賃貸不動産経営管理士とは

賃貸不動産経営管理士とは



国家資格になるかも

 はじめて「賃貸不動産経営管理士」という資格の名を聞く人は、「得体のしれない団体が受験料で稼ぐためにやっている民間資格のたぐいだろう」と考えるかもしれません。

 しかし、賃貸不動産経営管理士は、国土交通省の国家資格になる可能性を秘めた有望な資格です。

 この資格試験を実施しているのは「一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会」です。この団体は、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会、公益社団法人全日本不動産協会、によって運営されています。

 もともと、それぞれ団体ごとに独自に資格を設けていた賃貸不動産管理についての業界統一資格を作るために、一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会が設立され賃貸不動産経営管理士制度が創設されました。現在、国会資格化を目指して運動しています。

 注目すべきは、宅建業の業界団体である、ハトマークの宅建協会とウサギマークの不動産協会の両者が関わっていることです。宅建協会も不動産協会も、それなりに政治力のある団体です。そうした各業界団体が一致協力して、国家資格化のため運動をしているということですから、それなりの成果が出る可能性は高いと言えます。

 不動産業界が一丸となって、賃貸不動産経営管理士の国家資格化を目指しているという状況です。

 国家資格になる場合、業界団体の意志が統一されていることは意外と重要です。行政側は、特定の団体のみを優遇した形にしたくないからです。この点、賃貸不動産経営管理士は、行政側からみても、国家資格化のための立法に向けた取り扱いがしやすいと言えます。
 
 

現在も公的資格

 賃貸不動産経営管理士は、既に単なる民間資格ではなく、公的資格となっています。

 国土交通省は賃貸住宅管理業者登録制度を設けています。

 これは一定のルールに従って賃貸管理業をしている登録業者を国交省が公開するという制度です。この制度のなかで、賃貸不動産経営管理士に一定の役割が与えらえれています。現時点において、ただの民間資格ではなく、公的資格になっている状態です。あくまで任意登録の制度ですが、将来的には強制力のあるものになることも考えられます。

 賃貸管理は不動産業においては、メジャーな分野です。社会問題化したトラブルも少なくありませんから、国が業者に一定の規律を与えて、不当な業者を排除する仕組みには、国家資格化の正当な理由になります。

 また、賃貸不動産経営管理士は、単なる賃貸管理ではなく賃貸「経営」の管理という点にも力点を置いています。近年、社会問題になっている「サブリース業者」、「空き家問題」、「民泊経営」などについても、賃貸不動産経営管理士がかかわっていくという内容になっています。こうした社会問題への結びつけは、国家資格化のために賃貸不動産経営管理士法を国会に提出する際、その必要性を政治家にアピールするのに有効です。

 国家資格化の可能性は、相当にあると言えます。

賃貸管理業務はメジャー分野だが資格が無い

 不動産屋の仕事は多様ですが、「売買・賃貸・管理」は多くの不動産屋が看板にあげている業務で、不動産業の三大メジャー分野といえます。

 このうち売買や賃貸の仲介は、宅地建物取引士という資格があります。しかし、賃貸不動産の管理業務には特に国家資格はありません。

 もちろん、アパートなどの管理業務の中で溶接や電気工事や重機の操作を行う場合にはそれぞれ資格が必要ですが、賃貸不動産の管理業そのものについての国家資格はないのです。

 賃貸不動産経営管理士は、このメジャー業務である賃貸管理についての公的資格となります。

管理業務主任者より有望?

 現在、不動産業者の従業員のための国家資格と言えば、宅地建物取引士と管理業務主任者があります。マンション管理士という資格もありますが、これは制度趣旨からいえば、不動産業者側というよりも、マンションの管理組合側の資格です。
  
 管理業務主任者は、主に分譲マンションの管理などを目的としたものです。管理業務主任者の試験の内容は宅建並みに難しいですが、宅建のような幅の広さはありません。分譲マンションの管理業者の従業員以外には意味が無いので、不動産屋に勤めていても必要のない人には取得のメリットがありません。

 一方、賃貸不動産経営管理士は、賃貸アパートや賃貸マンション等の賃貸管理業務を対象とする資格です。

 賃貸管理というのは、例えば、賃貸料・敷金などの受領、賃貸契約や賃貸契約の更新、賃貸契約の終了についての事務などで、アパートの管理会社をイメージすればいいでしょう。一般の人の不動産屋のイメージといえば、売買や賃貸の仲介をするほかに、賃貸管理をしている業者というイメージをもっているのではないでしょうか。
 
 もし賃貸不動産経営管理士が国家資格化されれば、分譲マンション管理を主たる業務とする業者はともかく、一般的な不動産会社では、まず宅建士が重宝され、次に賃貸不動産経営管理士が重宝され、管理業務主任者はその次ということになりそうです。
 
