について、実際には、政府の金融資産から国債の利払い分と同程度の金利収入があるので問題は発生しないと解説します。

 加えて、金利収入があるのに、それを予算に計上しないから、日本の財政が危ないとか、利払いで大変だという議論が行われることになる、と指摘します。

「私は別に売れとも言ったことないわけ。あのね金融資産があってね、そこに貸付金と出資金があって、貸付金は実は国債と同じ金利が来るから、実は負債のほうで国債の借金の利払費をしてるんだけど、こっちの金融資産で金利収入が同じ額あるから、それはそれで売らなくてもまわるんですよ。まわるんだけどね、こっちの金利収入のほうは予算にのっけないから、だから大変だ大変だって言うんですよ。全部乗っけろってしか言いようがない。(中略)せめてこちらの金利収入は載っけろって。したら利払い費なんて全然大したことないのすぐバレる、分かるでしょ。」

金利収入を隠す会計テクニック

 高橋洋一氏は、政府の多額の金融資産からの金利収入を、予算に計上せず、会計上隠す手法として、子会社に準備金としてプールさせておく手法を解説します。

「けっこう簡単なんですよ金利収入を乗っけないで会計処理するのは。それ会計テクニックとしてあってですね、金利収入を載っけなくて、子会社の資産のほうに準備金をつくれば、載っかんなくて済むんですよ。だから金利収入払わないでずーっと子会社の資産だけふくらますんですよ。」

バランスシート(資産の部の確認)

 高橋洋一氏の説明を参考に、平成29年度の日本政府のバランスシート(借方)を、確認してみます。

 有価証券の118兆円は、多くが米国債ですから、金利が発生します。
 貸付金の112兆円は、地方公共団体や政策金融機関への長期・低利の貸付けですから、金利が発生します。
 運用寄託金の111兆円は、将来の年金給付のために積立てですから、運用利益が発生します。
 このほか、出資金74兆円は、日本郵政株式会社、株式会社日本政策金融公庫、日本電信電話株式会社、日本たばこ産業株式会社、各国際空港株式会社、各NEXCO、各国立大学等多岐に渡ります。日本郵政株式会社やNTT等の株式会社からは、株主として、配当金による収益があるものと考えられます。

 確かに、多額の金融資産と、金利収入・配当金等が存在することが確認できます。

高橋洋一に学ぶ 財務省は金利収入を隠す
高橋洋一に学ぶ 財務省と野田元総理
高橋洋一博士に学ぶ 日本の財政再建は完了
高橋洋一博士に学ぶ 高度経済成長の理由
高橋洋一博士に学ぶ 復興特別税の問題点
高橋洋一博士に学ぶ 消費増税反対論
高橋洋一博士に学ぶ 緊縮財政は良くない
高橋洋一博士に学ぶ「国債の真実」

高橋洋一に学ぶ 財務省と野田元総理

高橋洋一に学ぶ 財務省と野田元総理



あらゆる判断力を喪失した野田元総理

 2011年8月、内閣総理大臣に就任した野田佳彦は、衆院選挙時の公約に掲げていなかったにもかかわらず、「消費税増税に命をかける」と宣言します。同年11月、国内で特段の議論を経ることもなく、フランスで開かれたG20で「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」との方針を表明。事実上の「国際公約化」することで、消費税増税を強力に推進しました。

 2012年3月、野田政権は消費税を10%とする社会保障と税の一体改革関連法案を国会に提出。「近いうちに解散する」と約束することで、民主党・自民党・公明党による3党合意を成立させ、消費税率を2段階で10%に引き上げる、いわゆる消費増税法を成立させています。その後、解散を約束した野田政権はレイムダック化、そのまま解散総選挙に突入し、民主党は大敗し下野しました。

 野田氏の、あらゆる政治的判断力を喪失したかのような行動の背景には、一体何があったのでしょうか。

財務省に取り込まれた民主党政権

 高橋洋一氏は、民主党政権が、財務省に取り込まれた理由を、以下のとおり解説します。

「2009年に民主党が政権を取ったとき、さすがに民主党の政治家は行政の当事者になるのは不慣れだったから、霞が関、特に財務省はうまく立ち回った。政権が成立直後の不安定なときだから、民主党もあまり無理は言えない。無理なことを言って官僚にヘソを曲げられたり辞められたりしたら行政が立ちゆかなくなるからだ。」

