三橋貴明に学ぶ 日本の財政再建は完了

三橋貴明に学ぶ 日本の財政再建は完了



日本国債のデフォルトの可能性はゼロ

 三橋貴明氏は、日本国債のデフォルトの可能性はゼロであると解説します。
 
「日本政府の負債は100%円建てだ。日本政府は子会社である日本銀行に日本円を発行させ、国債を買い取らせることで(いわゆる『量的緩和』がこれに該当する)、負債の返済負担を実質的に消せる。日本政府が自国通貨建ての国債の返済、利払いができず『財政破綻』する可能性はゼロだ。」

「それにもかかわらず、我が国では多くの識者と称する連中が『国際暴落』『財政破綻』といった出鱈目かつナイーブ(幼稚)な破綻論をまき散らし、デフレ脱却のための財政出動が妨害されてきた。」

ハイパーインフレーションは起こらなかった

 三橋氏は、日銀が膨大な国債買取りをしたにもかかわらず、2%のインフレ目標を達成できなかった理由は、緊縮財政政策によるものと指摘します。

「『そんなことをすると、ハイパーインフレーション(インフレ率1万3000%)になる!』などと、やはり幼稚極まりない反論を受けたものだが、現実の我が国において、日本銀行が2013年3月以降、300兆円超の日本円(主に日銀当座預金)を発行し、国債を買い取り続けている。ところが、2016年度のインフレ率はマイナス0.2%。ハイパーどころか、インフレにならないで困っている。」

「物価は我々が働き、生産した『モノやサービス』という付加価値が購入されることで初めて上昇するものだ。日本銀行がどれだけ莫大な国債を買い取ったところで、反対側で政府が緊縮財政という『モノやサービスを購入しない。民間に購入させない』政策を推進している以上、インフレ率が上がるはずがない。国債とは、モノでもサービスでもないのだ。」

日本の財政健全化は完了している

 三橋氏は、統合政府で考えると、日本の財政健全化は既に達成されていると、指摘します。

「『財政健全化』の定義は、政府の負債を減らすことはではない。政府の負債対GDP比率の低下である。財政破綻論を喧伝し、緊縮財政を推進したい財務省は、政府の子会社である日銀保有分の国債まで『国の借金』に積み上げ、危機感を煽っている。とはいえ、政府と中央銀行を『統合政府』としてとらえると、実は我が国はすでに財政健全化を達成しているのだ」

「政府と日銀を統合的にとらえ、日銀保有分を除く実質負債で対GDP比を見ると、2013年以降は減少していっている。」「日本銀行の量的緩和政策により、日本はすでに財政が健全化しているのだ。」

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岩田規久男に学ぶ 国債は将来世代へのツケ?

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国債は将来世代全体への負担ではない

 元日本銀行副総裁の岩田規久男氏は、国債発行は将来世代に負担を押しつけるものだという主張の誤りを指摘します。

「デフレから完全に脱却していない現在は、国債発行に財源を求めるべきである。ここで問題になるのは、『国債は国の借金のつけを将来世代に押しつけることである…』という考え方である。この財務省をはじめとする国債負担に関する一般常識は、基本的な点で間違っている。」

現在、国債が発行され、その国債を現在の日本国民が購入し、将来、増税されて、その税収で現在発行された国債が償還されるとしよう。将来の世代は増税でお金を失うが、政府は増税による税収で国債を償還するから、その国債償還によって、お金は将来世代に戻ってくる。つまり、お金は増税によりいったん政府に入るが、国債償還によって民間部門に戻ってくるから、将来世代全体の懐具合は全く変わらず、したがって、負担は全く生じない。

「これはもちろん将来世代全体にとっての話であり、償還される国債を持っていない人は、税金が取られるだけであるから、負担が生じる。しかし、『国債は将来世代全体の負担』になるという考えは、間違っている。」

外国人が日本国債を購入した場合も同じ

 岩田氏は、外国人が日本国債を購入した場合も、同様に、将来世代への負担にはならないと解説します。

「それでは、国債が外国人によって購入される場合は、どうであろうか。外国人が日本国債を買うと、日本政府がその国債を償還するとき、その財源は日本人が払った税金である。すなわち、国の借金を返済するのは日本国民であるが、借金の返済を受けるのは外国人である。そうであれば、『外国人が日本国債を買う場合は、国債は将来世代の負担になる』という結論が導かれそうである。しかし、これも間違いである。」