 不動産業に勤務する際には、まずは「宅建士と賃貸管理業務主任者を取れよ」となるでしょう。
 

早めにとっておくと得をする

 賃貸不動産経営管理士の合格率は、2013年は85%の合格率でしたが、2018年は50%程度となっており、約半数が落ちる試験になっています。
 
 宅地建物取引士(主任者)や管理業務主任者も、最初は合格率が高かったものの、現在は10%台になっています。賃貸不動産経営管理士も年々難化していくことが予測されますので、合格率が高いうちに取得しておくことはメリットがあるでしょう。

 なお、賃貸不動産経営管理士の令和元年の試験は1時間30分で40問の試験でした。

 令和2年度から2時間で50問の試験になります。

 

不動産譲渡時の売主の所得税・住民税を学ぶ

不動産屋になる 不動産譲渡時の売主の所得税・住民税を学ぶ



土地や建物を売って儲かった後の所得税・住民税

 不動産を売却し、利益が出た場合、個人については、不動産を売却した際の譲渡所得に、所得税と住民税が課されます。
 また、法人については、本業の利益と合算され、法人税が課税されます。

 不動産屋としては、不動産売買契約時にかかる費用というわけではありませんし、細かい計算方法まで覚える必要はないでしょうが、基本的なことは把握しておく必要があります。
 

課税譲渡所得金額の計算方法

 課税譲渡所得金額の計算式は、

 課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

です。

 譲渡価額には、固定資産税の日割負担精算金として受領した金額も含みます。
 取得費には、仲介手数料や登記費用なども含まれます。
 損失が生じても、土地や建物の譲渡による所得以外の所得との損益通算はできません。
 ただし、マイホームを売ったときは損失を控除できる特例があります。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_2.htm

取得費についての注意点

 建物については、購入時に支払った代金がそのまま取得費となるのではなく、取得費から減価償却費相当額を控除することになります。
 購入時期が古すぎて取得費が分からない場合などは、取得費を譲渡価額の5%とすることができます。

税率

 税率は、「長期譲渡所得」となるか、「短期譲渡所得」となるかにより異なります。土地や建物を売却した年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」になり、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
 
 短期譲渡所得であれば、所得税率は30%、住民税率は9%です。
 長期譲渡所得であれば、所得税率は15%、住民税率は5%です。
 
 不動産を安く購入し、短期間だけ所有して、高く売却して譲渡益を得ると39%も税金がかかってしまいます。

税額の計算

 所得税 = 譲渡所得 × 所得税率
 住民税 = 譲渡所得 × 住民税率
 復興特別所得税 = 譲渡所得 × 2.1%

 ただし、マイホーム(居住用不動産)を売却した場合は、さまざまな軽減措置があり得ます。

申告の時期

 不動産を譲渡して譲渡所得が発生した場合は、譲渡した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、所得税を納付します。

不動産取引の諸費用

宅建業と行政書士は兼業できる?

宅建業と行政書士は兼業できる?



宅建士と行政書士で独立したい

 行政書士資格を有する人には、宅地建物取引士の資格を持っている人は少なくありません。行政書士試験も、宅建士試験も、どちらも民法からの出題があり、知識の一部を生かせるからです。
 
 会社員以外の生き方を求める際に、宅建業と行政書士業は、検討に値する魅力がある仕事です。

 行政書士一本での独立開業では生計維持に不安があるので、同時に宅建業登録をして不動産屋をする。あるいは、不動産屋として開業するにあたり特色を出していくために行政書士業務もやりたい、という考えもあり得ます。どちらも良いアイディアではありますが、行政書士と宅建業の兼任には、気をつけないといけない落とし穴があります。
 

宅建業登録には専任の宅建士が必要

 宅地建物取引業者は、その事務所に、「成年の専任の宅地建物取引士」を置かなければなりません。
 行政書士業をすることで、専任の宅建士がいないという判断がなされると、宅建業のほうに問題が発生します。

 この「専任」とは、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方によると、

 「専任」とは、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(宅地建物取引業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。)して、専ら宅地建物取引業に従事する状態をいう。ただし、当該事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとする。

 また、宅地建物取引業の事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、当該事務所における宅地建物取引士が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合及び個人の宅地建物取引業者が宅地建物取引士となっている宅地建物取引業の事務所において、当該個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務をあわせて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるものを除き、専任の宅地建物取引士とは認められないものとする。

とされています。
 
 つまり、専任の宅地建物取引士は

①原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤していること
②専ら宅地建物取引業に従事する状態にあること。ただし、同一事務所内で、宅建業が行われていない間に、一時的に宅建業以外の業務に従事するのは問題ない
③建築士事務所の管理建築士や建設業者の専任の技術者など、他に専任性を求められる業務をしている場合は専任の宅建士にはなれないのが原則だが、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるなら兼任してもよい。
④個人の宅建業者が宅建士となっている宅建業の事務所において、当該個人が同一の場所に置いて行政書士等の業務を行うことはできないのが原則だが、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるなら兼任してもよい。

