税理士制度の歴史

税理士制度の歴史

 面倒な税金の申告をお願いできる税理士さん。いろいろと勉強しなくても、損しないように処理してもらえて、助かりますね。

 歴史的沿革を調べてみると、日本の税理士は、社会的必要があり自然発生したものを、あとから規制を作り資格業化したものでした。

税務代弁者

 明治になり、税制が近代化されていくなか、商工業者が、申告書の作成を、退職した税務官吏や、会計の知識があるものに依頼するようになります。
 
 明治後期にはこれが職業として成立しており、税務代弁者と呼ばれるようになります。
 
 悪質業者の取り締まりなどのために、明治45年(1912年)に大阪府で「大阪税務代弁者取締規則」が、昭和12年(1937年)に京都府で「京都税務代弁者取締規則」が制定されるなど、条例を作り規制した地方もあります。

 

税務代理士の誕生

 昭和17(1942年)年2月21日、税務代理士法(法律第46号)が規定されます。

 税務代理士の業務範囲は、

 第一条 税務代理士ハ所得税、法人税、営業税其ノ他命令ヲ以テ定ムル租税ニ関シ他人ノ委嘱ニヨリ税務官庁ニ提出スベキ書類ヲ作成シ又ハ審査ノ請求、訴願ノ提起其ノ他ノ事項(行政訴訟ヲ除ク)ニ付代理ヲ為シ若ハ相談ニ応ズルヲ業トス
 

 とされました。

 そして、第二条で、税務代理士の資格を与えられるものとして、

 ・弁護士、
 ・計理士(公認会計士の前身)、
 ・定められた官庁で三年以上国税の事務に従事した者、
 ・租税または会計の学識経験者、

と定めた上で、第四条で税務代理士になるには主務大臣の許可を得ることと規定されました。
 
このとき、既に税務代弁者の業務をしていた人たちはどうなったかというと、

 税務代理士法の附則で、

 施行から二ヶ月以内に主務大臣の許可を得れば第二条は適用しない

という形で救済されたようです。 

税理士の誕生

 昭和26年(1951年)6月15日 税理士法(法律第237号)が制定さます。
 
 税理士の業務は、

 第二条 税理士は、他人の求に応じ、所得税、法人税、相続税、富裕税、附加価値税、市町村税、固定資産税、事業税、特別所得税
又は政令で定めるその他の租税(以下「租税」という。)に関し左に掲げる事務を行うことを業とする。(以下この業務を「税理士業務」という。)
 

 一 申告、申請、再調査若しくは審査の請求又は異議の申立、過誤納税金の還付の請求その他の事項(訴訟を除く。)につき代理すること、(以下この事務を「税務代理」という。)
 

 二 申告書、申請書、請求書その他の税務官公署(税関官署を除く。以下同じ。)に提出する書類を作成すること。(以下「この事務を「税務書類の作成」という。)
 

 三 第一号に規定する事項につき相談に応ずること。(以下この事務を「税務相談」という。)
 

と規定されました。

 そして、第二条で、税理士になれるものとして、

 ・弁護士
 ・公認会計士
 ・税理士試験に合格した者(実務経験二年以上) 
 ・学識経験・行政事務経験等による科目免除が全部に及ぶ者

などとされ税理士は試験制になりました。

 平成30年(2018年)の現行法は、以下のとおりです。専門家でなければ読む必要はありません。


(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の三第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十四条第一項において同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。
3 前二項の規定は、税理士が他の税理士又は税理士法人(第四十八条の二に規定する税理士法人をいう。次章、第四章及び第五章において同じ。)の補助者としてこれらの項の業務に従事することを妨げない。
 
 

 昭和26年に誕生した時と骨格は同じですね。

税理士の特色

 ところで、上記の規定では、税務書類の作成や税務の相談は税理士にしかできないことになりますが、そこに添付するための書類の多くは税理士法で規制されていないため、とくに資格のない人が記帳代行をして決算書を作り、税務申告の寸止めまで用意して、申告書は提携している税理士が判子を押すというような形で事業をしているところがあるのを見かけます。

 税理士事務所の番頭のような仕事をしていた人が、お客さんを連れて無資格のまま独立して「〇〇経営会計」などの名称で仕事をはじめたり。
 あるいは、父が税理士で、税理士事務所と同じ建物内に「株式会社〇〇経営会計センター」というような名称の法人を作っていたところ、お父上が亡くなって、法人のほうは無資格の息子さんが後を継ぎ会計業務を継続し、その建物の中にお父上の代から雇われていた税理士さんが、一室与えられて、税理士として申告業務をしている。無資格の息子さんのほうが社長と呼ばれて、対外的に格上に見える、というようなケースもみかけます。

 なんだか、税理士法が、骨抜きになっているような違和感を覚えますが、こうした現象は、提携行為がかなり厳しく禁じられている、弁護士や司法書士のような資格では、ほとんど見られませんので、税理士の特色と言えそうです。