行政書士と在宅ライター業

行政書士と在宅ライター業

在宅ライターの需要が増えている



 ここ数年、在宅ライターの需要が増加しています。企業や個人がウェブコンテンツを拡充する必要性が増えていますし、グーグルアドセンスやアフィリエイトで収益を目指すサイトが増大し続けていることなどから、記事テキストの必要性が増えていることによります。これらのテキスト作成は、出版系のライターのように敷居が高くないのが特徴で、とにかく検索に引っかかるキーワードで役立つ情報をたくさん書いてほしいという目的の依頼です。紹介記事・説明記事・宣伝記事・まとめ記事・ハウツー記事・コラムなど、さまざまなジャンルの記事に需要があり活躍の場が広がっています。
 

仕事が見つけやすい

 
 テキスト需要の増加にともない、発注者とライターのマッチングを図るサイトが増加し、それぞれに合う仕事が見つけやすい環境が整っています。
 女性なら、需要のあるジャンル、美容・料理・ファッション・恋愛系の記事などを書ける人が多いでしょう。男性なら、需要のあるジャンルとして、車・バイク・ビジネス等があります。また、法律に関する分野の発注も多くあります。相続・離婚・売買トラブル・不動産・債務整理・交通事故・会社設立ほか様々ざまな事案に、法律的な観点からのライティングが必要になります。

行政書士に適している

 行政書士試験に合格し、行政書士登録して研修を受け、実務を経験すると、法律知識、自動車や建設業などの行政手続きの知識のほか、ビジネスを開業する際の知識、個人事業についての知識等、様々な有益な知識が身につきます。また、行政書士は、多くの人は自己の適性を考えてそのような仕事を選んだのでしょうから、文章力も含めて平均以上の書面作成スキルを持っていることが多いと思います。

 この知識や経験を活かして、法律やビジネス分野のライティングをすれば、行政書士としての実務知識を生かせます。業務として未経験の未知の分野でも、専門書籍等をそろえておき、書籍やウェブサイトで確認しながらライティングをしてみることで、実務知識が身についたり、知識がブラッシュアップされます。行政書士の知識がライター業務に生かせ、ライター業務の知識が行政書士業務に良い効果をもたらすという、相互作用が期待できます。

 開業したての行政書士には、日中は事務所に待機して、早朝に新聞配達をしたり、夕方からアルバイトをして、なんとか生活をしている人が多数います。この場合、日中行政書士事務所で待機している間は、いつ電話や来客があっても良いように気を張っていなければなりませんし、それなりの服装をしてる必要があるので、気が休まる暇がありません。そのうえ、時間外は別の仕事をしていては、体も心も疲弊してしまいます。

 この点、ライティング業務であれば、日中、在宅(在事務所)で行えます。事務所で待機している仕事のない時間にパソコンに向かい作業していれば、収入を生み出すことができますので、時間外の無理なアルバイトを減らすことができます。在宅ライター業務は、報酬こそ安いものの、行政書士が行うのに非常に適した副業と言えそうです。

在宅ライターの仕事が探せるサイト

■クラウドワークス(Crowd Works)
https://crowdworks.jp/

■ランサーズ(Lancers)
https://www.lancers.jp/

■Bizseek(ビズシーク)
https://www.bizseek.jp/

■カコ―(Kacoo)
https://kacoo.jp/

■シュフティ(shifti)
https://app.shufti.jp/

■シノビライティング(Shinobi)
https://crowd.biz-samurai.com/

■ジョブハブ(JobHub)
https://jobhub.jp/

■ココナラ
https://coconala.com/



司法書士の仕事 抵当権の抹消

司法書士の仕事 抵当権の抹消



抵当権の抹消登記

 不動産登記は、司法書士の主業務です。

 住宅を担保にしたローンの支払いを終えた時などに、不動産を担保から外すときの抵当権や根抵当権の抹消登記は、司法書士の仕事です。
 抹消登記の依頼の際に、単純に抹消登記を申請すれば良いとは限りません。抹消登記の前提として、登記名義人の住所や氏名の変更登記が必要になったり、抵当権の移転登記が必要になったり、根抵当権の元本確定登記が必要になったり、他の登記が必要人になることがあります。依頼を受ける際には、この点を確認したうえで、見積りを出す必要があります。

抵当権の抹消の原因

 抵当権が消滅する原因は、債務の全額の「弁済」だけではありません。

 例えば、

・抵当権者による抵当権の「放棄」
・抵当権者による抵当権の「解除」
・所有者と抵当権者が同一人になった場合の「混同」
・抵当権者と債務者が同一人になった場合の「債権混同」
・本来の給付に代わる物で弁済する契約をした場合の「代物弁済」
・保証債務について抵当権で主債務者が弁済した場合の「主債務消滅」
・所有権が時効取得されたことにより、抵当権が実体上消滅した場合の「所有権の時効取得」  

などがあります。

申請人

 根抵当権を失う根抵当権者が登記義務者、設定者(所有者)が登記権利者となり、共同申請します。
 「混同」を原因とする場合は、同一人が権利者兼義務者として申請します。

登録免許税

 金1000円

必要書類

・登記原因証明情報
・登記識別情報
・資格証明書もしくは会社法人等番号
・利害関係を有する第三者がいる場合はその承諾書
・代理権原証明情報(委任状) 

