中野剛志に学ぶ MMT(現代貨幣理論)⑤

中野剛志に学ぶ MMT(現代貨幣理論)⑤



アルゼンチンの財政破綻

 中野剛志氏は、プライマリー・バランス黒字化達成のために経済成長が停止し、黒字化と同時に財政破綻したアルゼンチンの例を示します。

「1990年代初頭に経済危機に陥ったA国は、IMF(国際通貨基金)に救済を依頼したところ、IMFから融資の条件として、2003年度を達成年次としたプライマリー・バランスの目標を突き付けられました。これを受け入れたA国は、歳出削減に励み、1998年以降はマイナス成長まで経験しましたが、何とか頑張って、目標年次より2年早い2001年1月、ついにプライマリー・バランスの黒字化を達成しました。そして、その年の暮れ、A国は財政破綻したのです!」

ギリシャの財政破綻

 中野剛志氏は、プライマリー・バランス黒字化達成のために経済成長が停止し、黒字化達成と同時に財政破綻したギリシャの例を示します。

「2008年の世界経済危機の打撃を受けたG国は、IMFに融資を依頼し、A国のように、『プライマリー・バランスの黒字化』目標を押し付けられました。その後、G国は、増税と歳出削減に励み、2013年、目標を達成しました。しかし、その代償として、G国のGDPの4分の1が吹っ飛び、失業率は26%超(若年層の失業率は60%)にもなってしまいました。そして、2015年、G国は、事実上の財政破綻に陥ったのです!」

財政健全化目標のために財政が悪化する無限ループ

 中野剛志氏は、デフレ下の日本では、プライマリー・バランスの黒字化を目指す必要はない、と述べます。なぜならば、プライマリー・バランスの黒字化のための増税や歳出削減は、かえって財政を悪化させるからです。

「日本は財政健全化を目指す必要はありません。それどころか、デフレなので、財政健全化を目指してはいけないのです。」

「財政健全化の努力が経済を停滞させ、財政をかえって悪化させる。そこで、また財政健全化の努力を続ける。平成日本は、まさにこの無限ループの中に巻き込まれていたのです。」

財政健全化のためには財政赤字の拡大が必要

 中野剛志氏は、財政を健全化したければ、財政赤字を拡大しなければならない、と逆説的な説明をします。なぜならば、財政赤字を拡大させ、デフレを克服し、経済が成長すれば、税収は増え、財政は健全化するからです。そして好景気になれば、今度は、過度なインフレにならないように、財政支出を抑制することができます。
 
「そこで、もし発想を転換して、財政赤字を拡大したら、どうなるでしょうか。財政は悪化しますが、それによってデフレは克服され、民間消費や民間投資が増え、経済が成長していきます。すると、税収が増える。景気が良くなり、インフレになるので、財政支出を拡大する必要がなくなる。というか、財政支出を抑制しなければならなうなる。財政支出を拡大し続けると、インフレが行き過ぎてしまうからです。」

「したがって、どうしても財政を健全化したければ、財政赤字を拡大しなければならないのです。」

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