「実際、民主党政権下の財務省は、まず藤井裕久氏を財務大臣に迎え入れることに成功した。藤井氏は元大蔵官僚で政界入りしてからは、自民党から新生党へ移り、細川・羽田内閣で大蔵大臣になり、その後は自由党の幹事長を経て民主党でも幹事長を務めていた人物だ。民主党の鳩山政権で財務大臣になったが、体調不良(一説には小沢一郎氏との確執)もあり、財務大臣としての在任期間は短かった。」

財務省色に染まった野田佳彦

 高橋洋一氏は、野田佳彦元総理が、財務省に洗脳される過程を、以下のように解説します。

「財務省は藤井氏を大臣に迎え入れたが、藤井氏は自分の下の副大臣に野田佳彦氏を据えた。藤井氏は財務省幹部に『野田君が来たから彼を財務省色に染めてくれ』と言ったらしい。財務省は野田氏をまんまと財務省色に染め上げ、野田氏は鳩山政権後の菅政権で財務大臣になる。これは初入閣での起用で極めて異例な人事だったが、財務省としては都合のいい人間をそのまま副大臣から移行させたわけだ。」

 2010年、野田佳彦を財務大臣に据えた菅直人総理は、唐突に、消費税を10%にして社会保障分野に支出する福祉目的税化するという公約を掲げて参議院選を戦い、敗北しています。

財務省にすべてを捧げた野田元総理

 高橋洋一氏は、消費増税の実現のために退陣した野田佳彦の行動を、以下のように解説します。

「野田氏はその後、民主党政権の最後の首相になるわけだが、財務省のコントロールのままに動き、ついに消費増税という財務省の希望通りの政策を置き土産にして政権交代した。」

「野田氏は民主党が政権交代した選挙では、官僚利権を『シロアリ』と表現して、霞が関で『シロアリ退治』をすると息巻いていたが、シロアリ退治どころか消費増税という大失政に道筋をつけてしまったというわけだ。財務省にとってのみ都合のいい首相だったと言うしかない。」

高橋洋一に学ぶ 財務省は金利収入を隠す
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高橋洋一博士に学ぶ 日本の財政再建は完了
高橋洋一博士に学ぶ 高度経済成長の理由
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高橋洋一博士に学ぶ「国債の真実」



高橋洋一博士に学ぶ 日本の財政再建は完了

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日銀が国債を保有すると財政は破綻するのか?

 高橋洋一氏は、量的緩和政策による日銀の国債買い入れは、事実上の財政ファイナンスになっていると、あっさり認めます。

「量的金融緩和政策の柱は、国債の買い入れ、つまり買いオペレーションだ。日銀のバランスシートを見ると、買いオペによって国債の保有額がかなり積み上がっている。この買いオペについて、いわゆる日銀の『国債引き受け』とほぼ同じであり、日銀や政府の信任が崩壊して国債や円が売られ、その結果、財政が破綻する可能性が高い、などと批判する人もいる。日銀による買いオペが新規国債発行額を上回っているということは、すなわちその分は実質的に政府支出の財源となっていることになる。これは事実上の財政ファイナンスと言えるだろう。」

デフレ時は財政ファインナンスにリスクは無い

 高橋氏は、事実上の財政ファイナンスが行われているにもかかわらず、国債が売られることもなく、あまつさえ国債が不足している状態となっている現状について、デフレ時の財政ファイナンスにはリスクが無いからだと解説します。

「現実的にはむしろ国債の価格は上昇している(つまり国債の価値が高まっている)のだが、事実上の財政ファイナンスが行われているにもかかわらずなぜ国債が売られないのかと言えば、国債が品不足であることに加え、デフレ下の財政ファイナンスにはリスクがないからだ。財政ファイナンスをすれば、インフレ率が上昇する可能性が高い。インフレ時に財政ファイナンスを行った場合、さらなるインフレを招く危険性があるが、デフレ時ならリスクがないことに加えて、政府の債務を実質的に減らす効果があるのだ。」