 「混同」「債権混同」を原因とする場合は、登記原因証明情報の提供を省略できます。
 

抵当権設定者の氏名等に変更がある場合

 (根)抵当権の設定者である所有権の登記名義人の登記記録上の氏名等(住所・氏名・名称)に変更が生じているときは、(根)抵当権抹消登記の前提として、所有権登記名義人の氏名等の変更登記が必要になります。
 居住していた住居を売却する場合、登記上の住所がそれまで居住していた住居になっていることが多いので、転居を済ませて住民票を移し、空き家になってから住宅を売却した場合は、住所変更登記が必要になることが多いので、注意が必要です。

抵当権者の氏名等に変更がある場合

 (根)抵当権者の登記記録上の氏名等(住所・氏名・名称)に変更が生じているときは、抵当権抹消登記の前提として、抵当権の登記名義人の氏名等の変更登記は省略できます。この場合は、登記上の氏名等と登記申請者の氏名等が相違することになるため、この点について変更等を証する書面を添付します。
 たとえば、抵当権者A銀行が、商号を変更してB銀行になっている場合、抵当権抹消登記の際に、名称変更を原因とする抵当権者の氏名変更登記をする必要はありません。登記事項証明書等を添付して、B銀行がA銀行に商号変更されていることを証明します。

抵当権者に合併が生じている場合

 (根)抵当権者に合併や相続が生じ、その後弁済等により抵当権が消滅した場合、合併または相続による(根)抵当権移転登記をしたうえで、抹消の登記をすることになります。
 たとえば、A銀行で住宅ローンを組み、住宅を購入してA銀行の抵当権を設定したところ、10年後にA銀行がB銀行に吸収合併され、B銀行に支払いを続け20年後に住宅ローンの支払いが完了した場合、抵当権抹消登記の前に、A銀行からB銀行への抵当権移転登記をしなくては、抵当権抹消登記ができません。

根抵当権の抹消

 根抵当権の場合、元本確定前は、弁済による抹消登記をすることはできませんので、先に元本が確定している必要があります。元本が確定していることが登記記録上明らかでなければ、先に元本確定登記をする必要があります。
 なお、根抵当権の「放棄」「解除」が原因であれば、元本確定前でも抹消登記ができます。

人手不足なんて嘘でしょ?

人手不足なんて嘘でしょ?



人手不足なんて嘘でしょ?

 2018年11月16日、共同通信社が、

「人手不足が加速、倒産最悪ペース」

というタイトルの記事を配信しました。

 記事の内容は、

 人手不足が加速し、企業の事業継続に深刻な影響が出ている。東京商工リサーチの調査によると、2018年1~10月に人手不足関連倒産は前年同期比20.4%増の324件に上り、13年の調査開始以降、最悪だった15年(1~12月で340件)を上回るペース。日本生命保険の調べでは、地方部で人材の逼迫感が目立っている。働き手の縮小に阻まれる産業界の実情を裏付けた形だ。
 人手不足関連倒産の内訳は、社長や幹部役員の急死、急病などによる「後継者難」による倒産が237件で全体の7割超を占めた。これに、人手の確保が難しく事業継続に支障が生じた「求人難」が46件で続いた。

というものです。

タイトルと書き出しがおかしい

 「人手不足」「倒産最悪ペース」というタイトル、書き出しの「人手不足が加速し」という文言。あたかも日本は労働者が不足している、という印象をあたえます。ところが、その後に続く記事内容は、事業承継が上手くいかず後継者になってくれる人がいない企業が多い、というものです。タイトル・書き出しと、記事の内容が一致しているとは言い難い、誤解しか与えない、印象操作のための記事の書き方です。
 
 2018年1月から10月の10ヶ月間で、324件の倒産のうち、後継者が見つけられなかったことによるものが全体の7割で237件。人手を確保できなかったことによる「求人難」はわずか46件でしたというものです。この内容のどこが「人手不足」による倒産が急増していることになるのでしょうか?

後継者がみつからないのは人手不足ではない

 
 中小零細企業では、金融機関からの借入につき、代表者が個人保証するのが通常です。代表者が交代する場合、新たに代表者となった人が、銀行に行き、会社債務を個人保証する保証契約を締結します。そうしないと、会社への融資が引きあげられ、資金繰りがつかなくなります。後継者になる人にとっては、会社の債務を個人保証すれば、それまで築いてきた個人資産を失う可能性があり、大きなリスクです。もっとも、好調で収益の上がる事業であれば、後継者はいくらでもみつかるでしょう。地方でも、収益が上がっている企業が、後継者不在で代表者が引退する場合、そのまま事業を引き受けたいと申し出る会社はいくらでもあります。しかし、負債だらけで将来性のない事業に後継者はいませんし、事業を買ってくれる人もいません。たとえ息子でも、朝から晩まで働いても家族を養えないレベルの儲けしか出ない事業や、負債だらけの事業を継いであげられないのは、当たり前です。
 誰も後継者になりたがらない事業があることを、「人手不足」と分類して報道する必要があるのでしょうか。
 煽りたてるようなタイトルと書き出しで、人手不足が日本経済にダメージを与えているかのような印象操作は、あまりにも詐術的です。

人手を確保できないことは、人手不足とは限らない

 「人手不足」というのは、狭義でいえば、求人数に対し、働き手の数が不足していることです。この概念をどこまで拡張しても、低賃金に見合わない労働強度の高い仕事をする人がいないことを「人手不足」とは言えません。単に、労働者が応募するような、まともな賃金を払えないという、事業者側の経営状態があるというだけのことです。 
 企業が人手を確保できないのは、賃金が妥当性を欠く場合、雇用が将来性や継続性を欠く場合がほとんどです。労働市場から労働者を確保するには、賃金や待遇を改善すれば済むことであり、それを価格に転嫁できず利益が出せなくなるということであれば、それはビジネスモデルの失敗です。このような倒産は、「人手不足」による倒産ではなく、事業が上手くいかなくなったことによる通常の「倒産」に過ぎません。
 このような「求人難」を人手不足と表現するのは、詐術的とは言わないまでも、ミスリードを狙ったものです。