ということになります。

①事務所に常勤していること

 宅建士は、宅地建物取引業を営む営業所に常勤していることが必要です。行政書士と兼業する場合は、同じ場所で営業しないといけません。これは、宅建業の事務所と、行政書士の事務所を同じにしてしまえば、問題なくクリアできます。

②専ら宅地建物取引業に従事する状態にあること

 基本的に宅建業に従事できる状態でなければいけません。もっとも、同一事務所内で、宅建業が行われていない間に、一時的に宅建業以外の業務に従事するのは差し支えない、と明文で認めていますから、行政書士との兼業が、宅建業の業務に影響を与えない程度なら問題になりません。

③他の法令で専任性を求められる仕事をしていない

 建築士事務所の管理建築士や、建設業の専任の技術者など、他の仕事をしていてそちらで専任性を求められている場合は注意が必要です。そういうことがなければ、行政書士と宅建業のダブルワークには影響ありません。

④原則不可だが業務量等を斟酌して兼任を認める

 個人の宅建業者が、宅建業の事務所において、当該個人が同一の場所において、土地家屋調査士や行政書士等の業務を行うことはできないのが原則です。しかし、例外的に、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるなら兼任してもよいことになっています。

 この例外的な扱いにより、行政書士事務所と、個人事業の宅建業は、役所が認めさえすれば同時に行えることになります。



法人については言及がない

 国交省のガイドラインは、宅建業者が法人の場合について言及がありません。

 実質的に個人営業と変わりない法人であれば、個人同様に認めるべきと考えられますが、法人と個人は別人格であるし、行政書士が、法人の専任の宅建士を兼ねることはあり得ないと考え、当然不可と判断している自治体が多いようです。

 例えば、埼玉県は、認めない方針を、ウェブサイト上に公開しています。

 したがって、このような自治体では、行政書士として独立し、同時に、不動産会社を設立してその専任の宅建士となることはできません。行政書士と兼業を考えるなら、宅建業は個人事業で行う必要があります。

法人でも認められる県もある

 
 一方、国交省のガイドラインは、法人の宅建業と行政書士事務所の併営を否定しているわけではないので、自治体によっては、不動産会社と行政書士事務所の併営を認めるところがあります。

 佐賀県は、以下のようなQ&Aを公表しています。

Q3: 今、行政書士をしています。個人事業主として、宅建業を始める予定ですが、その際、自分が代表者(兼)専任の宅地建物取引士として開業することはできますか?
A3: 行政書士や司法書士等の業務を兼務する場合は、個人事務所等に同居して、宅建業を専ら行い、常勤できる状態であれば認められます。
※新規法人を設立して、代表者(兼)専任の宅地建物取引士として宅建業を始める場合も、同様です。
※ 同居とは原則として、同一の建物であり、且つ専任の宅地建物取引士が宅建業の部屋と、(宅建業以外の)兼業の部屋を簡単に往来できる状態を指します。なお、宅建業以外にも兼業をされる場合は、事務所の要件を満たすよう注意してください

 佐賀県では、新規法人を設立して代表者兼専任の宅建士として宅建業を始める場合も、兼務を認める可能性があります。
 これは、埼玉県よりも、佐賀県の考え方のほうが正しいですよね。形式よりも実態をみて考えるのが正しい態度といえるでしょう。もっとも、埼玉のような大きな都市部をかかえる県では、行政書士と不動産屋をするならどちらかに専念しないと追いつかない業務量になる蓋然性が高い一方、佐賀県のような地方では、許認可の件数も、市中の不動産の動きも少なく、行政書士と宅建業の同時に出来る程度である蓋然性が高いというような実態を考慮した解釈・運用の違いなのかもしれません。

まとめ

 一人で行政書士事務所と宅建業のダブルワークで独立開業するのであれば、宅建業は法人化せず、個人事業として行う必要があります。しかし、地方によっては法人でも認められるので、法人にしたい場合は、担当官庁に問い合わせをしてみたほうがよさそうです。



不動産屋になる 建築基準法の基礎

不動産屋になる 建築基準法の基礎を知る

建築基準法の目的

 建築基準法は、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資する」ことを目的とする法律です(建築基準法第1条)。