「仮に、アメリカ人が日本人から日本国債を買ったとしよう。アメリカ人は外国為替市場でドルを日本人に売って、円に換え、その円で日本人から日本国債を買う。すると、日本では、ドル資産と言う対米債権(アメリカ人は日本人にドルを売ったことに注意)が増える一方で、アメリカ人に将来、償還しなければならに対米債務が増える。この取引による、前者の対米債権の増加と後者の対米債務の増加は等しいから、日本の純対米資産(対米資産から対米債務を引いた金額)は変化しない。つまり、アメリカ人が日本国債を買っただけでは、日本の将来世代に遺される対米純資産が減少することはないから、日本の将来世代に国庫負担が生じることはないのである」

国債が将来世代の負担になるのは実質金利が上昇するときだけ

 岩田氏は、国債発行が将来世代への負担の押しつけとなり得るのは、実質金利が上昇するときだけであると解説します。

「国債の負担に関する正解は、『公債発行によって実質金利(正確には、予想実質金利〔名目金利マイナス予想インフレ率〕で定義される)が上昇しない限り、国債の将来世代負担は生じないが、実質金利が上昇する場合には、国債の将来世代負担が発生する』というものである。」

「財政支出(あるいは減税)の財源を増税から国債発行に換えたときに、増税の場合よりも(予想)実質金利が上がって、民間の設備投資が減るか、円高が誘発されて、経常収支の黒字が減少するか(あるいは、経常収支が赤字であれば、その赤字が拡大する)、これら、いずれかあるいは双方が起きる場合には、将来世代に遺される遺産(資本設備や対外純資産)が減少する。この資産の減少により、将来世代にとって消費可能な資源が減少する。この将来世代にとっての消費可能な資源の減少こそが、将来世代の国債の負担なのである。」

高橋洋一博士に学ぶ「国債の真実」



浅田統一郎に学ぶ 消費税を上げるな

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消費税は日本経済に悪影響を与えないという主張

 
 浅田統一郎氏は、マンデル=フレミング・モデルをもとに、「消費税は日本経済に悪影響を与えない」という主張をするものがいることを指摘します。

 「過去二回にわたって行われた消費税増税は日本経済に無視できない悪影響を与えたのであるが、消費税増税の悪影響を軽視して増税を正当化する発言が、財務省の影響下にある一部の経済学者や政治家等によってなされている。」

 「その経済学的根拠としてしばしば引き合いに出されるのが、以下の言説である。『マンデル=フレミング・モデルによれば、変動相場制のもとでは財政政策は、国民所得に影響を及ぼすことが出来ないという意味で無効になる。消費税増税も財政政策の一種であるから、消費税増税が国民所得や雇用に及ぼす悪影響はほとんどない。』」

マンデル=フレミング・モデルでも財政政策は有効

 浅田氏は、マンデル=フレミング・モデルは、「完全資本移動の小国モデル」という仮定に基づくものであり、その前提を欠く日本では、消費増税は国民所得に悪影響を与えることを解説します。

 「しかし、『変動相場制のもとでは財政政策は無効になる』という極端な結論は、『完全資本移動の小国モデル』という特殊な仮定に基づいていることは、あまり認識されていない。

 「日本は『不完全資本移動の大国』であり、この場合には、変動相場制下のマンデル=フレミング・モデルにおいても財政政策の効果は有効になり、消費税増税が国民所得や雇用に及ぼす悪影響は解消されないのである。」

2014年の消費税増税の悪影響が再び起こる

 浅田氏は、2019年に消費税を増税すれば、2014年の消費増税と同様に、インフレ目標の達成が遠のくことになると主張します。

 「事実、内閣府のデータによれば、2013年に『アベノミクス』が開始された当初は実質GDPの成長率は比較的高い年率2.0%であったが、2014年に消費税が5%から8%に引き上げられたときは、実質GDPの成長率は年率マイナス0.9%になってしまい、2%のインフレ目標の達成も遠のいてしまった(3%の消費税の増税により、物価水準が『一度限り』約2.4%上昇したが、このような物価上昇は『インフレーション』とは呼ばない)。