正しい報道は「賃上げ不足」

 中小零細企業でも、ハローワークや求人誌で、まともな相場観のある賃金で募集をかければ、応募は沢山くるのが現状です。この点、失われた20数年と現在で何ら変わりありません。人材派遣会社に依頼しても、それなりの費用で、それなりの人材が、2週間もあれば確保できてしまいます。優秀な人材が、安い賃金で、無限に稼働してくれるなどということはあり得ません。報道するのであれば、経営の失敗を人手不足などとする企業の言い訳を垂れ流すのではなく、「賃上げ不足」による倒産が増加傾向と報道するのが正しい状況ですね。
 元ネタの東京商工リサーチは、企業に情報を提供するサービスを行う会社ですから、まともな賃金を払えなかった経営者の言い訳「人手不足」という表現を使うのは理解できます。利用者が嫌がる言葉を使う必要がないから、ひとつオブラートにくるんでいるわけです。しかし、報道機関がそれをそのまま垂れ流し、全国に配信する必要はまったくありません。

宅建業と行政書士は兼業できる?

宅建業と行政書士は兼業できる?



宅建士と行政書士で独立したい

 行政書士資格を有する人には、宅地建物取引士の資格を持っている人は少なくありません。行政書士試験も、宅建士試験も、どちらも民法からの出題があり、知識の一部を生かせるからです。
 
 会社員以外の生き方を求める際に、宅建業と行政書士業は、検討に値する魅力がある仕事です。

 行政書士一本での独立開業では生計維持に不安があるので、同時に宅建業登録をして不動産屋をする。あるいは、不動産屋として開業するにあたり特色を出していくために行政書士業務もやりたい、という考えもあり得ます。どちらも良いアイディアではありますが、行政書士と宅建業の兼任には、気をつけないといけない落とし穴があります。
 

宅建業登録には専任の宅建士が必要

 宅地建物取引業者は、その事務所に、「成年の専任の宅地建物取引士」を置かなければなりません。
 行政書士業をすることで、専任の宅建士がいないという判断がなされると、宅建業のほうに問題が発生します。

 この「専任」とは、国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方によると、

 「専任」とは、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(宅地建物取引業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。)して、専ら宅地建物取引業に従事する状態をいう。ただし、当該事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行われていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものとする。

 また、宅地建物取引業の事務所が建築士事務所、建設業の営業所等を兼ね、当該事務所における宅地建物取引士が建築士法、建設業法等の法令により専任を要する業務に従事しようとする場合及び個人の宅地建物取引業者が宅地建物取引士となっている宅地建物取引業の事務所において、当該個人が同一の場所において土地家屋調査士、行政書士等の業務をあわせて行おうとする場合等については、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるものを除き、専任の宅地建物取引士とは認められないものとする。

とされています。
 
 つまり、専任の宅地建物取引士は

①原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤していること
②専ら宅地建物取引業に従事する状態にあること。ただし、同一事務所内で、宅建業が行われていない間に、一時的に宅建業以外の業務に従事するのは問題ない
③建築士事務所の管理建築士や建設業者の専任の技術者など、他に専任性を求められる業務をしている場合は専任の宅建士にはなれないのが原則だが、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるなら兼任してもよい。
④個人の宅建業者が宅建士となっている宅建業の事務所において、当該個人が同一の場所に置いて行政書士等の業務を行うことはできないのが原則だが、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるなら兼任してもよい。

ということになります。

①事務所に常勤していること

 宅建士は、宅地建物取引業を営む営業所に常勤していることが必要です。行政書士と兼業する場合は、同じ場所で営業しないといけません。これは、宅建業の事務所と、行政書士の事務所を同じにしてしまえば、問題なくクリアできます。

②専ら宅地建物取引業に従事する状態にあること

 基本的に宅建業に従事できる状態でなければいけません。もっとも、同一事務所内で、宅建業が行われていない間に、一時的に宅建業以外の業務に従事するのは差し支えない、と明文で認めていますから、行政書士との兼業が、宅建業の業務に影響を与えない程度なら問題になりません。

③他の法令で専任性を求められる仕事をしていない

 建築士事務所の管理建築士や、建設業の専任の技術者など、他の仕事をしていてそちらで専任性を求められている場合は注意が必要です。そういうことがなければ、行政書士と宅建業のダブルワークには影響ありません。

④原則不可だが業務量等を斟酌して兼任を認める

 個人の宅建業者が、宅建業の事務所において、当該個人が同一の場所において、土地家屋調査士や行政書士等の業務を行うことはできないのが原則です。しかし、例外的に、他の業種の業務量等を斟酌のうえ専任と認められるなら兼任してもよいことになっています。

 この例外的な扱いにより、行政書士事務所と、個人事業の宅建業は、役所が認めさえすれば同時に行えることになります。



法人については言及がない

 国交省のガイドラインは、宅建業者が法人の場合について言及がありません。

 実質的に個人営業と変わりない法人であれば、個人同様に認めるべきと考えられますが、法人と個人は別人格であるし、行政書士が、法人の専任の宅建士を兼ねることはあり得ないと考え、当然不可と判断している自治体が多いようです。