建築基準法の目次

 建築基準法の目次は、以下のようになっています。

第一章 総則(第一条―第十八条)
第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備(第十九条―第四十一条)
第三章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造及び建築設備
 第一節 総則(第四十一条の二・第四十二条)
 第二節 建築物又はその敷地と道路又は壁面線との関係(第四十三条―第四十七条)
 第三節 用途地域(第四十八条―第五十一条)
 第四節 建築物の面積、高さ及び敷地内の空地(第五十二条―第六十条)
 第五節 防火地域(第六十一条―第六十七条の二)
 第六節 美観地区(第六十八条)
 第七節 地区計画等の区域(第六十八条の二―第六十八条の八)
 第八節 都市計画区域以外の区域内の建築物の敷地及び構造(第六十八条の九)
第四章 建築協定(第六十九条―第七十七条)
第五章 建築審査会(第七十八条―第八十三条)
第六章 雑則(第八十四条―第九十七条の四)
第七章 罰則(第九十八条―第百二条)

建築基準法が適用されない建物

 
 建築基準法が適用されない建築物には、主に、

 ・文化財保護法の規定によって指定された建築物
 ・既存不適格建築物

があります。

 既存不適格建築物とは、建築基準法施行の際に存在する(または現に工事中)建物で、規定に適合しない建物です。建築基準法時に既存する建物については仕方ないので、建築基準法適用除外とされ、違法建築物としては扱われないことになっています。不動産屋としては、取り壊して新築する際には、同様の建物は建てられないという点に注意を払う必要があります。

建築確認

 一定の建築物の新築・改築等は、建築確認申請書を提出して、建築主事等の確認を受けることになります。

 建築確認については、建築確認申請時の書類や、検査済証を確認するようにします。検査済証は融資などの際に必要になることあります。依頼者が無くしてしまっている場合は、建築指導課などで、建築計画概要書を閲覧できます。

接道義務

 建築基準法は、都市計画区域内(準都市計画区域内)では、建物を建てる際には、建築基準法上の道路に2メートル以上接していなければならないとしています。「ただし、建築物の周囲に広い空地があり、その他これと同様の状況にある場合で安全上支障がないときは、この限りでない。」などの例外があります。不動産屋としては、建物を新築できる土地なのかどうかという視点で、道路が建築基準法の道路かどうかを確認することや、接道義務を果たしているかを確認する必要があります。

建ぺい率

 建築基準法は、建築物の敷地について、各地域ごとに、建ぺい率(建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)の最高限度を定めています。敷地一杯に建物を建てることはできないようになっています。敷地面積が100㎡、建ぺい率が80%なら、建築面積は80㎡までとなります。
 不動産屋としては、どの程度の建ぺい率で建物が建てられるのかに注意を払う必要があります。

容積率

 建築物の高さを制限するため、容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)の最高限度を定めています。敷地面積が100㎡、容積率が200%の場合、延べ床面積は200㎡までということになります。容積率は、用途地域や前面道路の幅員などに影響されます。
 不動産屋としては、どの程度の延べ床面積の建物が建てられるのかに注意を払う必要があります。

不動産屋になる 不動産屋の魅力

不動産屋になる 不動産屋の魅力



 会社員以外の仕事ないのかなあと考えるけれども、自分には独立自営のための特別なスキルがないという人にとっては、不動産屋は有力候補の一つになり得ます。

不動産屋は情報産業

 不動産仲介業は、業界団体で構築されるレインズという物件情報を登録するシステムを中心とした、情報ネットワーク産業です。他人の不動産を仲介すれば報酬がもらえるビジネスモデルなので、仕入や設備投資の費用は小さくで済みます。物件の情報を、AさんからBさんに流して売買を成立させると、高額な報酬を手にすることができます。この仕組みに参加するのに、200万円程度しか必要ありません。参入規制が小さいのも特徴です。

不動産屋の開業費用

報酬が高い

 
 不動産売買仲介の報酬は、不動産の価格に連動します。報酬額は基本的に3%+6万円+消費税です。不動産は一般に高価ですから、高額な報酬を期待できます。世の中には、朝から晩までいくら働いても、高収入を得られない仕事がたくさんあります。一方、不動産屋は、高収入を得られる可能性がある商売です。報酬の高い仕事はリスクが高いものですが、不動産仲介業は、他人の不動産を扱うものですから、高額な商品の仕入等はせずに行うことができます。工場や飲食店のような設備投資も必要なく、事務所とパソコンなどが準備できれば行えます。不動産屋開業のリスクは、報酬に見合うほど高くはありません。

ビジネスモデルが完成している

 不動産屋は、不動産売買仲介、不動産賃貸仲介、不動産管理業務を中心にした事業です。さらに、資金力がつけば、自ら不動産を仕入れてリノベーションして販売して利ザヤを得たり、自ら建売住宅を販売したり、アパート経営や不動産投資などをしています。
 不動産仲介業、不動産管理業務は、ビジネスモデルとして完成されたものです。まったく新しいビジネスを新規に起こすよりも、難しい点は少なくなっています。特段の企業のアイディアがなくても、模倣から入ればビジネスができる仕組みになっています。