 「もし2019年に『予定どおり』消費税が引き上げられたら、確実に、同様の事態が発生し、現在好調の日本経済は、再び腰折れしてしまうであろう。」
 

アベノミクスの基本に帰れ

  
 浅田氏は、消費増税は延期ではなく中止し、金融緩和を継続しつつ、積極的な財政出動を行うべきだと主張します。

 「2019年10月に予定の消費税の増税は『延期』ではなく、『中止』すべきだと考えているが、それと同時に『アベノミクス』の基本に帰り、『第一の矢』の積極的金融緩和と『第二の矢』の積極的財政支出拡大を増税を伴わずに同時に行う『積極的な財政金融のポリシーミックス』を実行して、日本経済を一気に成長軌道に押し上げるべきだ。」

メモ

 消費税増税論者や緊縮財政論者が、マンデル・フレミング効果を誤用・悪用することについては、高橋洋一氏も指摘しています。経済界の諸団体が口をそろえて「景気に影響の少ない消費税の増税により財政再建を」と言うのも、そうした論者の振り付けによるものでしょう。自分の主張に使えそうな結論部だけを拾い上げて理論構築をしてしまうのでしょうが、きちんとこのモデル式を勉強している人からみれば、モデルの前提を理解していないことによる間違い、ということのようです。

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国債は将来世代全体への負担ではない

 元日銀副総裁の岩田規久男氏は、デフレ脱却までは、消費増税ではなく、国債発行で財源を確保すべきだと主張します。そして、国債発行は将来世代に負担を押しつけるものだという主張の誤りを指摘します。

「デフレから完全に脱却していない現在は、国債発行に財源を求めるべきである。」

「ここで問題になるのは、『国債は国の借金のつけを将来世代に押しつけることである…』という考え方である。この財務省をはじめとする国債負担に関する一般常識は、基本的な点で間違っている。」

現在、国債が発行され、その国債を現在の日本国民が購入し、将来、増税されて、その税収で現在発行された国債が償還されるとしよう。将来の世代は増税でお金を失うが、政府は増税による税収で国債を償還するから、その国債償還によって、お金は将来世代に戻ってくる。つまり、お金は増税によりいったん政府に入るが、国債償還によって民間部門に戻ってくるから、将来世代全体の懐具合は全く変わらず、したがって、負担は全く生じない。

「これはもちろん将来世代全体にとっての話であり、償還される国債を持っていない人は、税金が取られるだけであるから、負担が生じる。しかし、「国債は将来世代全体の負担」になるという考えは、間違っている。」

国債が将来世代の負担になるのは実質金利が上昇するときだけ

 岩田氏は、国債発行が将来世代への負担の押しつけとなり得るのは、実質金利が上昇するときだけであることを論理的に説明します。

「国債の負担に関する正解は、『公債発行によって実質金利(正確には、予想実質金利〔名目金利マイナス予想インフレ率〕で定義される)が上昇しない限り、国債の将来世代負担は生じないが、実質金利が上昇する場合には、国債の将来世代負担が発生する』というものである。」

「財政支出(あるいは減税)の財源を増税から国債発行に換えたときに、増税の場合よりも(予想)実質金利が上がって、民間の設備投資が減るか、円高が誘発されて、経常収支の黒字が減少するか(あるいは、経常収支が赤字であれば、その赤字が拡大する)、これら、いずれかあるいは双方が起きる場合には、将来世代に遺される遺産(資本設備や対外純資産)が減少する。この資産の減少により、将来世代にとって消費可能な資源が減少する。この将来世代にとっての消費可能な資源の減少こそが、将来世代の国債の負担なのである。」

異次元緩和によっても将来世代の負担は増加していない

 岩田氏は、現在までのところ、異次元緩和によって将来世代への負担は増加していないことを解説します。

「2013年4月の『量的・質的金融緩和』開始以後、現在までの日本では、国債発行を増やしても、実質金利は上昇していない。したがって、この期間については、国債の将来世代への負担の転嫁は発生していない。むしろ、デフレとそれによって生ずる円高によって、設備投資と輸出が減少することこそ、現在の世代だけでなく、将来に残される資産の減少による将来世代の負担をもたらすことに注意すべきある。」
 