 例えば、埼玉県は、認めない方針を、ウェブサイト上に公開しています。

 したがって、このような自治体では、行政書士として独立し、同時に、不動産会社を設立してその専任の宅建士となることはできません。行政書士と兼業を考えるなら、宅建業は個人事業で行う必要があります。

法人でも認められる県もある

 
 一方、国交省のガイドラインは、法人の宅建業と行政書士事務所の併営を否定しているわけではないので、自治体によっては、不動産会社と行政書士事務所の併営を認めるところがあります。

 佐賀県は、以下のようなQ&Aを公表しています。

Q3: 今、行政書士をしています。個人事業主として、宅建業を始める予定ですが、その際、自分が代表者(兼)専任の宅地建物取引士として開業することはできますか?
A3: 行政書士や司法書士等の業務を兼務する場合は、個人事務所等に同居して、宅建業を専ら行い、常勤できる状態であれば認められます。
※新規法人を設立して、代表者(兼)専任の宅地建物取引士として宅建業を始める場合も、同様です。
※ 同居とは原則として、同一の建物であり、且つ専任の宅地建物取引士が宅建業の部屋と、(宅建業以外の)兼業の部屋を簡単に往来できる状態を指します。なお、宅建業以外にも兼業をされる場合は、事務所の要件を満たすよう注意してください

 佐賀県では、新規法人を設立して代表者兼専任の宅建士として宅建業を始める場合も、兼務を認める可能性があります。
 これは、埼玉県よりも、佐賀県の考え方のほうが正しいですよね。形式よりも実態をみて考えるのが正しい態度といえるでしょう。もっとも、埼玉のような大きな都市部をかかえる県では、行政書士と不動産屋をするならどちらかに専念しないと追いつかない業務量になる蓋然性が高い一方、佐賀県のような地方では、許認可の件数も、市中の不動産の動きも少なく、行政書士と宅建業の同時に出来る程度である蓋然性が高いというような実態を考慮した解釈・運用の違いなのかもしれません。

まとめ

 一人で行政書士事務所と宅建業のダブルワークで独立開業するのであれば、宅建業は法人化せず、個人事業として行う必要があります。しかし、地方によっては法人でも認められるので、法人にしたい場合は、担当官庁に問い合わせをしてみたほうがよさそうです。



農業をする 農地の取得

農業をする 農地の取得



農業をはじめるにはどうすればよいのか?

 会社員以外の仕事ないだろうか、会社員を辞めたいと考えたときに、一度は考えるのが農業ではないでしょうか。農業を志望する人は大変多いですが、現実的な新規参入のハードルは非常に高いものがあります。
 
 圧倒的な資金調達力が必要が仕事な農起業。最大のハードルは農地の取得です。

農地の取得には農地法の許可が必要

 農地法第3条は、農地について「所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない」としています。

 農地を売ったり買ったり、貸したり借りたりするには、農業委員会の許可が必要なのです。

 農業委員会とは、「農業委員会等に関する法律」に基づいて設置される行政委員会です。事務局は、市町村役場の中に置かれることが多いです。委員というのは、ほとんど地域の農家のおじさんたちです。要するに、地域の農家のおじさんたちの許可が得られない場合、農地の売買ができない仕組みになっています。この許可には、明確な要件があるわけではありません。貴方が、しっかり地元と協調して農業経営できるだけのバックボーンがあると認められなければ、意欲があっても許可がおりません。

全部効率利用しなければならない

 
 農地法第3条2項は、「所有権、地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者又はその世帯員等の耕作又は養畜の事業に必要な機械の所有の状況、農作業に従事する者の数等からみて、これらの者がその取得後において耕作又は養畜の事業に供すべき農地及び採草放牧地の全てを効率的に利用して耕作又は養畜の事業を行うと認められない場合」、上記の許可を出さないとしています。

 「全部効率利用」という要件を満たさないような営農計画ではだめなのです。つまり、農地を取得する時点で、最初から、ある程度完成された、説得力と現実味のある営農計画をたてるレベルになければなりません。

下限要件がある

 
 農地を取得するにあたっては、下限が定められており、農業を開始するにあたり、小さな農地だけ買うということはできません。ちょっとだけ農地を買って、上手くいったら広げていく、というわけにもいかないのです。

 地域によって違いますが、北海道などは2haです。後戻りできるレベルではないですね。

農地の取得は難しい

 地元で既に農業をしている人は、信用がありますので、農地法の許可が簡単にでます。しかし、新規に、よその土地から、農業経験もない、見知らぬ人が農地を購入するというのは相当に困難です。そこで、例えば、目当ての地域で一年程度農業研修を受けるなどして、その地域に溶け込める人柄と耕作意欲・能力を証明するなどして、何らかの形で信用を得る必要があります。雇用研修を受けるとなると、フルタイムになりますので、脱サラしてすぐ新規で農業をということは難しくなります。農地の取得の見込みもない段階で、会社員はやめることになるわけです。そして、雇用研修でもらえる給料は自活できるレベルではないことが多いので、農業をはじめる前に、貯金を取り崩すことになります。そこまでいかなくても、自治体などがやっている研修もありますので、会社を休んで、そちらに参加することも考えられます。いずれにせよ、そのようにして、農業をできるんですよという経験を確保しておくことが必要になります。農業研修の経験は、農地の取得のみならず、補助金や、融資を受ける際などのも必要になってきます。事前準備として必須ということになります。
 農業をはじめるには、農業研修などで収入の乏しい期間に耐えた後で、さらに資金をかけて住宅や農地を手にして農業をはじめ、さらに収穫までの1年ほどは無収入、さらに軌道にのるまで数年は低収入でも大丈夫というような、大きな資金力が必要になってきます。