宅建士資格さえあれば一人で開業できる

 主な独立開業系の士業には、
 
 ・弁護士
 ・公認会計士
 ・弁理士
 ・不動産鑑定士
 ・司法書士
 ・税理士
 ・土地家屋調査士
 ・中小企業診断士
 ・社会保険労務士
 ・行政書士

などがあります。 

 宅建士はいわゆる士業ではありませんが、宅建士資格があれば、個人事業として、あるいは法人を作って宅建業登録をすれば、一人で不動産屋を開業できますので、ほぼ同じ構造ですね。

 弁護士・公認会計士・不動産鑑定士・弁理士・司法書士・税理士になると、多くの合格者が5年以上かけて勉強しているレベルになります。土地家屋調査士・中小企業診断士・社会保険労務士なども1年での合格はほぼ難しいため、合格者は3年以上勉強した人が多い資格です。もっとも簡単な行政書士でも、法律初学者であれば1年程度の勉強は必要ですし、何年も不合格を続けている人も少なくありません。
 一方、宅建士試験の難易度は、上記のうちでもっとも簡単な行政書士よりも、さらに簡単です。
 それでいて、成功した場合の報酬を水準は、もっとも難しい弁護士や公認会計士に必ずしも劣りません。試験合格のために投下する時間資源を考えれば、非常にお得です。

零細経営が可能

 あらゆる業界が大資本のチェーンに飲み込まれています。小資本で独立しても、大手にかなわず沈んでいく業界がほとんどです。不動産仲介業は、構造的に、現地案内・現地調査をともなうものであり、いかに大資本が各地に拠点を置いても制圧できる範囲には限界があります。また、不動産仲介業は、大手に依頼しても、中小零細に依頼しても、取り扱う物件に大きな違いはないこととや、実際に現地エリアで営業している業者のほうがきめ細かいサービスができることから、1人~少人数で経営している宅建業者が多数あり、それで成立しています。なかなか小資本ではビジネスが成立しない時代ですが、宅建業は、小資本でも営業可能な仕事です。

不動産屋の魅力

 不動産売買仲介の仕事の中心は、不動産に関する法規等を知り、現地を調査し、依頼者に説明し、売買契約の段取りをして、各種の書類を作ることです。仕事の実際の作業時間としては、事務的作業量が相当多いですが、書類は雛形がありますので、入力することで完成します。注意力は必要ですが、独自の工夫が必要なの部分は一部です。簡単な仕事ではないですが、どんな仕事をするにせよこれくらいの難しさはある、という程度のものでしかありません。上記の士業のような、知的で高度な人たちが集まっている業界でもありませんから、一般的な知性があれば十分できる仕事です。
 不動産屋の所得水準は高くなっています。参入規制は緩くなっており、宅建士試験合格、事務所と事務所設備、200万円程度の開業費用があれば参入できます。ビジネスモデルは完成されており、本当に工夫しなければならないのは、自分に集客することだけです。

不動産屋になる 賃貸借の改正

不動産屋になる 賃貸借の改正

民法改正 賃貸借

 2020年4月1日から、改正民法が施行されます。不動産屋になるためには、把握しておかなければなりません。中でも賃貸借に関する改正は重要なポイントです。

敷金が明文化された

 これまで明文規定がなかった敷金については、裁判例の集積などから解釈がなされていましたが、法律で明文化され分かりやすくなりました。

 敷金は、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」と定義されています。
 また、その返還時期については、賃貸借が終了しかつ明け渡しが完了した時とされ、これまでの判例の考え方が明文化されました。

原状回復義務が明文化された

 賃貸借契約が終了したとき、賃借人が負う原状回復の内容については、民法上の規定はありませんでした。裁判例の積み重ねにより解釈がなされていましたが、民法で明文化されてわかりやすくなりました。改正民法では、「賃借物に損傷が生じた場合は、原則として賃借人は原状回復義務を負うものとし、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないと定められています。家具の設置による床の凹みや、テレビや冷蔵庫の設置により生じる壁の黒ずみなどは、通常損耗にあたります。

賃貸不動産の譲渡されたときの取り扱い

 これまで、裁判例などから、賃貸建物の所有者が変わった場合、特段の事情のない限り、賃貸人の立場も移転するとされてきました。
 改正民法では、この考えを引き継ぎ、建物の所有権が譲渡されると、原則として、賃貸人たる地位も移転することとしました。ただし、賃貸人の地位を前所有者に留保するとの合意があり、不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意がされた場合は、賃貸人の地位は移転しない、という形で明文化されています。

賃貸人が修繕義務を負わない場合

賃貸人の修繕義務を定めた民法606条第1項に、「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りでない。」との文言が追加されました。
このただし書により、修繕を要する場合でも、賃借人に故意や過失がある場合には、賃貸人が修繕義務を負わないことが明確になります。

