保険調査員の仕事 過失割合の意見書

保険調査員の仕事 過失割合の意見書

交通事故調査

 損害保険の調査の多くは、交通事故の調査からはじまります。
 
 主な調査内容は、

・事故の当事者(契約者)にアポイントを取り、事故状況をヒアリング
・事故の当事者(相手方)にアポイントを取り、事故状況をヒアリング
・警察の交通課を訪問してヒアリング
・事故現場の写真撮影・図面作成のための計測 
・過失割合についての意見書作成

などを行い、保険会社宛ての報告書を作成します。

 これに加えて、目撃者からのヒアリング、医療機関からの書類や画像の取付け、検察庁での事件記録謄写、医師と面談して被害者の治療状況・治療内容・既往症・怪我と事故との因果関係の確認など、様々な調査を行います。

過失割合とは

 交通事故など不法行為における過失相殺は、被害者に過失があったときは、これを考慮して損害賠償の額を減額できます。当事者間で損害を公平に分担するためです。

 例えば、被害者に過失が10%あれば、加害者に対して90%しか請求できない、ということになります。

過失割合の出し方

 「別冊判例タイムズ38号 過失相殺率の認定基準」に従い過失割合を算出します。
 
 この本は、東京地方裁判所の交通専門部である民事第27部の裁判官が中心となり作成された、各種の交通事故形態における過失相殺の認定基準です。
 
 例えば、信号機のない交差点で、直進車と対向右折車の衝突事故は、
  
  直進車が20%、対抗右折車が80%

 これが基本過失割合になります。

 80%は右折車が悪いけれど、直進車も20%は責任があるでしょうということです。

 そして、修正要素に該当する場合は、この基本割合を修正します。
 
 例えば、
 
 直進車側に15㎞以上の速度違反があれば10%を直進車に加算して、30%:70%になります。

 直進車側に30㎞以上の速度違反があれば20%を直進車に加算して、40%:60%になります。

 右折車が右折の合図をだしていなければ10%を右折車に加算して、10%:90%になります。

などのように細かく規定されています。

過失割合の意見書

 保険会社の調査発注の目的が単に「事実関係の把握」ということも多くありますが、比較的多いのが過失割合について調査会社としての参考意見を求める場合です。

 これは、保険会社の担当者が考える過失割合で被害者と加害者の納得が得られない場合に、保険調査会社に発注し、当事者双方からヒアリングさせたうえで過失割合の意見書を出してもらい、「我々だけでなく、第三者の立場の保険調査会社がこのような意見を出している」として、当事者の説得材料のひとつに使うことがあるためです。

 ほとんどの場合は、保険会社と調査会社の見解は、大きな違いはありません。

 保険会社であれ、調査会社であれ、弁護士であれば、裁判になったらどうなるかを考え、「別冊判例タイムズ38号 過失相殺率の認定基準」に従い過失割合を出します。判例タイムズ38号に掲載されている典型的な事故類型で、事故状況については当事者の意見が一致しているなら、見解はほぼ同じになります。

 保険調査員は、まず自身が当事者双方からヒアリングした事故状況を別冊判例タイムズ38号の事故類型に当てはめて、過失割合の参考意見を書きます。また、掲載されていない特殊な事故状況の場合は、判例検索ソフトや調査会社が収集した判例データをもとに類似事故を探し出し、その裁判の判例の過失割合に当てはめる作業をします。

 ただし、当事者と面談してしっかりヒアリングしたところ、電話で事故状況を聞いただけの保険会社の担当者が事故状況を理解しきれていなかったことが分り、被害者加害者が逆転することもあります。また、調査により修正要素に該当する部分が発見されることもありますので、調査する意味は十分にあります。

保険調査員になるには

保険調査員になるには



保険調査員

 保険調査員は、主に損害保険分野で、調査会社と契約し、業務委託契約で仕事をしている人が多い仕事です。
 会社員以外の仕事ないのかなあと考える人には、出社義務のない業務委託契約での仕事というのは一つの選択肢ですね。
 実際、どのような仕事でしょうか?