農地法3条の規制の仕方はナンセンス

 農地の取得が難しいのは、耕作放棄地が増えるのを避けるための仕組みなのですが、正直、この規制は、まったく有効なやり方ではないですよね。なぜなら、不動産は、相続されるからです。相続による所有権移転には農地法の許可は不要なのです。跡継ぎのいない多くの農家では、都会でサラリーマンしかしてないような人たちが相続するわけです。農地の取得を規制したいけれども、相続する権利ばかりは、国も奪えないわけですね。
 すると、子どもがみな都会のサラリーマンになっていて、農業の経験も興味もない場合、そして誰にも、借りてもらえないような農地の場合は、耕作放棄されざるをえませんね。ある程度の利便性のある場所にあり、性質もよい農地は買い手が付きますからあまり問題になりませんが、山間部になればなるほど貰い手がない農地がでてきますので、どうしょうもなく放置されることになります。
 しかも、子どもが2人以上であれば、遺産分割協議がなされないまま、さらに孫世代で相続が発生してと、どんどん細分化されていきますね。こうなると収集がつきません。

 意欲のある若者はまったく農地を取得できない一方、意欲のない人が相続するのは当然に認められるわけですから、ほとんど意味のない規制ですね。新規参入の基準をクリアにして、農地の取得を容易にし、活発な新規参入と廃業が繰り返されるほうが健全かもしれません。

 ちなみに、「時効取得」による場合も、農地法の許可なく農地の所有権を移転できます。この際の所有権移転登記は、これまでの所有者を登記義務者、時効取得する人を登記権利者として、双方が関与しての共同申請をすることになります。逆に言えば、当事者双方が「時効で取得しました」「時効で取得されました」と言えば、農業委員会の許可なしに、農地を移転してしまえるわけです。

そもそも良い農地が無い

 
 耕作放棄地が増えているといっても、まったくの耕作放棄地は、近隣農家が借りてもくれない条件の土地です。山奥であったり、水路が整備されていなかったり、使えない農地であり、農業で新規参入には向いていない場合がほとんどです。売りに出しているところも、町外の見ず知らずの人に売りたいとは思っていません。売却後に近隣から恨まれるようなことはしたくないからです。また、売りに出ているのは、あまりよい農地ではないことがほとんどです。良い農地なら、まずまっさきに近隣の拡大意欲のある農家に話が持ち込まれ、そこで話が終わるからです。ある程度まともな農業ができる農地を手に入れるのは、なかなか難しいものです。
 資金や研修などを経て、農業をはじめるための条件が整っても、農地が取得できずに、足踏みすることもあり得ます。その間の生活費で、参入資金も減少していきます。

家がない

 手頃な農地が見つかっても、住宅のあてが無ければ、許可がでにくいということになります。農地を取得しようとする者の住所地と取得しようとする農地の距離からみて、当該農地を効率的に利用すると認められない場合は、農地法の許可がでません。このため、農地を取得する際には住宅のあてをつけておかないといけないわけです。しかし、そもそも農地のあるところに住宅があるとは限りませんね。家と農地が同時に売りに出れば住むところは手に入りますが、農地だけ売って、家には住み続けるパターンも考えられます。農地の取得と同時に、近隣の宅地を取得し、新築の家を建てる資金のある人はほぼいないでしょうから、農地の取得前に、住むところを確保するということも考えはじめると、困難さは一層上がります。

民法改正 不動産賃貸借

民法改正 不動産賃貸借

民法改正 いつから

 「民法の大改正」という話が耳にはいるようになってから、ながい期間が過ぎました。

 この報道に、中学生の時に接した人は、すっかり社会人になり、施行がこれからと知り「いまごろか」と思うのではないでしょうか。

 いよいよ、改正民法が、2017年(平成29年)6月に公布され、改正された民法が適用される日が近づいてきました。
 
 施行日は、2020年(平成32年)4月1日から、ということになっています。
 

改正範囲は幅広い

 新しい民法の改正内容は幅広く、

 ・保証
 ・消滅時効
 ・瑕疵担保責任
 ・定型約款
 ・法定利率
 ・不動産賃貸借契約における敷金の返還や原状回復義務

など、生活ビジネスに影響がありそうな様々な分野が改正されています。

敷金が明文化された

 これまで明文規定がなかった敷金については、裁判例の集積などから解釈がなされていましたが、法律で明文化され分かりやすくなりました。

 敷金は、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」と定義されています。
 また、その返還時期については、賃貸借が終了しかつ明け渡しが完了した時とされ、これまでの判例の考え方が明文化されました。

原状回復義務が明文化された

 賃貸借契約が終了したとき、賃借人が負う原状回復の内容については、民法上の規定はありませんでした。裁判例の積み重ねにより解釈がなされていましたが、民法で明文化されてわかりやすくなりました。改正民法では、「賃借物に損傷が生じた場合は、原則として賃借人は原状回復義務を負うものとし、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないと定められています。家具の設置による床の凹みや、テレビや冷蔵庫の設置により生じる壁の黒ずみなどは、通常損耗にあたります。