量的緩和で実質的に政府の債務が減少した理由

 
 高橋氏は、量的緩和政策による日銀の買いオペレーションにより、事実上の財政ファイナンスの効果が生まれ、政府債務は大幅に減少しており、日本の財政再建は事実上完了したと解説します。

「政府と日銀の連結バランスシートを使い、日銀の買いオペで積み上がった国債を見てみよう。資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(当座預金を含む)増となっている。この負債構成の変化は、有利子の国債から無利子の日銀券への転換だ。国債の利払いを政府から日銀へした場合、それは国庫納付金であるから即座に政府へ戻される。つまり、政府にとって日銀保有分の国債はほとんど債務ではないことになる。連結ベースの国債額はこれにより減少するが、その結果、政府のネットベースの国債も大きく減少していくのだ。仮に年間80兆円という日銀の買いオペを続ければ、近い将来、ネット国債はゼロに近くなる。しかも市中に出回っている国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、実質的に債務が解消に向かい、ある意味で財政再建が完了したと言える状態になるのだ。」

高橋洋一博士に学ぶ 日本の財政再建は完了
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高橋洋一博士に学ぶ 復興特別税の問題点
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高橋洋一博士に学ぶ 緊縮財政は良くない
高橋洋一博士に学ぶ「国債の真実」



高橋洋一博士に学ぶ 高度経済成長の理由

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高度経済成長とバブル後の異常な低成長

 高橋洋一氏による、戦後の日本経済成長についての素描は以下のとおりです。

「日本は1960年代から10%の高度成長に入る。70年代と80年代も5%成長を維持してきた。だが、その成長路線は、バブル崩壊以降の90年代から急ブレーキがかけられる。90年代、そして2000年代以降は、名目も実質もほぼゼロ%程度の低成長に甘んじている。つまり、1990年を境として日本経済はまったく異質な状況となっている。」

円安が高度経済成長の原動力だった

 高橋氏は、日本が高度経済成長を達成できた最大の要因は、為替にあるとしています。

「なぜ日本が高度成長を成し遂げることができたのか。筆者の仮説は、為替レートが円安に設定されたことで輸出競争力が高まり、日本の高度成長の原動力になった、というものだ。」

「1971(昭和46)年8月、米国が金とドルの交換停止を発表したニクソン・ショックより前は1ドル=360円である。それ以降も80年代後半までは、管理された『変動相場制』だった。」

「よく『1971年に変動相場制へ移行した』と言われるが、実際にはその後、日本政府はずっとダーティーフロート(変動為替相場制において通貨当局が介入し、為替相場を恣意的に形成すること)をやって抵抗し続けた。耐えきれずに実力レートになったのが1985(昭和60)年のプラザ合意だ。」

日本が成長できなくなった理由

 高橋氏は、日本が経済成長できなくなった原因を、中央銀行が金融引き締め政策を取り続けたことによる、過度な円高にあると分析します。

「なぜ日本は高度成長ができなくなったのかという点である。端的に言えばバブルをつぶすために金融引き締めを行ったのが大きな間違いだった。これは日本銀行の失敗である。それはバブルだけでなく、日本経済全体をつぶしてしまった。」

「だが、90年以降も日銀はこの間違いを認めず、金融引き締めを続け、その後のデフレ経済を招き、過度な円高の原因にもなった。つまり、90年以前の日本は高成長国だったのが、90年以降は低成長国になってしまった。これほど成長率に格差がある国は、日本以外にはない。」

「この話をすると、ずっと『日本人の努力と技術力で高度成長を成し遂げた』という『神話』を信じている人たちは一様にがっかりする。『プロジェクトX』みたいな話を信じたい気持ちは分かるが、高度成長は日本人の特性とはまったく関係ない。身もふたもない話で恐縮だが、本当のことだから仕方がない。」

適切な金融政策があれば経済成長は可能

 高橋氏は、適切な金融政策さえ行えば、日本は再び成長できると分析しています。

「適切な金融政策をすれば、日本は再び成長できるということだ。」

「景気対策で重要なのは、実は公共投資を増やすような財政政策だけではない。金融政策こそ、日本を再び成長のできる国にする最も効果的な政策なのだ。」

高橋洋一博士に学ぶ 日本の財政再建は完了
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高橋洋一博士に学ぶ 復興特別税の問題点
高橋洋一博士に学ぶ 消費増税反対論
高橋洋一博士に学ぶ 緊縮財政は良くない
高橋洋一博士に学ぶ「国債の真実」



