三橋貴明に学ぶ 脱官僚主導の方法

三橋貴明に学ぶ 脱官僚主導の方法



財務省は政治家に海外に向けて消費増税を宣言させる

 
 2019年4月11日、麻生太郎財務大臣は、G20財務相・中央銀行総裁会議の場において、2019年10月1日に予定している消費税率10%への引き上げを表明しました。

 三橋貴明氏は、財務省が、G20の場などを利用して、政治家に消費税増税を宣言させて「国際公約」にする手法を批判しています。

「財務省が、国内の議論をろくに経ぬまま、野田首相に海外で『消費税を増税します』などと言わせて国際公約にしてしまうといったやり方は実に姑息です。」

「族議員」が排除され官僚主導になった

 三橋貴明氏は、官僚主導の原因として、専門知識を有し、政治主導の能力と専門知識を有する「族議員」が、改革の美名のもとに排除されたことを指摘します。族議員こそが、政治主導の証であったと解説します。
 確かに、平成のはじめころには、各分野に精通した「ドン」と呼ばれる大物政治家がいました。それらが、政治家の利権につながるものとして、族議員が排除されてしまい、専門性を有する政治家がいなくなり、官僚がすべてを決定するようになってしまいました。特に、与党経験のない民主党が政権を奪取した際には、菅直人と野田佳彦は、予算編成のために、財務省の言うことにすべて従う状態になってしまいました。

「菅直人政権・野田佳彦政権は、財務省が主導する財政再建、増税路線をひた走っています。そうなってしまった理由として、そもそも政治主導、官僚主導の定義自体を、多くの人々が勘違いしていることにあるのではないでしょうか。まず『族議員』という言葉がありますが、そもそも族議員の存在は、政治主導の前提であるはずです。国民から選ばれた議員が、特定省庁の管轄分野に関して政策決定権を持つ、それによって国民の負託に応える、これが族議員であるはずです。つまり族議員の存在そのものが、政治主導の証であるわけですね。」

「ところが『改革』の名の下に族議員が次々に排除され、今の日本は逆に完全な官僚主導になってしまった。それなのに表向きは『官主導を排し、政治主導を実現!』などと言っている。政治主導の根元を破壊しつつ、それを政治主導と呼んでいるわけですから、二重の意味でおかしいのです。」

 

デフレ下での消費増税は問題がある

 三橋貴明氏は、デフレ下での消費増税は、消費を減少させ、デフレを深刻化させる、と解説します。

「現在は財務省の路線に沿って、野田総理は増税路線に突き進もうとしています。しかし、デフレの日本で増税などしたら、ますます消費が冷え込み、デフレが深刻化するのは目に見えています。そういう意味では、現在の官僚組織で最も問題があるのは財務省といえるでしょう。」

中川昭一の酩酊会見は財務省の策謀

 三橋貴明は、中川昭一の酩酊会見は、中川昭一が、財務大臣として財務官僚と戦っていたことから、官僚に嵌められたと指摘しています。

「故・中川昭一財務大臣みたいに、明らかに陥れられたケースもありますよね。中川氏は麻生内閣の財務大臣として、もう無茶苦茶に財務省と喧嘩していた。結果、両脇に財務官僚がいる状態で、あの酩酊会見です。普通、大臣が会見に出られないような状況であれば、官僚が止めると思うのですが、あのときはそれがなかった。」

「中川財務大臣は、とにかく財務省と激しく対立していたんです。あの酩酊会見は、明らかに財務省の策謀ですよ。何しろ、横に財務官僚が2人いたわけですから、普通は止めるでしょう。しかもその2人のうち1人はIMF(国際通貨基金)の副専務理事に出世しています。」



三橋貴明に学ぶ 日本の財政再建は完了

三橋貴明に学ぶ 日本の財政再建は完了



日本国債のデフォルトの可能性はゼロ

 三橋貴明氏は、日本国債のデフォルトの可能性はゼロであると解説します。
 
「日本政府の負債は100%円建てだ。日本政府は子会社である日本銀行に日本円を発行させ、国債を買い取らせることで(いわゆる『量的緩和』がこれに該当する)、負債の返済負担を実質的に消せる。日本政府が自国通貨建ての国債の返済、利払いができず『財政破綻』する可能性はゼロだ。」