賃貸不動産の譲渡されたときの取り扱い

 これまで、裁判例などから、賃貸建物の所有者が変わった場合、特段の事情のない限り、賃貸人の立場も移転するとされてきました。
 改正民法では、この考えを引き継ぎ、建物の所有権が譲渡されると、原則として、賃貸人たる地位も移転することとしました。ただし、賃貸人の地位を前所有者に留保するとの合意があり、不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意がされた場合は、賃貸人の地位は移転しない、という形で明文化されています。

賃貸人が修繕義務を負わない場合

賃貸人の修繕義務を定めた民法606条第1項に、「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りでない。」との文言が追加されました。
このただし書により、修繕を要する場合でも、賃借人に故意や過失がある場合には、賃貸人が修繕義務を負わないことが明確になります。

賃貸借の存続期間

 これまで賃貸借契約の最長期間は20年間でしたが、この最長期間が50年間に延長されています。
 もっとも、これまでも、借地借家法により、建物賃貸借については賃貸借期間の上限規制は無いものとされており、建物所有目的の土地賃貸借についても原則として賃貸借期間の上限はありませんでした。この改正の影響があるのは、借地借家法の適用のない土地賃貸借、例えばゴルフ場やソーラーパネルなどに関する土地賃貸借になります。
 

不動産屋になる 建築基準法の基礎

不動産屋になる 建築基準法の基礎を知る

建築基準法の目的

 建築基準法は、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資する」ことを目的とする法律です(建築基準法第1条)。

建築基準法の目次

 建築基準法の目次は、以下のようになっています。

第一章 総則(第一条―第十八条)
第二章 建築物の敷地、構造及び建築設備(第十九条―第四十一条)
第三章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造及び建築設備
 第一節 総則(第四十一条の二・第四十二条)
 第二節 建築物又はその敷地と道路又は壁面線との関係(第四十三条―第四十七条)
 第三節 用途地域(第四十八条―第五十一条)
 第四節 建築物の面積、高さ及び敷地内の空地(第五十二条―第六十条)
 第五節 防火地域(第六十一条―第六十七条の二)
 第六節 美観地区(第六十八条)
 第七節 地区計画等の区域(第六十八条の二―第六十八条の八)
 第八節 都市計画区域以外の区域内の建築物の敷地及び構造(第六十八条の九)
第四章 建築協定(第六十九条―第七十七条)
第五章 建築審査会(第七十八条―第八十三条)
第六章 雑則(第八十四条―第九十七条の四)
第七章 罰則(第九十八条―第百二条)

建築基準法が適用されない建物

 
 建築基準法が適用されない建築物には、主に、

 ・文化財保護法の規定によって指定された建築物
 ・既存不適格建築物

があります。

 既存不適格建築物とは、建築基準法施行の際に存在する(または現に工事中)建物で、規定に適合しない建物です。建築基準法時に既存する建物については仕方ないので、建築基準法適用除外とされ、違法建築物としては扱われないことになっています。不動産屋としては、取り壊して新築する際には、同様の建物は建てられないという点に注意を払う必要があります。

建築確認

 一定の建築物の新築・改築等は、建築確認申請書を提出して、建築主事等の確認を受けることになります。

 建築確認については、建築確認申請時の書類や、検査済証を確認するようにします。検査済証は融資などの際に必要になることあります。依頼者が無くしてしまっている場合は、建築指導課などで、建築計画概要書を閲覧できます。

接道義務

 建築基準法は、都市計画区域内(準都市計画区域内)では、建物を建てる際には、建築基準法上の道路に2メートル以上接していなければならないとしています。「ただし、建築物の周囲に広い空地があり、その他これと同様の状況にある場合で安全上支障がないときは、この限りでない。」などの例外があります。不動産屋としては、建物を新築できる土地なのかどうかという視点で、道路が建築基準法の道路かどうかを確認することや、接道義務を果たしているかを確認する必要があります。

建ぺい率

 建築基準法は、建築物の敷地について、各地域ごとに、建ぺい率(建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)の最高限度を定めています。敷地一杯に建物を建てることはできないようになっています。敷地面積が100㎡、建ぺい率が80%なら、建築面積は80㎡までとなります。
 不動産屋としては、どの程度の建ぺい率で建物が建てられるのかに注意を払う必要があります。

容積率

 建築物の高さを制限するため、容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)の最高限度を定めています。敷地面積が100㎡、容積率が200%の場合、延べ床面積は200㎡までということになります。容積率は、用途地域や前面道路の幅員などに影響されます。
 不動産屋としては、どの程度の延べ床面積の建物が建てられるのかに注意を払う必要があります。

不動産屋になる 不動産屋の魅力

不動産屋になる 不動産屋の魅力



 会社員以外の仕事ないのかなあと考えるけれども、自分には独立自営のための特別なスキルがないという人にとっては、不動産屋は有力候補の一つになり得ます。

不動産屋は情報産業

 不動産仲介業は、業界団体で構築されるレインズという物件情報を登録するシステムを中心とした、情報ネットワーク産業です。他人の不動産を仲介すれば報酬がもらえるビジネスモデルなので、仕入や設備投資の費用は小さくで済みます。物件の情報を、AさんからBさんに流して売買を成立させると、高額な報酬を手にすることができます。この仕組みに参加するのに、200万円程度しか必要ありません。参入規制が小さいのも特徴です。