高橋洋一博士に学ぶ 復興特別税の問題点

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復興特別税とは

 高橋洋一氏による、復興特別税の導入に至る経緯と、その具体的な内容についての素描は以下のとおりです。

「平成25(2013)年、2年前の東日本大震災に関連して復興特別税が導入された。復興特別税は、平成23年度から平成27年度までの間において実施する施策に必要な財源を確保するための特別措置として、所得税、住民税、法人税に上乗せするという形で徴収されるものだ。」

「所得税は、本来の所得税額に2.1%の税率を乗じた金額を『復興特別所得税』として、平成25年以降の25年間導入することが定められている。法人税は平成24(2012)年4月1日以降から始まる事業年度からの3年間は減税を実施したうえで、税額の10%を追加徴収する。住民税は平成26(2014)年度から10年間、年間1000円引き上げることになった。」

復興特別税は非合理的

 高橋氏は、復興特別税は、課税平準化理論に反する、非合理的なものだと主張しています。

「課税平準化理論は、学部や修士課程で習う程度の経済学の基礎知識だ。一時的な経済ショックがあって財政出動した場合、増税によってその時点での財政収支を均衡させることは効率性の観点からも好ましくない。仮に100年に一度の震災があったときに増税するのなら、100年間にならすように平準化すべき、というのは、経済学に詳しくない人でも直観的にわかることだ」

「ところが復興財源確保法では、5年間の集中復興期間における歳出削減および税外収入による財源確保額を前提に臨時増税を行う内容となっている」

「本来100年かけてやるべきことを、ただでさえ大変な震災直後の20年間で撤収することになる。これはまったく理論的ではない」

財源は国債で調達すればよい

 高橋氏は、復興のための財源として増税をするのは間違いであり、国債を発行して対応するのが正しいと、解説しています。

「国債を大量に発行することによって財源を調達する。これが正しい。100年に1度のショックが起き、そのための財政支出が必要なら、『100年国債』を発行して負担を100年間に分割すべき」

国民の良心につけ込む財務省

 高橋氏は、被災地を助けたいという国民の心情を利用し、復興の美名を冠した増税により被災者をも苦しめる財務省のやり方を「悪魔の所業」と批判しています。

「国民全体が『被災地を助けたい』と願っている雰囲気に乗じて増税を狙う財務省の浅ましさには、怒りを通り越してあきれるばかりだ。」「大震災すらも増税のチャンスという悪魔のような財務省の狙い」「国民の良心につけ込んだ『悪魔の所業』である。」

高橋洋一博士に学ぶ 高度経済成長の理由
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高橋洋一博士に学ぶ 緊縮財政は良くない
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高橋洋一博士に学ぶ 緊縮財政は良くない

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マンデル・フレミング効果

 高橋洋一氏による、マンデル・フレミング効果の基本的な説明は、以下のとおりです。

「日銀はずっと金融引き締めを続けた。継続的な金融引き締め政策と財政政策の関係はどうなっているのだろう。これについては経済学の理論がすでにあり、それを『マンデル・フレミング効果』という。」

「マンデル・フレミング効果というのは、『変動相場制のときには財政政策は効かず、金融政策は効く。一方、固定相場制のときには、財政政策が効くが金融政策は効かない』という理論だ。」

バブル崩壊後の財政政策が失敗した理由

 高橋氏は、マンデル・フレミング効果により、バブル崩壊後の90年代の日本では積極的な財政政策が功を奏さなかったと述べます。

「変動相場制の日本で金融引き締め政策をすれば、いくら公共投資などの積極財政政策を採っても効果はない、というもので単純な理論でもある。」

「例えば、バブル後の日本は景気対策で公共投資を連発したが、この理論の通り、景気はいっこうに良くならず、巨額の国家債務だけが積み上がっていった。」

金融緩和のときの財政政策は有効

 高橋氏は、マンデル・フレミング効果を勘案しても、金融緩和のときには、積極的な財政政策に効果があると解説します。

「金融引き締めのときの財政政策は効果がない。逆に言えば、金融緩和のときに積極的な財政政策を採れば効果が出る、ということになるし、金融緩和政策を採ったときに緊縮財政をすれば金融緩和にブレーキをかけることになる。」