安倍首相は初心に返るべき

 岩田氏は、2019年の消費税引上げに反対し、安倍首相に対し、初心に返って経済成長・デフレ脱却を目指すことを求めます。

「デフレを脱却できるかどうかという14年度に、わざわざ、国内初の需要抑制政策を実施したのは非常識であった。さらに、19年に2%の消費税再増税とはもってのほかである。」

「安倍首相は『経済成長無くしては、税収が増えず、財政債権はできない』という初心に返るべきである。」

メモ

「国債発行は将来世代にツケを回すこと」という主張に、亡西部邁氏は、「『ツケを子孫に残す』との理由で公債発行に猜疑の眼を向けるのは、『語るに落ちた』種類の話である。つまり、自分らの子孫にとって有益であるに違いない公共資産を今からいかに形成するか、という公共事業の原点をふまえているなら、我らの子孫はその受益に見合った支払いをなすだけのこと、と考えることができる。」(「エコノミストの犯罪」、西部邁)と述べ、批判していました。

 岩田氏の場合は、それとはまったく別の観点から、国債発行が将来世代の負担にはならないということを分かりやすく説明しており、目から鱗が落ちます。

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小室直樹博士に学ぶ 経済学の歴史と限界

小室直樹博士に学ぶ 経済学の歴史と限界



無限波及効果を分析できてこその社会科学

 どちらが原因でどちらが結果であるかわからない、すべてがすべてに相互連関しあっている社会現象は、原理的に実験はできません。もし、これを無視して因果関係に短絡すると、たいへん大きな誤りを犯すことになる。社会の一カ所におきた変化は、たちまち相互連関の網の目を伝わって、社会全体に影響をおよぼし、無限の波及効果をおこす。

 これを読みぬけてはじめて社会科学は科学と呼ぶにふさわしくなるのですが、たとえていえば、碁の名人が十手先、二十手先を読めるから名人といわれるように、学問も一手、石を置いて全局を見きわめるくらいに深まらなければ本当ではありません。

 経済学は一般均衡論によってはじめてこの任をはたし、最先進科学の栄誉をになうことができるようになりました。

経済学の歴史

 相互連関関係と無限の波及過程を分析する一般均衡論の完成には、ワルラス、パレート、ウィクセル、カッセル、ヒックス、サムエルソン、アロー、デブルーにいたる人々の系列により、約八十年間かかってつくりあげられたものでした。

 ワルラス以前の経済学は、ご存知のようにアダム・スミスからはじまり、リカード、ミル、ピグーにいたる古典派経済学でありました。古典派経済学の説くところは、一言でいえば、レッセ・フェール、すなわち、各個人が勝手に私利私欲を追求していけば、結果として社会全体がうまくいき、最大多数の最大幸福が実現するのだ、という、神の見えざる手によって導かれる予定調和説でありました。古典派は、一九二0年代にはじまった大恐慌で、英国では八百万人という大量の失業者が巷にあふれるのを眼前にしながら、なんらの有効な救済策を考え出すことができず、没落しました。

 ケインズは、「失業の原因は有効需要がないからだ。そのためには、ピラミッドをつくればよいではないか。さもなければ、穴を掘らせて、またそれを埋めさせよ。それで失業が救済されるのだ」と説き、一般均衡論の発端をつくりました。経済を解釈するだけで、これになにものも与えなかった古典派経済学から、政策立案に直接参画し、社会になにものかを与えようとする経済学へと変身しました。
 
 これと並行して、サムエルソンとヒックスの努力によって経済学は、ユークリッド、ニュートンにひきつづいて、人類のもった三大完全理論に加えられるにいたりました。

経済学の3つの前提とその限界

 それでは、この一般均衡論は実証されたのでしょうか。あまりにもリファインされた理論のすべてを実験するのは困難です。

 たとえば、物理学でも相対性原理における重力波の法則は、つい最近まで実験できなかったように、一般均衡論も理論の一部、とくに素朴な部分しか実験されていません。この実験は日本では経済企画庁のような経済官庁をはじめ、あらゆる官立の研究機関、民間の研究所、大学などが厖大なデータを集めて分析に協力していますが、いろいろ実験しにくい原因があります。この実験しにくい原因こそが、一般均衡論が完全理論に到達するために支払った大きな犠牲でありました。