不動産屋の開業費用

報酬が高い

 
 不動産売買仲介の報酬は、不動産の価格に連動します。報酬額は基本的に3%+6万円+消費税です。不動産は一般に高価ですから、高額な報酬を期待できます。世の中には、朝から晩までいくら働いても、高収入を得られない仕事がたくさんあります。一方、不動産屋は、高収入を得られる可能性がある商売です。報酬の高い仕事はリスクが高いものですが、不動産仲介業は、他人の不動産を扱うものですから、高額な商品の仕入等はせずに行うことができます。工場や飲食店のような設備投資も必要なく、事務所とパソコンなどが準備できれば行えます。不動産屋開業のリスクは、報酬に見合うほど高くはありません。

ビジネスモデルが完成している

 不動産屋は、不動産売買仲介、不動産賃貸仲介、不動産管理業務を中心にした事業です。さらに、資金力がつけば、自ら不動産を仕入れてリノベーションして販売して利ザヤを得たり、自ら建売住宅を販売したり、アパート経営や不動産投資などをしています。
 不動産仲介業、不動産管理業務は、ビジネスモデルとして完成されたものです。まったく新しいビジネスを新規に起こすよりも、難しい点は少なくなっています。特段の企業のアイディアがなくても、模倣から入ればビジネスができる仕組みになっています。

宅建士資格さえあれば一人で開業できる

 主な独立開業系の士業には、
 
 ・弁護士
 ・公認会計士
 ・弁理士
 ・不動産鑑定士
 ・司法書士
 ・税理士
 ・土地家屋調査士
 ・中小企業診断士
 ・社会保険労務士
 ・行政書士

などがあります。 

 宅建士はいわゆる士業ではありませんが、宅建士資格があれば、個人事業として、あるいは法人を作って宅建業登録をすれば、一人で不動産屋を開業できますので、ほぼ同じ構造ですね。

 弁護士・公認会計士・不動産鑑定士・弁理士・司法書士・税理士になると、多くの合格者が5年以上かけて勉強しているレベルになります。土地家屋調査士・中小企業診断士・社会保険労務士なども1年での合格はほぼ難しいため、合格者は3年以上勉強した人が多い資格です。もっとも簡単な行政書士でも、法律初学者であれば1年程度の勉強は必要ですし、何年も不合格を続けている人も少なくありません。
 一方、宅建士試験の難易度は、上記のうちでもっとも簡単な行政書士よりも、さらに簡単です。
 それでいて、成功した場合の報酬を水準は、もっとも難しい弁護士や公認会計士に必ずしも劣りません。試験合格のために投下する時間資源を考えれば、非常にお得です。

零細経営が可能

 あらゆる業界が大資本のチェーンに飲み込まれています。小資本で独立しても、大手にかなわず沈んでいく業界がほとんどです。不動産仲介業は、構造的に、現地案内・現地調査をともなうものであり、いかに大資本が各地に拠点を置いても制圧できる範囲には限界があります。また、不動産仲介業は、大手に依頼しても、中小零細に依頼しても、取り扱う物件に大きな違いはないこととや、実際に現地エリアで営業している業者のほうがきめ細かいサービスができることから、1人~少人数で経営している宅建業者が多数あり、それで成立しています。なかなか小資本ではビジネスが成立しない時代ですが、宅建業は、小資本でも営業可能な仕事です。

不動産屋の魅力

 不動産売買仲介の仕事の中心は、不動産に関する法規等を知り、現地を調査し、依頼者に説明し、売買契約の段取りをして、各種の書類を作ることです。仕事の実際の作業時間としては、事務的作業量が相当多いですが、書類は雛形がありますので、入力することで完成します。注意力は必要ですが、独自の工夫が必要なの部分は一部です。簡単な仕事ではないですが、どんな仕事をするにせよこれくらいの難しさはある、という程度のものでしかありません。上記の士業のような、知的で高度な人たちが集まっている業界でもありませんから、一般的な知性があれば十分できる仕事です。
 不動産屋の所得水準は高くなっています。参入規制は緩くなっており、宅建士試験合格、事務所と事務所設備、200万円程度の開業費用があれば参入できます。ビジネスモデルは完成されており、本当に工夫しなければならないのは、自分に集客することだけです。

不動産屋になる 賃貸借の改正

不動産屋になる 賃貸借の改正

民法改正 賃貸借

 2020年4月1日から、改正民法が施行されます。不動産屋になるためには、把握しておかなければなりません。中でも賃貸借に関する改正は重要なポイントです。

敷金が明文化された

 これまで明文規定がなかった敷金については、裁判例の集積などから解釈がなされていましたが、法律で明文化され分かりやすくなりました。

 敷金は、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう」と定義されています。
 また、その返還時期については、賃貸借が終了しかつ明け渡しが完了した時とされ、これまでの判例の考え方が明文化されました。

原状回復義務が明文化された

 賃貸借契約が終了したとき、賃借人が負う原状回復の内容については、民法上の規定はありませんでした。裁判例の積み重ねにより解釈がなされていましたが、民法で明文化されてわかりやすくなりました。改正民法では、「賃借物に損傷が生じた場合は、原則として賃借人は原状回復義務を負うものとし、通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないと定められています。家具の設置による床の凹みや、テレビや冷蔵庫の設置により生じる壁の黒ずみなどは、通常損耗にあたります。

賃貸不動産の譲渡されたときの取り扱い

 これまで、裁判例などから、賃貸建物の所有者が変わった場合、特段の事情のない限り、賃貸人の立場も移転するとされてきました。
 改正民法では、この考えを引き継ぎ、建物の所有権が譲渡されると、原則として、賃貸人たる地位も移転することとしました。ただし、賃貸人の地位を前所有者に留保するとの合意があり、不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意がされた場合は、賃貸人の地位は移転しない、という形で明文化されています。