賃貸借の存続期間

 これまで賃貸借契約の最長期間は20年間でしたが、この最長期間が50年間に延長されています。
 もっとも、これまでも、借地借家法により、建物賃貸借については賃貸借期間の上限規制は無いものとされており、建物所有目的の土地賃貸借についても原則として賃貸借期間の上限はありませんでした。この改正の影響があるのは、借地借家法の適用のない土地賃貸借、例えばゴルフ場やソーラーパネルなどに関する土地賃貸借になります。

不動産キャリアパーソンとは

不動産キャリアパーソンとは



 公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が実施する民間資格です。2013年4月に制度が設けられました。まだ始まって日が浅い資格です。同会には、宅地建物取引業に従事する人や、これから従事しようとする人などが、不動産取引について実践的知識を身につけるための「不動産キャリアサポート制度」という研修制度があります。その制度による学習成果を認定するのがこの資格です。

 宅建士は、実務に必要な法律から出題される資格です。宅建士の知識は不動産取引に必要不可欠ですが、実務知識はあまり身につきません。この点、不動産キャリアパーソンは、不動産取引の実務知識に重点を置いた資格です。宅建士を取得した後、未経験から不動産屋をはじめる際には、この資格を取得すれば、不足する実務知識を補完することができます。

誰でも受験できる

 不動産キャリアパーソンは、不動産業の従事者のみならず、一般の人でも受講可能になっています。
 実態としては、多くは、既に宅建士を取得して不動産業界で仕事をしている人が、実務知識のブラッシュアップのために受講しているようです。

講座はインターネット

 講座はテキストの内容を解説するインターネット動画で学習する形式になっている。パソコンのみならず、スマホやタブレットでも受講できます。
 受講期間は申し込みから12カ月となっています。
 この期間内に申し込みをして、修了試験を受けます。修了試験の時期は、自分で選択することになります。既に実務知識がある人なら、1~2か月後に修了試験を受けるということも可能です。

講座の内容

 不動産キャリアパーソン講座の内容は、以下のようなものです。
 物件調査、価格査定、広告作成、資金計画のアドバイス、売買契約書の作成、賃貸契約書の作成など、実務的・実践的な内容になっています。

■不動産キャリアパーソンとしての大切な心構え
・社会的使命とコンプライアンス
・不動産基礎知識
・不動産取引実務
・実務演習 仮想物件の売却相談、受付、面接聞取り業務

■物件調査・価格査定
・物件調査の目的、方法
・道路
・法令制限
・権利関係
・供給処理施設
・物件実査
・実務演習 仮想物件の調査シート
・価格査定の目的
・価格査定の方法
・実務演習 仮想物件の価格査定

■不動産広告
・不動産広告への規制の概要
・表示すべき事項
・表示の基準
・禁止事項、広告開始時期の制限
・実務演習 仮想物件における不動産広告作成上の注意点

■資金計画
・資金計画の基礎知識
・住宅ローンの基礎知識
・実務演習 仮想物件に関する住宅ローン借入れのシミュレーション

■契約の基本
・契約に関する基礎知識
・売買契約に関する業務の流れ
・売買契約書の記載方法及び契約条項の解説

■その他知識
・賃貸借契約締結手続き
・賃貸借契約書の内容
・賃貸不動産の管理
・リフォームの基礎知識
・災害等への対応に備えた基礎知識(災害への備え、地盤、建物)

費用

 受講費用は8640円です。従前は、不動産従業者は8640円、一般の人は12960円でしたが、現在は、そのような区別はありません。

 この費用には2冊のテキスト代が含まれています。このテキストは、実務にも使える内容の厚いものです。使える実務書、インターネット講座、修了試験込みでこの価格ですから、未経験者にはお得だと思います。

修了試験

 修了試験は、全40問の4肢択一式で1時間の試験です。40問のうち7割(28問)以上の正答で合格となります。自宅でのインターネット試験ではなく、試験会場のパソコンを用いて行います。
 
 試験終了時に直ちに計算がなされ、自分の正答数と当日の全国の受験者中の順位が表示されます。私は9割正答したにもかかわらず、下位3割~4割の成績でした。つまり、受験者の大半が9割以上正解できる試験ということです。

 これほど正答率が高いのは、試験の内容が簡単というよりも、出題の仕方が素直なためと考えられます。例えば、「一切できない」「全て許される」というような断定的な表現の肢の多くは、一瞬で「それは断定的に言い切れないだろう」と分かるものが多くありました。このような「間違いフラグ」が立っているものに着目するだけで、正解が選べる出題が多くあります。また、4肢の中に「流石にそれはないだろう」という非常識な肢が入れてあったりしますので、正解を選びやすい試験になっています。