 それでは、一般均衡論はどのような犠牲を支払って最先端理論となったのでしょうか。それは極度の単純化によって償われました。

一、経済人の仮定
 経済人(economic man;homo okonomikus)とは、人間が純粋に経済的な行動しかしないと仮定したモデルであります。消費者は効用を極大にすることを求め、生産者は利潤を極大にすることを求めるものと仮定します。

二、分離可能性の仮定
 経済現象をそれと密接な関係にある政治、社会、文化現象から分離して、独立におこり、推移するものと仮定しました。

三、変数、数量化の仮定
 経済的変数をすべて量で表わすことができるものと仮定しました。

 このような極度の単純化を行なった理論は、たしかに資本主義社会の本質をするどくついていて、発達した資本主義社会の高度成長期には威力を発揮しました。しかし、あまりにも条件の異なった社会では適用が困難となります。

 たとえば、そこに住んでいる人々の勤労のエトスがちがっていて、人々は最大の効用を求めて一生懸命に働くのでなくて、その日のわずかな糧を得れば労働をやめてしまうというような伝統的社会である発展途上国では、前提が成立しません。
 
 またジャガイモの価格も政治的に決定する社会主義国では、分離可能性の仮定が成り立ちません。

宮崎哲弥に学ぶ 消費税を上げるな

宮崎哲弥に学ぶ 消費税を上げるな



デフレ脱却の機会を逃した19年前

 宮崎哲弥氏は、小渕恵三首相が急逝せず、その経済政策が続いていれば、日本に失われた20年は無かったかもしれないと述べます。

 「小渕恵三首相が2000年に急逝しなかったら、もしかすると早期にデフレ脱却できていたかもしれません。あの時に財政出動とともにもっと大胆な金融緩和を実施していればデフレは早期に収束していた可能性が高い。オブチノミクスの効果が現れた2000年度の実質GDP成長率は2.5%です。しかし名目GDP成長率の方はその半分の1.2%に過ぎなかった。デフレで目減りしたのです。」

 「そして小渕氏が5月に亡くなり、同年8月長期デフレ戦犯の一人、速水優日本銀行総裁(当時)は、小渕さんの死を待っていたかのように、早々にゼロ金利政策を解除してしまうのです。」

野田佳彦の愚行

 宮崎氏は、名目成長率の政策目標すら掲げなかった、野田佳彦元首相の、愚かな行為を否定します。

 「民主党政権だと鳩山政権、菅政権までは一応名目成長率3%を政策目標に掲げていたのです。ところが、野田政権ではこの目標すら降ろしてしまった。名目3%の成長無くして、安定的な政府債務管理は困難です。」

デフレを脱却しなければ財政問題は解決しない

 宮崎氏は、財政赤字累積の原因は、デフレにあることを指摘します。

 「この20年の一般会計税収の推移をみれば、財政赤字累増の主因の一つがデフレ、超低成長にあったことは間違いないのです。ですから、減り続けてきた所得税や法人税の税収を補うため、『景気動向に税収が左右されない』消費税に重点を置くことがアドホックな政策として認められた。けれどもデフレ超低成長というマクロ状況から脱却しなければ財政問題の根本的な解決にならないことは、子どもが考えたってわかる理屈です。」

安倍首相は唯一の政治的遺産を捨てるのか

 宮崎氏は、フィナンシャルタイムズの社説を紹介し、安部首相に対し、消費増税を思いとどまるように求めます。

 「昨年の5月に、イギリスのフィナンシャル・タイムズは社説でこう述べています。『愚かで客観性に欠ける財政目標など無視して、適正なインフレ率の回復が決定的になるまで歳出を拡大し続けるべきである。この4年間で政策の失敗はあったが、その失敗はどれもアベノミクスがやりすぎだったからではなく、足らなすぎだったために引き起こされたのである』」。

 「また昨年7月の社説では安倍さんにこう忠告した、『物価上昇が弱いうちに増税せよという要求にあらがう必要がある』『安倍時代の終わりが視界に入っている。安倍氏は時に、経済政策を権力掌握の方法としか考えていない印象を与える。小さな改憲に自分の政治的遺産がかかっているのではないことを認識しなければならない。安倍氏の政治的遺産は、20年にわたるデフレを終わらせた人物になるかどうかにかかっている』」。