賃貸人が修繕義務を負わない場合

賃貸人の修繕義務を定めた民法606条第1項に、「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りでない。」との文言が追加されました。
このただし書により、修繕を要する場合でも、賃借人に故意や過失がある場合には、賃貸人が修繕義務を負わないことが明確になります。

賃貸借の存続期間

 これまで賃貸借契約の最長期間は20年間でしたが、この最長期間が50年間に延長されています。
 もっとも、これまでも、借地借家法により、建物賃貸借については賃貸借期間の上限規制は無いものとされており、建物所有目的の土地賃貸借についても原則として賃貸借期間の上限はありませんでした。この改正の影響があるのは、借地借家法の適用のない土地賃貸借、例えばゴルフ場やソーラーパネルなどに関する土地賃貸借になります。

行政書士はローリスクビジネス

行政書士はローリスクビジネス



 会社員以外の仕事ないのかなあと考えるけれども、自分には特別な経験やスキルがないし、ビジネスモデルも思いつかないという人には、士業は有力な選択肢の一つです。その中でも行政書士は、試験合格や開業が容易な仕事の一つです。

行政書士は食えない?

 書店に行けば、行政書士の開業本が何冊もあります。行政書士の開業本と、ほかの士業の開業本とは、内容に大きな違いがあります。それは「中身のなさ」です。ほかの士業の開業本は、開業や実務の際の注意点が、具体的に書ききれないとばかりに、さわりの部分をどんどん書いて終わる感じです。内容が詰まってます。一方、行政書士の開業本は、あまり具体性がありません。行政書士に限らないような、自営業の心構え、経営者の心構え、営業の際の注意点、お客さんとの接し方、ご縁を大切にしよう、SEOはがんばろう、勉強しようなどの一般論を並べて、ようやく開業本を成立させています。あまり具体性が無いのは、要するに、仕事がないからですね。

 行政書士は、4割程度が、税理士や土地家屋調査士や司法書士の登録者です。しかし、これらの人で行政書士を本業にしている人はまずいません。本業は、税理士や土地家屋調査士や司法書士であり、その業務を補完するために、例えば関連する分野の市役所での手続きのために、登録しているだけです。行政書士が飯が食える資格なら、これらの士業者も、せっかく登録しているのだから、もっと熱心に、行政書士業務をするでしょうが、そうはなっていません。

 もちろん、パーセンテージは低いですが、きっちり行政書士の売上げで生活している人もいるのは確かです。もっとも、才覚がありそうなれるとしても、何年も経営実績が必要でしょう。開業数年で、そのレベルに達することはまずありません。

自営業は過酷だが行政書士はローリスク

 

 会社員を辞めて、飲食の経験がない人が、そば屋や喫茶店や呑み屋さんなどをはじめることがありますが、財産を失い、借金を背負い、夫婦は険悪になり離婚する、そんなケースをよく見かけます。飲食店で、志のあるサービスを提供し続けるのは、会社員よりはるかに強度の高い労働が必要ですし、家族の協力も不可欠でしょう。仕入や設備投資、人件費などにもお金がかかります。

 自宅で不動産屋を開業するにせよ、200万近く必要です(不動産屋の開業費用)。案内のための、自動車なども必須でしょう。

 一方、自宅で行政書士なら、30万円程度で開業できます。

行政書士は開業費用が安い

 行政書士という仕事をはじめるには、開業費用はあまりかかりません。パソコンやプリンター、ファックスや電話機程度の設備があればよく、開業費用が安い。また、勉強のための本代などは必要ですが、たかが知れており、仕入れ費用は無いに等しくなっています。

行政書士試験は難しくない

 行政書士試験は、けして簡単な試験ではありません。
 
 しかし、弁護士・司法書士・税理士・弁理士・不動産鑑定士のような、受験生の大半が5年以上勉強を続けているようなタイプの試験ではありません。その気になって勉強すれば、1~2年で十分合格できる試験です。宅建士からのステップアップなど、ある程度民法の素養があれば、半年でも可能でしょう。公務員試験のついでに合格する学生も少なくありません。試験合格のために投下する時間資源は、大きくありません。

報酬は悪くない

 なかなかこれ一本では食えないのが行政書士。しかし、報酬自体が安いわけではありません。食えないといっても、行政書士の仕事を毎月160時間して食えないわけではありません。仕事があれば時間単価は悪くない。

行政書士の報酬

 仕事がなければ暇なだけです。世の中のために働いていない時間がお金にならないのは当たり前なので、その時間のためにほかにも仕事を持てばいいだけではないでしょうか?

行政書士はローリスク

 このように行政書士は、ほぼノーリスクビジネスですから、はじめることに躊躇するような仕事ではありません。
 現役行政書士には、3つの仕事を持っている人もざらです。事務所設備があれば、できる仕事はほかにもありますので、行政書士は行政書士で真剣にやりつつ、ほかの仕事も含めて頑張ってみるのがいいのではないでしょうか。例えば、行政書士で足りない収入の補完に、ランサーやクラウドワークスを利用して、事務所で作業をしながら、依頼を待つ。その間に、HPをみた人から、新規の建設業許可の依頼がくれば、10万円の仕事になるわけです。自由な働き方を模索する人、在宅系の仕事でフリーランスで食べていきたい人には、行政書士事務所の併営はとても有益ではないでしょうか。