資格として自分を飾れる

 不動産キャリアパーソンは単なる研修ではなく、修了試験を受け、資格者として登録できる制度になっています。合格して登録申請すれば、顔写真付きの不動産キャリアパーソンの資格者証を貰えるます。つまり、単に講座を受けたという形ではなく、資格として名刺などの肩書に入れることもできますね。もちろん、宅建士のような国家資格と違い、独占業務があるような資格ではありません。しかし、
一般の方は良く分からないが何やら不動産系の資格をもっているのだなという印象を持ちますので、信頼度はアップします。 

 また、不動産関係に就職する際には、この講座を修了していれば、未経験でも一から教える必要はないので、ポイントアップです。

 未経験からの独立開業して不動産屋になる場合、宅建士試験では、民法や、都市計画や建築基準法などの法律的な基礎を学びますが、実務的な取引知識は身につきません。費用も安いですし、この講座は積極的に活用したほうが良いと思います。

不動産屋になる 接道義務を知る

不動産屋になる 接道義務を知る

不動産屋になるためには、接道義務という概念を理解しておく必要があります。接道義務を満たしていなければ、原則的に建物を建てられません。購入希望者にとっては、建物を建てられるかどうかは重要な情報です。説明なしに、建築できない土地を売れば、あとからトラブルになります。

建物の敷地は道路に2m以上接する必要がある

 建築基準法第43条は、「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」と規定しています。これを接道義務といいます。

建物は4m以上の道路に接する必要がある

 接道義務でいう道路とは、建築基準法第42条において、幅員4メートル以上(特定の区域内では6メートル以上)のもので、建築基準法の第42条1~5号、および第42条2項で規定されているものに限られます。見た目が道なら何でもよいというわけではありません。
  

建築基準法第42条2項道路

 建築基準法第42条2項は、

 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(同項の規定により指定された区域内においては、三メートル(特定行政庁が周囲の状況により避難及び通行の安全上支障がないと認める場合は、二メートル)。以下この項及び次項において同じ。)の線をその道路の境界線とみなす。ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす

としています。

 つまり、幅員4メートル未満の道路では、道路の中心線から2メートル後退させた線を、道路と敷地の境界線とみなすとしています。このみなし道路を「2項道路」として覚えてください。

セットバック

 幅員4メートル未満の道路では、道路の中心線から2メートル後退させた線を、道路と敷地の境界線とみなされます。
 つまり、幅員2メートルの2項道路の敷地であれば、敷地のうち1メートルが道路の幅とみなされます。自分の敷地が道路になって、敷地が後退するイメージです。道路の向かい側の家の敷地も1m後退します。この後退した部分をセットバックといいます。

位置指定道路

 接道義務については、もうひとつ、位置指定道路についても知って置く必要があります。

 位置指定道路は、建築基準法第42条1項5号において、
 
 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの

とされています。なお、位置指定道路は、幅員4メートル以上というのは前提です。

 土地所有者が作った幅員4メートル以上の私道で、法律に基づき、行政庁が位置の指定をしたものです。

 このような道路では、人が通行するのに所有者の許可は不要ですが、車両の通行や駐停車は所有者から制限されることがあります。水道管を引き込む際にも、道路を掘削する場合は所有者の許可が必要になります。要するに、道路といっても私道なので、いろいろな制限があり得ます。このような道路にしか接道していない場合は、購入者もそれなりの覚悟が必要ということになりますので、宅建業者としても説明しておかなければなりません。

再建築不可物件

 接道義務を満たしていない場合、原則として、再建築が不可になります。査定の際には、この点を十分に考える必要があります。

接道義務についての確認事項

 不動産屋になった際には、役所調査の際に、接道義務を満たしているかを確認します。

 対象となる土地について、

・対象となる道路が、建築基準法上の道路かどうかを確認
・公道か私道かを確認
・私道の場合は、位置指定の有無を確認。
・セットバックが必要な場合その長さを確認
・道路中心線が確定しているかを確認

といった事柄を念頭に置いて職員から聴き取りをします。

不動産屋になる 役所調査のやり方

不動産屋になる 役所調査のやり方

 不動産屋になれば、物件調査をします。物件調査のひとつに、役所調査があります。不動産屋は、官公署で法令上の規制を確認します。例えば、対象となる土地で「建物が建てられるのか」というような規制を確認します。役所調査の結果は、「重要事項説明書を作成する」際にも使いますので、重説作成の一環でもあります。
 
 対象となる土地の法令上の制限を確認し、現在の建築物の適法性を確認し、建物を再建築することに問題がない土地か確認し、建築できるとしてもどのような規制があるかを確認し、水道局で水道設備について確認します。

 何をどこまで調査するかはケースバイケースです。最初のうちは事前に準備をしないと適切な質問ができません。慣れるとポイントだけの確認で済むようになります。
 自治体により担当課(係)の名称は違いますが、都市計画の係で聞いた後、「この点は何課ですか?」と数珠繋ぎで聴いていけば大丈夫でしょう。お役所には、毎日のように業者が不動産調査に来ていますので、慣れた調子で対応してくれます。