財務省はマンデル・フレミング効果を悪用する

 高橋氏は、緊縮財政論者が、マンデル・フレミング効果を曲解して宣伝し、緊縮政策を継続することに利用していると指摘します。

「マンデル・フレミング効果には若干注意も必要だ。これはマンデル・フレミング効果をモデル式として理解している者には当たり前なのだが、多くの読者は、マンデル・フレミング効果を言葉で単純な形でとらえる。」

「『変動相場制のときには財政政策は効かず、金融政策は効く』という表現で、財政政策は効かないというのは正確に言えば、金融政策をやらないという前提がある。十分に金融緩和していれば、利子率の変化、為替の調整などが起こらないので、財政政策は効くのだ。」

 「マンデル・フレミング効果を曲解し財政政策の無効をことさらに強調して緊縮財政に走る財務省は批判されるべきだ。」

メモ

 消費税増税論者や緊縮財政論者が、マンデル・フレミング効果を誤用・悪用することについては、中央大学教授の浅田統一郎氏も指摘しています。経済界の諸団体が口をそろえて「景気に影響の少ない消費税の増税により財政再建を」と言うのも、そうした論者の振り付けによるものでしょう。自分の主張に使えそうな結論部だけを拾い上げて理論構築をしてしまうのでしょうが、きちんとこのモデル式を勉強している人からみれば、モデルの前提を理解していないことによる間違い、ということのようです。

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高橋洋一博士に学ぶ 消費税を上げるな

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デフレ下で消費増税はあり得ない

 高橋洋一氏は、デフレ下で消費税の増税はあり得ないと主張しています。

「消費増税するとデフレ脱却ができなくなって、大変なことになる。消費増税は過去に3回あった。89年(0→3%)、97年(3→5%)、2014年(5→8%)の3回。このうち2回目と3回目は明らかな失敗。なぜなら当時『デフレ』だったからです。」

「1回目が失敗で無かったのは、当時はデフレからほど遠い『バブル』状況で、しかも、物品税の減税を並行してやったから。今回はどうなるかと言えば、デフレは脱却していないし、『減税』措置も筋悪の軽減税率しか想定されていない。」

経済成長すればPBはバランスする

 高橋氏は、デフレを克服し、経済成長をすれば、財政収入は増え、プライマリーバランスは改善するものと述べます。

「デフレがなければ当然、名目GDPは増えていたのであり、そうなれば、財政収入は当然増えていた。そもそもプライパリーバランス(基礎的財政収支、政府の行政支出と税収等の差額)の推移って実は、『一年前の名目成長率』に完全に依存して増減するんです。にもかかわらず、二十年間名目成長ほとんど0だった。こんな状況はちょっとありえないことですが、こんな状況じゃあ、財政収入が増えないのも当たり前です。」

日本の財政は悪くない

 高橋氏は、統合政府のバランスシートで見れば、日本の債務残高はほぼゼロであり、日本の財政に問題は無いと解説しています。

「世間には『財政再建のために増税を先送りするな』という人が結構いますが、『バランスシート』の視点からいうなら、財政は何も危なくないことは一目瞭然です。統合政府の場合でネットの債務残高をみるとほぼゼロ。これはG7の中で2番目にいいです。」

「一般的には、ネットの債務残高でもGDPの50~60%以下だったら全然たいしたことないと判断されますが、それどころか今ほぼ『ゼロ』になっているわけです。だからそういう意味では財政は全く悪くない。これは先日IMF報告書でも認めている。だから今、財政が悪いというのは全く『まやかし』なんです。」

バランスシートの発想が必要

 高橋氏は、財政政策においては、中央銀行を含めた統合政府バランスシートを見て発想することが必要であるし、それが世界の常識であると解説しています。

「やっぱり、正当な経済政策、財政政策は、バランスシートの発想が必要だと思う。しかも統合政府のバランス、つまり日銀を含めた連結のバランスシートをみて財政をやる。これが世界の常識ですよ。」

「バランスシートでみると、建設国債は見合い資産があるから、財政悪化にならない。そもそもPBは、ネット債務残高対GDP比が悪化するか改善するかに大きく関係しているから、財政指標になっている。このあたりはもっと国民が知ったほうがいい。」