増税は3%成長が2年以上続いてから

 宮崎氏は、消費増税は、3%以上の名目成長率が2年以上続いてからにすべきだと主張します。

 「2003年~2007年には実質成長率が毎年1.64%ずつ向上していました。この時プライマリーバランスは近年で最も達成に近づいたのです。中央政府と地方政府の合計をベースするとあと6.5兆円というところでした。2007年度の一般会計税収は51兆円に上りました。1998年以来最大だった。内訳をみると、この間(2003年~2007年)に法人税、所得税の税収が右肩上がりに増えています。つまり経済成長は、財政状態を確実に改善するということです。デフレを完全脱却し、年率2%程度の”平熱”のインフレを実現できれば、もっと財政効果が上がる。もし2%の穏やかな物価上昇が33年間続けば、国債の実質価格は半減します。」

 「とにかく要諦は、財政金融政策によって名目成長率3%の軌道に乗せることができれば財政もまた立ち直るということですよ。増税はそのあとでも決して遅くない。3%以上の名目成長率が2年以上続いたら、塁進直接税あたりから増税を考えはじめてもいい。それが達成されるまでは増税、まして消費増税なんか持っての外。」

メモ

 宮崎哲弥さんは、上記のフィナンシャルタイムズの社説を、あらゆるところで話しています。それだけ、安倍政権について的確にとらえたものだと感じているのでしょう。たしかに、安倍政権が、国民に評価され、政権を長期化させることができたのは、白川日銀総裁に辞表を出させ、黒田日銀総裁に大規模金融緩和を実行させたことにより、インフレ目標は達成できなかったもののデフレを改善し、若者の雇用などを大幅に改善した経済政策だと思われます。

 安倍首相は、その唯一最大の功績を捨て、歴史上ただ一人2回も消費税を増税し日本経済と国民生活を破壊した首相として歴史を残すことになるのでしょうか。

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三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな②

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97年の消費増税以来実質賃金は減少している

 三橋貴明氏は、1997年の消費増税以来デフレで物価が下がるなか、それ以上のペースで実質賃金が減少していることを指摘します。

「日本の実質賃金指数は、橋本龍太郎政権が消費税率を3%から5%に引き上げ、公共投資削減などの一連の緊縮財政を強行した1997年以降、経済のデフレ化を受け、中期的に下落していった。恐ろしいことに、デフレで物価が下がっているにも関わらず、それ以上のペースで所得が縮小し、実質賃金が落ち込んでいったのだ。日本の実質賃金は、橋本政権が消費税を造成する直前、すなわち97年1~3月期をピークに、すでに15%近くも下落してしまった。」

実質賃金が減少すれば国民は貧困化する

 三橋氏は、これまでの消費増税の影響により国民が貧困化し、国民の貧困化により消費が減少し、さらに貧困化が進むという悪循環を指摘します。

「日本の実質賃金は、橋本政権が消費税を造成する直前、すなわち97年1~3月期をピークに、すでに15%近くも下落してしまった。第2次安倍政権発足以降も、実質賃金は大きく下げている。無論、2014年4月の消費税率8%の引き上げの影響だ。何しろ、消費税とは強制的な物価の引き上げである。物価は上昇するものの、デフレで所得が伸び悩むため、実質賃金は大きく下がらざるを得ない。つまり、国民の貧困化が進む。貧困化した国民は消費を減らす。消費が減れば所得も減り、さらに消費を減らす。この「悪循環」をいつまで続ける気か。」

14年の消費増税は8兆円のダメージ

 三橋氏は、2014年の消費増税は日本に8兆円の消費縮小というダメージを与えたと指摘します。

「2014年4月の消費増税は、日本の国民経済に『民間最終消費支出』の縮小という形で、実質8兆円のダメージを与えた。2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げも、同規模のダメージが発生する可能性が濃厚である。」

増税による実質消費の落ち込みは一時的なものではない

 
 三橋氏は、2014年の消費増税は、日本の実質消費にリーマンショック以上の影響を与え、なおかつ、その落ち込みは一時的なものではなかった点を指摘します。
 
「2014年の消費増税により、日本の実質消費は大きく落ち込み、何とリーマンショック期の値すら軽く下回ってしまうのだが、当時の日本政府は、『消費の落ち込みは一時的に過ぎず、V字回復する』と、主張していた。恐るべきことに、増税から4年以上も経過したにもかからず、日本の実質消費は低迷を続け、回復の気配すら見せていない。」