 事前にチェックリストを作り、当該物件で、気になる点を確認していくのが通常です。
 チェックリストの項目を作るとすれば、以下のようなものが考えられますが、手を広げていけば、どんどん広がっていきますの。ケースバーケースで、どの点まで調査が必要かを見極めていきます。

【都市計画係】

□ 都市計画区域内
 □ 市街化区域 
 □ 市街化調整区域
 □ 非線引都市計画区域

□ 都市計画区域外
 □ 準都市計画区域
 □ その他 

□ 用途地域
 □ 第1種低層住居専用地域
 □ 第2種低層住居専用地域
 □ 第1種中高層住居専用地域
 □ 第2種中高層住居専用地域
 □ 第1種住居地域
 □ 第2種住居地域
 □ 準住居地域
 □ 近隣商業地域
 □ 商業地域
 □ 準工業地域
 □ 工業地域
 □ 工業専用地域
 □ 指定無し 

□ 建ぺい率(        %)

□ 容積率 (        %)

□ 高度地区
 □第1種 □第2種 □第3種
□ 防火地域
□ 準防火地域
□ 風致地区
□ その他(         )

【道路課】

□ 計画街路(物件近隣)
 (有の場合)
 □名称
 □幅員
 □進行状況(        )
 □位置  (       )
□ 都市施設 
□ 特定街区

【宅地課・開発指導課等】

□ 宅地造成造規制区域
 内容(          )

□ 道路の幅員 (       )
  
【下水道係】

□ 汚水管の口径
□ 汚水管の深さ
□ 汚水管の位置

不動産屋になる 物件調査とは

不動産屋になる 物件調査とは

 不動産屋になるためにマスターすべきことのひとつに、物件調査があります。
 
 この調査は、売買価格査定のためであり、重要事項説明書作成のための準備でもあります。

 ①売主からのヒアリング
 ②現地調査
 ③法務局調査
 ④役所調査
 ⑤生活関連の調査(上下水道・ガス等)

などから構成されます。
 

①売主からのヒアリング

 売主から物件の瑕疵などを聴き取ります。
 居住中に起きた近隣トラブル、騒音、雨漏り、シロアリ、境界紛争、建物の傾き、悪臭など問題をすべて把握できるようにします。
 リフォームした箇所や、リフォームをした年の情報も、詳しく聴き取ります。リフォーム時の書類が残っていれば、コピーさせてもらいましょう。
 また、権利証もしくは登記識別情報が保管されているか、現物をみせてもらいます。いざ売買が決まった時に、これが見つからないと、予定が狂います。
 固定資産税の納付書に付いている評価通知書も確認します。固定資産税評価額の把握は、査定にも有用ですし、登録免許税の計算に必要です。司法書士の見積りも取れません。
 売主が購入した際の「売買契約書」「重要事項説明書」「間取の図面」などがあればコピーします。デジカメで撮影してもかまいません。これらの書面があれば、転記するだけで済む情報が沢山あり便利です。

②現地調査

 物件の現況を確認をし、写真撮影をします。
 また、前面道路の幅員などを計測します。 
 土地の境界標も確認しましょう。
 周囲を歩いて、嫌悪施設や生活の利便性についても確認しましょう。
 

③法務局調査

 法務局で、登記簿謄本(登記事項証明書)・公図・地積測量図・建物図面・各階平面図などを取得します。
 これで、売主が所有者になっていること、どのような担保権が設定されているかなどの権利関係を確認します。
 高圧線の地役権が設定されている場合などは、地役権図面も取得します。

④役所調査

 
 買主が、家を建てるなどの購入目的を果たせる土地かどうかを確認します。物が建築可能か、あるいはどのような建物なら建築できるかという確認です。
 都市計画課等で、用途地域・容積率・建ぺい率等、都市計画に関する規制を確認します。また、道路管理課等で市町村道としての認定の有無、認定幅員などを確認します。
 建築指導課等で建築基準法上の道路か、建築基準法上のどの種別に該当するか、42条第〇項第〇号道路なのかを確認します。建築基準法上の道路に2m以上接していることが重要です。

 経験がないと、役所の各課をまわっていろいろ聞くというのは、なんとなく気が引けるかもしれませんが、この物件調査は、不動産屋は皆していることですし、不動産鑑定士もしますし、担保評価のために銀行員や信用金庫の職員、それらの委託を受けた調査会社などもしています。役所にしてみれば、業者が来るのは日常ですので、変に遠慮する必要はありません。

⑤生活関連の調査(上下水道・ガス等)

 水道局で上下水道を確認。水道配管図を取得します。ガス会社で配管図を確認します。
 役所調査でもそうですが、毎日のように、不動産業者等が調査に来てますので、向こうは慣れたものです。