交通事故調査

 損害保険の調査の多くは、交通事故の調査からはじまります。
 
 主な調査内容は、

・事故の当事者(契約者)にアポイントを取り、事故状況をヒアリング
・事故の当事者(相手方)にアポイントを取り、事故状況をヒアリング
・警察の交通課を訪問してヒアリング
・事故現場の写真撮影・図面作成のための計測 
・過失割合についての意見書作成

などを行い、保険会社宛ての報告書を作成します。

 これに加えて、目撃者からのヒアリング、医療機関からの書類や画像の取付け、検察庁での事件記録謄写、医師と面談して被害者の治療状況・治療内容・既往症・怪我と事故との因果関係の確認など、様々な調査を行います。

モラルリスク

 不正請求が疑われる事案について、の調査を行います。

 例えば、「アフターロス」、つまり損害が発生したあとに保険に加入し保険金請求をしているようなケースや、そもそも偽装事故に基づくもの、虚偽の申告などに基づき不正・過大な請求を行うケースです。

 保険金の不正請求を得意とする暴力団員なども存在するため、怪しい点があれば、保険会社は可能な限りのチェックを行うことになります。

 当事者、警察、目撃者、関連機関からのヒアリングのみならず、尾行や張り込みなども行い裁判上の証拠を作り、報告書を作成。整合性が取れない部分をさらに確認していきます。

 裁判所や警察ではありませんので、ほぼ不正が明らかになっていても、決定的な証拠を突きつけて不正を暴くというのは難しいことから、可能な限り真実究明を目指すというよりも、整合性がとれない部分を突きつけて、相手に保険金請求そのものを取り下げることを促すような動きが比較的多くなります。

仕事の実際

 従業員を直接雇用しているところもありますが、大手の調査員は、業務委託調査員がほとんどです。

 1週間から2週間ほどの研修を得て、所属の支社の先輩に付きOJTを行い、1ヶ月ほどで自分単独で仕事をするようになります。

 調査会社の営業担当が、保険会社から受けてきた依頼内容を伝え、それぞれの調査員の適性に合わせて配分し、各調査員がそれぞれ調査を行います。 

報酬

 保険会社の社員と違い、大手調査会社の業務委託調査員の報酬は高額ではありません。

 ほとんどの一般の調査員は、一般的には20万円を切る程度でしょう。

 この20万円も、ガソリン代などを含む売上で、実質的な実入りは15万円もあればよいほうです。

 まれに50万円の報酬をもらえる月があっても、それは仕事の終結するタイミングや報告書の締日などがたまたま重なった時のことが多く、その前後の月は10万円などということもあります。

 調査会社は、保険会社への報告書提出を早くしたいので、調査員の仕事が増えて納期が遅くなるようなら、業務委託調査員を増やしますので、高額な報酬を稼げるということはほとんどありません。

 高給を求めるなら、正規のルートで保険会社に就職し、保険会社の調査部門に配属されるしかありません。

こんな人が多い

 業務委託調査員には、50代以上の元会社員が多くなっています。前職が元警察官という人は一定数いますが、それ以外は様々です。元警察官や医療知識に強い人は歓迎される傾向にあります。

 業務は、ヒアリング業務が対象者の都合に左右されるため、時間が自由になるとはいえませんが、出社義務がないことなどから、毎朝定時に出かける必要はなく、直接現場に行ったり、途中寄り道したりも自由です。年金生活者や、ほかの仕事をしながら10万円程度稼ぎたいというような人には良い仕事かもしれません。

 例えば、開業したてで仕事が少ない行政書士事務所との兼業などは良いかもしれません。

主な損害保険調査会社

損害保険リサーチ http://www.sonpo-r.co.jp/

株式会社審調社 http://www.scs-21.co.jp/

株式会社東京データキャリ https://www.tdc-jp.com/