「しかも、安倍政権は消費税による増収分の8割を負債返済に回してしまった。負債返済は、実体経済における消費にも投資にも該当しない。つまりは、誰の所得も生み出さない。安倍晋三総理大臣は日本の憲政史上、最も国民を貧困化させ、消費『量』を減らした総理大臣である。」

消費減税もしくは消費税廃止を

 三橋氏は、消費税は、減税もしくは廃止すべきと主張しています。

「現在の日本は、消費税の増税どころか、減税、あるいは『消費税廃止』を検討しなければならない局面である。」

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三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな①

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日本が本格的なデフレに突入した原因

 三橋貴明氏は、1997年に橋本龍太郎内閣が消費増税をし、公共事業を削減したことで、日本が本格的なデフレに突入したことを指摘します。

「デフレを是正するには、供給能力を削るか、需要を上げるしかありません。しかし、供給能力を下げるということは失業が拡大するということですから、需要を上げるしかないのです。そこで、国が強制的にお金を使って公共事業を起こし、政府が有効需要をつくり出す必要が出てくるのです。」

「日本は、バブル崩壊後の1997年に橋本龍太郎内閣が構造改革路線に舵を切り、さらに財政規律のためということで消費税を上げ、公共事業削減を始めました。これにより10年以上にわたるデフレに日本は苦しむことになったわけです。」

IMFには財務官僚が出向している

 三橋氏は、財務省がIMFに財務官を出向させ、IMFの報告による外圧によって増税を実現しようとしていることを批判します。

「財務省が財務官をIMF(国際通貨基金)の中に何十人も出向させている。IMFはことあるごとに、日本の財政について問題視する発言をしています。とはいえ、これはIMFではなく、IMFに出向している日本の財務官僚が言っているわけです。」
 
「IMF内の財務官僚に『消費税を上げるべきだ』と発言させて、それを「IMFがそう言っている」というふうに世論に訴えかけて、消費税増税に持ち込もうとしています。本当に悪辣というか、よくここまでやると、むしろ賛嘆したくなるほどです。」

財務官僚は外圧を利用して消費増税を実現しようとする

 三橋氏は、財務省がG20で野田佳彦総理に消費税を増税すると発言させ、国際公約化することで、消費増税を実現しようとした手法について、批判します。

「官僚が『自分たちの目的』を達成するために、アメリカを利用しようとしているだけですね。消費税増税も同じです。野田総理がG20で『消費税10%』を明言しました。といいますか、財務省がそう発言させました。明らかに、外圧によって消費税増税を果たそうとしている。国内でまともに議論しても勝てないから、外の力を引き込むことによって、日本を自分の思い通りに変えようとしている。」
 
「財務省が、国内の議論をろくに経ぬまま、野田首相に海外で『消費税を増税します』などと言わせて国際公約にしてしまうといったやり方は実に姑息です。」

中間層を増やすしかない

 三橋氏は、消費増税などよりも、富裕層への課税を増やし、中間層を強化することが、日本のためになると主張します。

「消費税の増税などは、単に消費を落ち込ませるだけです。もし増税するのなら、富裕層に対する課税を増やせばいい。そして中間層を増やし、その層をレベルアップする。『そんなことをすると、海外に金持ちが資産を持って逃げる』と言う人がいますが、そもそも日本円は日本国内でしか使えないので、単に円安になるだけです。」

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田中秀臣に学ぶ 経済用語の基本



名目GDPと実質GDPの違い

 名目GDPとは、生産された最終財・サービスの数量に、その時点における物価指数を乗じたものの合計額である。それに対して、実質GDPとは、ある基準年を定めて、この基準年の物価指数と、ある年に生産された最終財・サービスの数量をかけ合わせたものになる。