「それにもかかわらず、我が国では多くの識者と称する連中が『国際暴落』『財政破綻』といった出鱈目かつナイーブ(幼稚)な破綻論をまき散らし、デフレ脱却のための財政出動が妨害されてきた。」

ハイパーインフレーションは起こらなかった

 三橋氏は、日銀が膨大な国債買取りをしたにもかかわらず、2%のインフレ目標を達成できなかった理由は、緊縮財政政策によるものと指摘します。

「『そんなことをすると、ハイパーインフレーション(インフレ率1万3000%)になる!』などと、やはり幼稚極まりない反論を受けたものだが、現実の我が国において、日本銀行が2013年3月以降、300兆円超の日本円(主に日銀当座預金)を発行し、国債を買い取り続けている。ところが、2016年度のインフレ率はマイナス0.2%。ハイパーどころか、インフレにならないで困っている。」

「物価は我々が働き、生産した『モノやサービス』という付加価値が購入されることで初めて上昇するものだ。日本銀行がどれだけ莫大な国債を買い取ったところで、反対側で政府が緊縮財政という『モノやサービスを購入しない。民間に購入させない』政策を推進している以上、インフレ率が上がるはずがない。国債とは、モノでもサービスでもないのだ。」

日本の財政健全化は完了している

 三橋氏は、統合政府で考えると、日本の財政健全化は既に達成されていると、指摘します。

「『財政健全化』の定義は、政府の負債を減らすことはではない。政府の負債対GDP比率の低下である。財政破綻論を喧伝し、緊縮財政を推進したい財務省は、政府の子会社である日銀保有分の国債まで『国の借金』に積み上げ、危機感を煽っている。とはいえ、政府と中央銀行を『統合政府』としてとらえると、実は我が国はすでに財政健全化を達成しているのだ」

「政府と日銀を統合的にとらえ、日銀保有分を除く実質負債で対GDP比を見ると、2013年以降は減少していっている。」「日本銀行の量的緩和政策により、日本はすでに財政が健全化しているのだ。」

三橋貴明に学ぶ 消費税税を上げるな①
三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな②
三橋貴明に学ぶ「新自由主義」の問題点
三橋貴明に学ぶ 日本の財政再建は完了



三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな②

三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな②



97年の消費増税以来実質賃金は減少している

 三橋貴明氏は、1997年の消費増税以来デフレで物価が下がるなか、それ以上のペースで実質賃金が減少していることを指摘します。

「日本の実質賃金指数は、橋本龍太郎政権が消費税率を3%から5%に引き上げ、公共投資削減などの一連の緊縮財政を強行した1997年以降、経済のデフレ化を受け、中期的に下落していった。恐ろしいことに、デフレで物価が下がっているにも関わらず、それ以上のペースで所得が縮小し、実質賃金が落ち込んでいったのだ。日本の実質賃金は、橋本政権が消費税を造成する直前、すなわち97年1~3月期をピークに、すでに15%近くも下落してしまった。」

実質賃金が減少すれば国民は貧困化する

 三橋氏は、これまでの消費増税の影響により国民が貧困化し、国民の貧困化により消費が減少し、さらに貧困化が進むという悪循環を指摘します。

「日本の実質賃金は、橋本政権が消費税を造成する直前、すなわち97年1~3月期をピークに、すでに15%近くも下落してしまった。第2次安倍政権発足以降も、実質賃金は大きく下げている。無論、2014年4月の消費税率8%の引き上げの影響だ。何しろ、消費税とは強制的な物価の引き上げである。物価は上昇するものの、デフレで所得が伸び悩むため、実質賃金は大きく下がらざるを得ない。つまり、国民の貧困化が進む。貧困化した国民は消費を減らす。消費が減れば所得も減り、さらに消費を減らす。この「悪循環」をいつまで続ける気か。」