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高橋洋一博士に学ぶ「国債の真実」

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企業は金を借りて運営する、国家も同じ

 高橋洋一氏は、企業が融資を受けて経営するのと同様、国家は国債を発行して運営するものであり、国の経営と個人の家計を混同して、借金を悪と見なす発想は間違っている、と指摘します。

「企業は融資を受けて経営する。政府は国債を発行して国家を運営する。政府の借金を個人の借金と混同して「悪」とすれば、本質を大きく見誤る。」

政府が発行した国債はどこに行くのか

 
 高橋氏は、国債の買受人が基本的に民間金融機関であると解説します。

「国債発行により、政府は誰から借金をするのか。基本的には銀行や信用金庫、証券会社などの民間の金融機関である。財務省と民間金融機関の間では、国債はつねに『入札』で売買される。入札が出そろったら財務省の担当者は、入札額が高い順に売り先を決めていき、発行額が足りたところで打ち切る。」

日銀は国債で得た利子収入を政府に上納している

 高橋氏による、買いオペレーション、通貨発行益(シニョリッジ)、国庫交付金の解説は、以下のとおりです。

「日銀が民間金融機関から国債を買うと、その代金は民間金融機関が日銀にもっている『日銀当座預金』に振り込まれる。日銀が民間金融機関から国債を買いお金を刷ることで、より多くのお金が市中に出回る。いわゆる買いオペレーション。」

「日銀は民間金融機関から買った国債の代金としてお金(日銀券)を刷る。日銀からすれば、国債を買い通貨を発行することで利子収入が発生する。そのため日銀が得る国債の利子収入を「通貨発行益」と呼ぶ。国債の利子収入は、通貨を発行することで生じる利益と言えるからだ。」

「日銀は、その通貨発行益を丸々国に納める。これを『国庫交付金』と呼ぶ。政府からすれば、税収以外の収入だから『税外収入』と呼ぶ。利子収入をもたらす国債は、日銀にとっては資産である。一方、日銀が発行する通貨(日銀券)は、日銀にとっては負債となる。」

日銀が国債を買うと円安になる

 高橋氏は、「日銀が国債を買うと円安になる」と解説します。

「金融緩和策は、為替にも影響する。為替が決まるメカニズムは『2つの通貨の交換比率』なので、通貨の『量』の比率で決まる。日本の円がアメリカのドルより相対的に多くなると、円の価値が下がり、円安になる。つまり、日銀が国債を買うと円安になる。」

国債が無くなったら 金融機関は商売ができない。

 高橋氏は、国債は金融市場には無くてはならないものだと述べます。

「国債は金融市場になくてはならない商品。金融市場では、国債以外にも株や社債といった金融商品が取引されているが、基本は『国債と何か』という取引。つまり、国債と株、国債と社債を交換するという取引が基本である。国債は、金融市場において、すぐにほかの商品と交換できる、非常に使い勝手のいい金融商品なのである。」

日本に財政問題は無い

 高橋氏は、バランスシートの負債から資産を引いた額「ネット」でみれば、日本に財政問題は存在しないと述べます。

「会計学では、負債の総額を『グロス』、負債から資産を引いた額を『ネット』という。大事なのはグロスではなくネット、つまり負債の総額ではなく負債と資産の差し引き額だ。政府には豊富な金融資産がある。さらに政府の『子会社』である日銀の負債と資産を合体させれば、政府の負債は相殺されてしまう。だから、日本に財政問題は無い。従って、増税の必要も歳出カットの必要もない。」

今の国債の発行額では足りないくらい

 高橋氏は、デフレ不況下においては、インフレになり過ぎない程度に、国債を発行するのが正しい財政政策と解説します。

「国債を発行するほど、政府が使うお金が増え、世の中に出回るお金が増え、結果的に物価が上がる。これはデフレ不況のときには、景気回復のための財政緩和策となるが、インフレが進みすぎると、それはそれでよくない。したがって国債の適切な発行額は、インフレになりすぎない程度、ということになる。」

中野剛志に学ぶ通貨と経済 
三橋貴明に学ぶ 消費税税を上げるな論①
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