 つまり、2003年の名目GDPが実質GDPを下回るということは、基準年の物価水準にくらべて2003年時点の物価が低下していることを意味している。

通常は実質GDPを見て景気を判断する

 エコノミストが景気を判断するときは、実質GDPの成長を見るのが通常である。

 実質GDPの成長率は、

  (今期のGDP - 前期のGDP) ÷ 前期のGDP 

で示される。

 この値が少なくとも2四半期(六ヵ月)以上連続して負になると、「景気後退期(リセッション)」とされ、プラスの値になると、「景気拡張期」とされる。

物価の動向を見る上で重要な二つの指標

 GDPデフレーターと消費者物価指数(CPI)である。

GDPデフレーター

 GDPデフレーターとは、名目GDPを実質GDPで割ったものである。

 つまり、

 GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP

と定義されている。

 このGDPデフレーターは、その経済における最終財(最終的に生産された財・サービス)の平均価格の上昇率になっている。

消費者物価指数(CPI)

 消費者物価指数とは、私たちが購入する財・サービスの平均価格の指標である。

インフレ・ギャップとデフレ・ギャップ

 総需要が総供給を上回るとき、その上回った分をインフレ・ギャップといい、総供給が総需要を上回るとき、その上回った分をデフレ・ギャップという。これが繰り返し生じることによって景気循環が起こると考えられており、インフレ・ギャップとデフレ・ギャップを合わせたものをGDPギャップと総称している。

 「デフレ不況」とは、総需要の減少によってこのデフレ・ギャップが拡大することであり、それによって失業や物価下落が生じていると考えていい。



三橋貴明に学ぶ「新自由主義」の問題点

三橋貴明に学ぶ「新自由主義」の問題点



新自由主義はデフレを想定していない

 三橋貴明氏は、新自由主義は、そもそもデフレを想定していない政治思想である、と述べます。

「元官僚の方々が「デフレの恐怖」を実感できないのは、もちろん官僚時代に「保障された所得」の下で、日々の生活を送っていたためだろう。しかし、もう1つ、日本国民の多くが気づいていない、あるいは知らない理由があるのだ。」

「それは、現在の日本の官僚や評論家が好む「構造改革」「財政健全化」といった手法の背後にある思想、すなわち「新自由主義」がデフレを想定していないことである。」

新自由主義は高いインフレ率を抑制するために生まれた思想

 三橋氏は、新自由主義は、そもそも高いインフレ率を抑制するための思想なのだ、と述べます。

「新自由主義とは『高いインフレ率を抑制する』ために、生まれた思想なのである。」

「例えば、構造改革派が主張する『規制緩和』『公営企業の民営化』『外資導入』は、すべて『供給能力を高め、インフレ率を抑制する』ための政策だ。」

「また、財務省お好みの『増税』『社会支出削減』『公共事業削減』といった緊縮財政政策は、『需要を縮小させ、インフレ率を抑制する』ための政策なのである。」

中央銀行の独立性もまたインフレを抑制するための仕組み

 三橋氏は、中央銀行の独立性強化というのも、そもそもインフレ率を抑制するための施策だ、と述べます。

「さらに言えば、中央銀行の独立にしても、『中央銀行が政府からの圧力で過剰な通貨発行を行い、インフレ率を高める』ことを防止するための施策だ。」

「日本銀行の独立性強化を含め、バブル崩壊後の日本は、新自由主義的な発想に基づき、延々と上記の『インフレ対策』を実施し、国内のデフレを深刻化させてきた。」

「デフレ環境下でインフレ対策を継続してきたわけだから、わが国のデフレが年を追うごとに深刻化しないほうが不思議だ。」

グローバル化も構造改革も、実はデフレを加速させる政策

 三橋氏は、グローバル化や構造改革は、そもそもデフレを悪化させる政策だ、と述べます。

「グローバル化も構造改革も、実はデフレを加速させる政策です。国民経済の供給能力を高めるわけですから。しかしいまの日本では、需要を供給能力が上回っている状態です。その差をデフレ・ギャップと言いますが、この額は20兆円とも40兆円とも言われています。にもかかわらず、構造改革やグローバル化を推進すれば、デフレを是正するどころか、より悪化させるのは当然のことでしょう。」

新自由主義は上手くいってもろくな社会を作れない

 
 三橋氏は、新自由主義は、そもそも成功してもまともな社会を作れない、と述べます。

「世界的に上記の新自由主義に対する批判の動きが見られるようになった。何しろ、新自由主義は「うまくいっても」国内の所得格差を拡大し、国民の多くが繁栄から取り残されてしまうという現実が、明らかになってしまったためだ。2011年9月からアメリカで起こった「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)」運動は、まさにその典型である。」

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