14年の消費増税は8兆円のダメージ

 三橋氏は、2014年の消費増税は日本に8兆円の消費縮小というダメージを与えたと指摘します。

「2014年4月の消費増税は、日本の国民経済に『民間最終消費支出』の縮小という形で、実質8兆円のダメージを与えた。2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げも、同規模のダメージが発生する可能性が濃厚である。」

増税による実質消費の落ち込みは一時的なものではない

 
 三橋氏は、2014年の消費増税は、日本の実質消費にリーマンショック以上の影響を与え、なおかつ、その落ち込みは一時的なものではなかった点を指摘します。
 
「2014年の消費増税により、日本の実質消費は大きく落ち込み、何とリーマンショック期の値すら軽く下回ってしまうのだが、当時の日本政府は、『消費の落ち込みは一時的に過ぎず、V字回復する』と、主張していた。恐るべきことに、増税から4年以上も経過したにもかからず、日本の実質消費は低迷を続け、回復の気配すら見せていない。」

「しかも、安倍政権は消費税による増収分の8割を負債返済に回してしまった。負債返済は、実体経済における消費にも投資にも該当しない。つまりは、誰の所得も生み出さない。安倍晋三総理大臣は日本の憲政史上、最も国民を貧困化させ、消費『量』を減らした総理大臣である。」

消費減税もしくは消費税廃止を

 三橋氏は、消費税は、減税もしくは廃止すべきと主張しています。

「現在の日本は、消費税の増税どころか、減税、あるいは『消費税廃止』を検討しなければならない局面である。」

三橋貴明に学ぶ 消費税税を上げるな①
三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな②
高橋洋一に学ぶ 消費税を上げるな
宮崎哲弥に学ぶ 消費税増を上げるな
岩田規久男に学ぶ 消費税を上げるな



三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな①

三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな①



日本が本格的なデフレに突入した原因

 三橋貴明氏は、1997年に橋本龍太郎内閣が消費増税をし、公共事業を削減したことで、日本が本格的なデフレに突入したことを指摘します。

「デフレを是正するには、供給能力を削るか、需要を上げるしかありません。しかし、供給能力を下げるということは失業が拡大するということですから、需要を上げるしかないのです。そこで、国が強制的にお金を使って公共事業を起こし、政府が有効需要をつくり出す必要が出てくるのです。」

「日本は、バブル崩壊後の1997年に橋本龍太郎内閣が構造改革路線に舵を切り、さらに財政規律のためということで消費税を上げ、公共事業削減を始めました。これにより10年以上にわたるデフレに日本は苦しむことになったわけです。」

IMFには財務官僚が出向している

 三橋氏は、財務省がIMFに財務官を出向させ、IMFの報告による外圧によって増税を実現しようとしていることを批判します。

「財務省が財務官をIMF(国際通貨基金)の中に何十人も出向させている。IMFはことあるごとに、日本の財政について問題視する発言をしています。とはいえ、これはIMFではなく、IMFに出向している日本の財務官僚が言っているわけです。」
 
「IMF内の財務官僚に『消費税を上げるべきだ』と発言させて、それを「IMFがそう言っている」というふうに世論に訴えかけて、消費税増税に持ち込もうとしています。本当に悪辣というか、よくここまでやると、むしろ賛嘆したくなるほどです。」

財務官僚は外圧を利用して消費増税を実現しようとする

 三橋氏は、財務省がG20で野田佳彦総理に消費税を増税すると発言させ、国際公約化することで、消費増税を実現しようとした手法について、批判します。

「官僚が『自分たちの目的』を達成するために、アメリカを利用しようとしているだけですね。消費税増税も同じです。野田総理がG20で『消費税10%』を明言しました。といいますか、財務省がそう発言させました。明らかに、外圧によって消費税増税を果たそうとしている。国内でまともに議論しても勝てないから、外の力を引き込むことによって、日本を自分の思い通りに変えようとしている。」
 
「財務省が、国内の議論をろくに経ぬまま、野田首相に海外で『消費税を増税します』などと言わせて国際公約にしてしまうといったやり方は実に姑息です。」

中間層を増やすしかない

 三橋氏は、消費増税などよりも、富裕層への課税を増やし、中間層を強化することが、日本のためになると主張します。

「消費税の増税などは、単に消費を落ち込ませるだけです。もし増税するのなら、富裕層に対する課税を増やせばいい。そして中間層を増やし、その層をレベルアップする。『そんなことをすると、海外に金持ちが資産を持って逃げる』と言う人がいますが、そもそも日本円は日本国内でしか使えないので、単に円安になるだけです。」

三橋貴明に学ぶ 消費税税を上げるな①
三橋貴明に学ぶ 消費税を上げるな②
高橋洋一に学ぶ 消費税を上げるな
宮崎哲弥に学ぶ 消費税増を上げるな
岩田規久男に学ぶ 消費税を上げるな



三橋貴明に学ぶ「新自由主義」の問題点

三橋貴明に学ぶ「新自由主義」の問題点



新自由主義はデフレを想定していない

 三橋貴明氏は、新自由主義は、そもそもデフレを想定していない政治思想である、と述べます。

「元官僚の方々が「デフレの恐怖」を実感できないのは、もちろん官僚時代に「保障された所得」の下で、日々の生活を送っていたためだろう。しかし、もう1つ、日本国民の多くが気づいていない、あるいは知らない理由があるのだ。」

「それは、現在の日本の官僚や評論家が好む「構造改革」「財政健全化」といった手法の背後にある思想、すなわち「新自由主義」がデフレを想定していないことである。」

新自由主義は高いインフレ率を抑制するために生まれた思想

 三橋氏は、新自由主義は、そもそも高いインフレ率を抑制するための思想なのだ、と述べます。

「新自由主義とは『高いインフレ率を抑制する』ために、生まれた思想なのである。」

「例えば、構造改革派が主張する『規制緩和』『公営企業の民営化』『外資導入』は、すべて『供給能力を高め、インフレ率を抑制する』ための政策だ。」

「また、財務省お好みの『増税』『社会支出削減』『公共事業削減』といった緊縮財政政策は、『需要を縮小させ、インフレ率を抑制する』ための政策なのである。」

中央銀行の独立性もまたインフレを抑制するための仕組み

 三橋氏は、中央銀行の独立性強化というのも、そもそもインフレ率を抑制するための施策だ、と述べます。

「さらに言えば、中央銀行の独立にしても、『中央銀行が政府からの圧力で過剰な通貨発行を行い、インフレ率を高める』ことを防止するための施策だ。」

「日本銀行の独立性強化を含め、バブル崩壊後の日本は、新自由主義的な発想に基づき、延々と上記の『インフレ対策』を実施し、国内のデフレを深刻化させてきた。」

「デフレ環境下でインフレ対策を継続してきたわけだから、わが国のデフレが年を追うごとに深刻化しないほうが不思議だ。」

グローバル化も構造改革も、実はデフレを加速させる政策

 三橋氏は、グローバル化や構造改革は、そもそもデフレを悪化させる政策だ、と述べます。

「グローバル化も構造改革も、実はデフレを加速させる政策です。国民経済の供給能力を高めるわけですから。しかしいまの日本では、需要を供給能力が上回っている状態です。その差をデフレ・ギャップと言いますが、この額は20兆円とも40兆円とも言われています。にもかかわらず、構造改革やグローバル化を推進すれば、デフレを是正するどころか、より悪化させるのは当然のことでしょう。」

新自由主義は上手くいってもろくな社会を作れない

 
 三橋氏は、新自由主義は、そもそも成功してもまともな社会を作れない、と述べます。

「世界的に上記の新自由主義に対する批判の動きが見られるようになった。何しろ、新自由主義は「うまくいっても」国内の所得格差を拡大し、国民の多くが繁栄から取り残されてしまうという現実が、明らかになってしまったためだ。2011年9月からアメリカで起こった「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占拠せよ)」運動は、まさにその典型である。」

中野剛志に学ぶ 新自由主義の問題点
中野剛志に学ぶお金の仕組み(通貨と経済成長)
三橋貴明に学ぶ「新自由主義」の問題点